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火曜日を、待っている。  作者: 皐月夜天
1/3

4/30 君との帰り道

初投稿です!最後まで読んでやってください。

火曜日を、待っている。



第1話 4/30


これは、僕と彼女の物語。僕たちの恋を後世に残しておくために筆をとった。


自己紹介でもしておいた方がいいのか?

僕は、、、特にここに書くようなことはない、かな。


これ以上話しても場が白けそうなので、早速本編へ移ろう。



その日、僕はいつも通り、家へ歩みを進めていた。

いつものように、何も考えずにボーッと歩いているだけだった。殻の中に篭るというか、景色なんてロクに見ないで。


だが、その日は自然と世界を受け入れようとした。

そう、ふと顔を上げた。

どうしてだったのかは覚えていないし、きっとそのときもわかっていなかったのだろう。何も考えていなかったのかもしれない。


とにかく、僕がそのとき、その人を見たのは偶然だった。そんな偶然を運命と呼ぶのかもしれない。こう言うのは凄く恥ずかしくて、その表現にまだためらいを感じるけど。


僕が見たその女子高校生は、黒く艶やかな髪を長く伸ばして、どこか退屈そうな、それでいながら鋭い目で歩いていた。学校指定のセーターを腕までまくり、黒タイツが、ひとことで言うとえっちぃかった。


スマホから伸びたイヤホンから音楽を聴いていながら僕の進行方向の逆側から歩いてきた。

「♪ー」

彼女が鼻で歌っていた歌は、知っている音程だった。


ふと、小声でその歌詞を口ずさむ。

「そこにいるのは僕と孤独の二人だけ」


イヤホンをしている彼女には聞こえないと思っていた。しかし、その考えは間違えだったようだ。


彼女が僕と今にもすれ違いそうになったそのとき、彼女は足を止め、無表情に呟いた。


「どこにいても孤独は僕を離してくれない」

「え?」

釣られて僕も足を止めた。


「聴いてるところ、1番じゃなくて、最後のところ。」

はぁ、とため息をついたあと、鋭い視線とともに彼女はそれだけ言うと、彼女の変えるべき方向へと再び歩き始め、僕の横を通り過ぎた。



それが、僕と彼女の出会いだった。4月23日。


今日でその日からちょうど1週間が経った。この1週間、彼女のことが頭から離れずに、あの政治経済の時間も眠れなかった。嘘、ちょっと寝た。


、、、あの日から彼女と会ってはいない。


しかし、毎日、今日はばったり彼女に会わないかな?そんなことを思いながら教室を出ていた。

我ながら馬鹿げていると思う。


だけど、自然にそう思ってしまう。

部活に所属していない僕は、帰宅部のエースとして、誰よりも早く教室を出る。


いつもの退屈な帰路も、この1週間はどこか期待が溢れた楽しい時間となった。

そして、それは今日もだ。


そんなことを考えていた間に、あの道へたどり着いていた。

、、、この1週間、ここで、あの姿を探していた。

しかし、その姿は今日も見えなかった。

なんとなく、俯いた。


この間感じていた感覚は錯覚だったのだろうか?

運命だとか、なんだとか。

ネガティヴな考えが僕を覆い尽くす。


「あ、この前のヤツじゃん。」

涼しげな、ツンとした声。

しかし、そこには不思議な優しさも含まれていた。

「君は、、、」

顔をあげる。

そこには、彼女が立っていた。

少し意地悪な笑みを浮かべて。


「ふふ、そんなに嬉しいの?」

「え?」

「普通に嬉しそうじゃん」

「別に、そんなことないですって。」

素直じゃない言葉が出てしまう。


「そういうことにしといてあげるー」

僕の横をにやにや笑いながら通り過ぎる彼女は、うりゃ、と言いながら僕の肩をぐうで叩く。

「痛いんですけど?」

「力込めたんですけど?」

彼女は足を止め、ふふ、と意地悪そうに笑った。


「なんか距離感近くないですか?」

「そうかなあ?」

「なんかこの間睨まれたし。」

「そうだったかなあ?」

「いやそうでしたよ!」

「そっかーそれはー、なんかごめんねー、けど目つき悪いだけだから。」

「ど、どんまい。」

「おう。」

「おう、」

深く頷きあう。


もっと話したいことがあるのに、一緒にいたいのに。

やばい、言葉が出てこない。


すると、それを見兼ねてか、

「また、火曜日にね、」

怖い目つきで僕を睨みながらも何故か頰を染め、そう言ってきた女子。

「なんか照れてる?」

そう僕が尋ねると、

「は?何言ってるの?」

思いっきり睨まれ、足を踏まれた。

「は、恥ずかしいわけないじゃん、そんな要素どこにあったんですかー?」

「また会おうって言ったとこ?」

「別にすれ違うだけだし!」

「ほーん」

「ほーん、じゃない!もう、じゃあね!」

「あ、、、」

そう言って、背中に背負ったリュックを背負い直して口を曲げて軽く走りだす。


「、、、まあいっか。」

少しだけ、にやつきながら僕は呟いた。僕たちはまた、ここで会えるんだ。


僕らがすれ違ったのは、今日、そしてそのちょうど1週間前。


もちろん、どっちも同じ曜日。

学生は、1週間単位で生活している。

それは、曜日によって部活だったり、委員会だったり、やることが決まっているからだ。


この時から、僕は週一回の彼女とのすれ違いを、火曜日を、待っている。




初投稿の皐月夜天です。

荒い文ですが、よろしくね。

ストーリーの展開上、週一の投稿がほとんどになってしまうと思います。


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