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ショートショート

影の薄い女 (ショートショート83)

作者: keikato

 影の薄い女。

 周囲の者たちからよくそうささやかれる。めったに私が、日の当たる場所に出ないからであろう。

 私はひどく恐れていたのだ。

 他人に自分の顔を見られることを。

 このアザのある顔を。


 ある日。

 私は変わった。

 美しい顔の女になった。美容整形の病院で皮膚移植の治療を受けたのだ。

 それまでしなかった化粧をし、流行の服で全身をまとった。

 気持ちまでもが明るくなる。

――早く治療をすればよかった。

 長い間、ほんとうに長い間。

 こんなにも簡単なことに、私はどうして気がつかなかったのだろう? 顔のアザさえなければ、こんなに晴ればれとした気持ちになれることを……。


 私は何年かぶりにお天道様の下を歩いた。

 足が地に着かない。

 まるで宙を歩く気分だ。

「おや、めずらしいじゃないか。こんな真っ昼間、あんたが外を出歩くなんぞ」

 声のした方向――空をあおぎ見ると、雲間に大男の顔があった。

「おや、三好の大入道様じゃないかえ」

「その顔、どうしたんだい? なんともきれいになったじゃねえか、おイワちゃん」

「ふふふ……」

 私は微笑んでウインクを返す。


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― 新着の感想 ―
[良い点] おもしろかったです。なむー
2019/10/17 13:03 退会済み
管理
[良い点] 整形には嫌なイメージがつきまといますが、こういう整形ならば前向きに捉えられていいですね。本来の整形はこういう人のためにあるのかもしれません。しかし、人によって「アザ」は違うものなのかもしれ…
2018/05/13 20:42 退会済み
管理
[良い点] おイワさんにも、人しれぬ悩みがあったんですね。 手術をしたのは、ブラックジャックかな。 手術代は、高価なお皿で支払われたのかも。 想像がふくらみます。
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