第四の街『フォースガルド』
ギルドホームは一度購入すると全ての街に購入したギルドホームが出現し、わざわざ購入した街のギルドホームへ行かなくてもいいようになっている。
もっとも、造りは同じなのだが。
「着いたな」
「ええ」
翌日、朝八時に第三の街を出発した【死神の気まぐれ】の面々は、昼十二時に第四の街『フォースガルド』のギルドホームへ到着した。
ギルドメンバー達は、「疲れた」や「だるい」など口から漏らしながら各々の部屋の中へ入って行く。
疲れるのも無理はないだろう。
第四の街へ行く途中の街道で、なにかのイベントかと疑いたくなるほどのモンスターの大群と出くわしたのだから。
幸いにしてなんとか潜り抜けられたからいいものの、アイテムなどを多大に消費した。
第四の街の街は第三の街とは違い、中世的な街並みをしていた。
「一応街を見て回るか?」
「それって、デート、ですか?」
嬉しそうに顔を綻ばせながらエミリアが俺にそう言う。
「ああ。最近攻略だのレベル上げだのと忙しくてデートをする時間が取れなかったからな」
たまにはこういうのもいいんじゃないか?と問いかけると、エミリアは満面の笑みで俺の右手を取った。いわゆる恋人繋ぎというやつでギルドホームはを二人で出て行く。
ちょうどお昼時というのもあり、たくさんの人々が行き来していた。
「不思議ですね」
「うん?」
「ここはゲームのなずなのに、彼らはNPCなのに、普通の人のように動き、話しています。今の技術では到底実現不可能のこの光景を、私は当たり前のように捉えています」
それが不思議です。とエミリアは言った。
「そうだな。確かに不思議だ。でも、俺もそういう風に捉えてる。いつの間にか、馴染んじゃってるんだな」
「馴染んで、いいのでしょうか?ここはゲームの中です。現実に戻った時に、戻れなくならないでしょうか」
そう口にするエミリアの瞳が、不安げに揺れる。
「ゲームの中だとわかっている間は大丈夫じゃないか?現実に戻ったとしても、あれはゲームだと認識できるだろ?まあ、区別がつかなくなったら戻れなくなるけどな」
そう言った俺の言葉に安心したようで、エミリアは歩きながら俺の肩に頭を置いた。
「くそっ、爆発しろ」
「見せつけやがって」
「俺もあんな彼女が欲しいっ」
そんなNPC達の怨嗟の声が聞こえてくるようだった。
俺は少しの優越感を感じながらエミリアとのデートを楽しんだ。




