【忘却の谷】の驚きの事実
「なんで、なんで殺したんですか!?」
ギルド【イーストウッド】の副ギルドマスターのガヤが武器を俺に向けながらそう叫んだ。
「そうするしかなかったんじゃねぇか?」
事実プレイヤーがモンスターに乗っ取られるなんて聞いたことがないし、その対処の仕方がわからないためこうするしかなかった。
「和解するとか、あるじゃないですか!」
和解?はっ、なにを馬鹿なことを。
「こっちを殺しに来てるやつとどうやって和解しろと?というか、それに以前にお前らは俺に助けを求めた。自分達でなにもできなかった奴が、文句をいえるとでも?」
「それはっ」
「第一、プレイヤーに憑依したってことは、街にはいることができるってことだ。実際に入ってたろ?ってことは、街の中は安全じゃなくなる。街に引きこもる奴らにも被害が及ぶってことだ、わかってるか?数万の命と、ミレッシェ一人の命。どっちが重い?」
大の虫を助けるには小の虫を切り捨てるのは当然だろ?という俺の言葉に、ガヤ達は黙り込む。さあ、どうでる?激昂して襲いかかってくるか?
「……りました」
「あ?」
「わかりました。最後にギルドマスターをプレイヤーに戻してくれてありがとうございました」
そう言ってガヤ達は【忘却の谷】を後にした。
思ったよりも大人だった、か。
「カナ!」
「うおっ」
ギルドホームへ入った瞬間、エミリアが飛びついて来た。
「心配、したんですよ!」
「悪りぃ。どうしても、クリアしたくてな。それよりも、皆を集めてくれ。重大なことがわかった」
「わかりました」
エミリアは眼に貯めていた涙を拭い取ると、皆を集めるために走って行った。
「さて、再び集まってくれてありがとう。そして、一人で行って済まなかった」
会議室へ全員が集まったことを確認し、はじめにそう頭を下げる。
「責任をとって謹慎、といきたいところだが、そうもいかなくなった。【忘却の谷】をクリアしたあと奥にいくと、ある壁画があったんだ。そこには、第四の街の先にある塔が書かれていた」
「塔?」
「ああ」
小首をかしげたカヤに、俺は頷く。
「その塔の一番上には、橋があった」
橋がある。そう聞いた全員はにわかにざわめき立つ。
「この壁画を見て確信した。この塔をクリアすると、第二の大陸へ行ける」
そう言った瞬間、全員に戦慄が走った。
そう、第二の大陸に行ける塔に、なにもいないわけがないからだ。




