教育
ポーションを作った翌日。
ギルザックからメッセージが届いた。内容は、【悪魔の手引き】のギルドメンバーの中に種族が【ウルフ】の少女がいる。【ウルフ】といえば【半獣化】による身体能力の向上が大きなアドバンテージとなっているが、その少女は【半獣化】を使えないらしい。だから、同じ【ウルフ】である俺に使い方を教えてくれ。というものだった。
今日は予定はなにもなかったため引き受けることにした。
待ち合わせ場所は当然【鍵重なる沼】。
時間は決めていなかったので昼飯を食べてから来たのだが、もう既に【ウルフ】の少女は【鍵重なる沼】にいた。
「昼飯は食べたのか?」
「あっ、はい!」
取り敢えずそう切り出し、話し掛ける。少女はくるりとこちらへ振り向き、快活な声でそう答えた。
「俺はカナ。種族は同じ【ウルフ】だ」
「私はティアといいます。【ウルフ】です。よろしくお願いします」
自己紹介をしながら手を差し出す。ティアも手を差し出し、握手を交わした。
「早速だが、なんでティアは【半獣化】を使えないんだ?」
そこがわからないとどうにもならないため、まずは聞いて見ることにする。
「私は速さを主体にした戦い方がしたかったので、【ウルフ】を選びました。【半獣化】も興味があったので。でも、いざ【半獣化】すると、気が昂ぶっちゃって暴れ出しちゃうんです」
「あー、確かに昂ぶるよな。こう、昂揚感、というかなんというか」
だんだんと戦うのが楽しくなってくるしな。
「ちなみに、敵味方の区別はつくか?」
ティアは俺の言葉に頷いた。
つかなきゃ大変だが、一応つくのか。
「制御しなきゃと思うんですが、なかなかうまくいかず」
「別に制御しなくていいんだぜ?」
「えっ?」
首を傾げながらいった俺の言葉に、ティアは素っ頓狂な声を上げた。
「敵味方の区別がつかなければそれはつくようにしなきゃいけないが、つくんだろ?だったらいいじゃねぇか。別に一人で戦うわけじゃない。回復役、支援役、壁役は仲間に任せて、昂揚感に身を任せて戦えばいいじゃねぇか」
妙に説得力があったようで、ティアはかなり考え込むように顎に手を当てた。
「そうですよね。一人で戦うわけじゃないですもんね」
そう呟いたティアは、顔を上げて俺の顔を見つめた。
「ありがとうございます。それで、お願いがあるんですけど」




