PvP II
「【二連撃】!」
ポイズントレントの攻撃を全て捌き切り、【二連撃】を叩き込む。【双剣:湖竜刀水桜】がポイズントレントを切り裂き、ポイズントレントはポリゴン片となって砕け散った。
「ふぅ」
群がっていたモンスターをあらかた片付け終え、やっと一息つく。それにしても、ずいぶんとレベルが上がりにくくなったもんだ。三十程度じゃ対した経験値にならないのかね。
一応ここは最前線なんだけどな。
ままならないものだ。
「さて、さっきからこそこそとつけているやつ。出て来いよ」
ギルドを出た辺りから感じていた気配に呼び掛ける。呼び掛けてからしばらく立ったあと、俺の影から少女の体が飛び出して来た。
「気付いてたの?」
「いや、バレバレだろ」
出てきた少女は身長140cm程度の小柄な体をしていた。
「私の名前はアイナ。よろしくカナ」
「よろしく、じゃない。なんか用か?」
俺の問いかけに、アイナはこくんと頷いた。アイナ?聞いたことないな。相手も俺のことを一方的に知っているみたいだが、俺はアイナのことを知らない。敵意があるわけでもないな。レッドプレイヤーの俺を恐れたわけでもない。本当になんのようだ?
「私とPvPして欲しい。そして、貴方が負けたら私を【死神の気まぐれ】に入れて」
決意を込めた目を俺に向け、アイナはそういった。
「それは俺一人で決められるものじゃないな。入れる入れないかはあとで決めるとして、やるか」
メニューを開き、PvP申請をアイナに送る。アイナは躊躇いもなく申請を受けた。モードはデスマッチ。擬似HPがなくなるまで続く。
「【シャドウチェーン】」
カウントがゼロになった瞬間、俺を影の鎖が縛り付けた。へぇ、やるじゃねえか。
「んで?ここからどうする?」
「こうする。【シャドウナイフ】」
アイナは自分の影からナイフを作り出し、俺へ投擲する。なるほどなるほど。これで一撃で仕留めるつもりか。確かにこれは強烈なスキルだ。
「だが」
相手が悪かったな。
「【半獣化】ウォァァァァァァァァ!」
「くっ!」
鎖に縛り付けられたまま、【半獣化】して鎖を強引に引きちぎる。そして、ナイフを咆哮で吹き飛ばす。
「さぁて、ここからが本番だぜ?」
「【シャドウウォー「逃がすかよ!!」
影の中に逃げようとしたアイナを殴り飛ばす。アイナは宙を飛び、地面を転がった。
「【シャドウソード】」
アイナは自分の影から剣を作り出すと、俺へ走る。剣で勝負か?いいぜ、やってやろうじゃねえか。【双剣:湖竜刀水桜】を抜き、アイナを見据える。
「はぁっ!」
気合いと共にアイナは俺の首をめがけて影の剣を突き出す。俺はそれをしたから掬い上げるようにして弾き、剣を振るった。アイナはその剣から逃れるようにして距離を取り、影のナイフを投げる。こがさしい!
「【抜刀術・飛燕】」
【大太刀:血吸いの禍太刀】を抜き放ち、半円状の斬撃を飛ばす。斬撃はナイフを砕き、アイナへ向かう。アイナは斬撃をしゃがんでよけ、躱された斬撃は地面を抉った。
「隙あり。【ウルフショック】」
しゃがんでいるアイナへ肉迫し、【ウルフショック】をアイナの顎に叩き込む。アイナのHPは全てなくなり、宙を舞った。




