【悪魔の手引き】との協力
「さて、いきなりPvPを仕掛けてきた理由を聞かせてもらおうか」
寝転がり、肩で息をしているギルザックへ近づきながら問う。ギルザックは身体を起こし、俺を見た。
「ある日、【死神の気まぐれ】が本格的に攻略に乗り出したという情報を得まして、私達【悪魔の手引き】も乗り出そうと思いましてね?どうせなら協力しようかと、そう思ったわけです。協力するにも相手の実力を把握した方がいろいろと安全でしょう?」
まあ確かにな。見ず知らずの相手と協力するより、実力や人格がある程度わかっている相手と協力した方がいいに決まってるわな。
「トッププレイヤー、プレイヤー中最強なんて表現は曖昧で、実際にどのくらい強いのかわかりませんよね?なので、把握しようかと思ったんですよ」
「なるほど、それでPvPを申し込んで来たのか」
俺の納得した様な言葉に、ギルザックは頷く。
「話は変わるが、お前のギルドのギルドメンバーの中にお前以外の男はいるか?」
協力をする前に、優先事項の確認をする。男性恐怖症のエミリア達に不用意に男を近づけさせるわけにはいかない。
「いえ、全員女性です」
「そうか」
返って来たギルザックの答えに、俺はほっと胸を撫で下ろす。そんな俺を、ギルザックは不思議そうに見ていた。
「貴方は変わりましたね。このゲームが始まった時の貴方は、ただひたすらに一人で強くなることだけを考えて行動して来ました。そんな貴方が、ギルドメンバーを思うなんて、不思議なことです」
「背負うもんが増えたからな。ソロの時は自分のことだけを考えていれば良かったが、今はギルドメンバーの命を預かってる。そりゃ心配したりするさ」
頭を上げ、空を仰ぐ。高く、青く澄み渡った空に悠々と浮かぶ雲は、俺たちの胸中を知らない様に呑気に風に流されていた。
「さて、協力の件だが、ぜひ参加させてもらおう。俺の初撃を防ぐお前とならな」
まだ地面に座っているギルザックに手を差し伸べる。
「わかりました。これからよろしくお願いします」
「おう」
ギルザックは嬉しそうに俺の手をとった。
カナ達が闘技場を去った後、ギャラリーの影から一人の少女が顔を出した。
「あれが、プレイヤー中最強」
カナが去って行った方向を、じっと見つめながらそう呟く。少女のHPゲージの上には、アイナと書かれていた。
「【シャドウウォーク】」
何かのスキルを発動させたアイナの姿は、影の中に消えて行った。




