PvP
部屋でエミリアとゴロゴロしていた頃、ギルドホームの扉がノックされた。扉を開けようとしていたエミリアを止め、部屋へ帰っているように言う。エミリアが部屋に戻ったのを確認すると、扉を開けた。
「こんにちは【死狂狼】」
扉の向こうに立っていたのは、PKギルド【悪魔の手引き】のギルドマスターだった。
「何のようだ?」
「いえ、少し貴方に用がありまして。少しついて来てくれませんか?」
有無を言わせぬ声色で【悪魔の手引き】のギルドマスターは、俺に告げた。
連れてこられたのは闘技場だった。本来ならばギャラリーに見守られてPvPをする場所なのだが、ギャラリーは誰もいなかった。ここにくるってことは用件は一つ。
「PvPか」
「はい。同盟を組んだと言っても、まだ私達同士実力を把握していなかったと思いまして」
成る程。まあ確かに背中を任せるには互いの実力を把握して方がいいわな。だが、なぜ今?
「その疑問には勝ったら教えてあげますよ」
「へぇ、言うねぇ。いいぜ、やろう」
見え透いた挑発だが、あえて乗ってやろう。
「デスマッチでいいか?」
「はい」
PvPメニューからデスマッチを選択し、【悪魔の手引き】のギルドマスターにPvPを申し込む。承認されたのを確認し、【双剣:湖竜刀水桜】を構える。
「あ、そうそう、私の名前はギルザックです」
「今更自己紹介かよ」
ギルザックは剣を構えているのをみるに、第一職業は【剣士】だろう。残すは第二職業がなにか、か。
まあ、戦ってみりゃわかることか。
「【ダッシュ】避けれるか?【スラッシュ】」
「くっ!」
カウントがゼロになったことを確認し、ギルザックが前へ出る前に【ダッシュ】で五mの距離を一気に詰めて肉迫する。そしてそのまま【スラッシュ】で斜めに切り上げる。ギルザックはギリギリ剣を縦に構え、【スラッシュ】を受け流した。ほぉ?なかなかやるな。
「【回し蹴り】!」
「ぐぁ!」
俺はそこから【回し蹴り】をギルザックの横腹に叩き込み、吹き飛ばす。LV差もあってか、ギルザックの擬似HPを半分削り取った。
「反則過ぎますよ。というより、速過ぎます。攻撃が全く読めない」
そりゃそうだ。こっちのAGI累計500超えてんだ。読める方がおかしい。
というより、よく初撃を避けたな。
「んじゃ、ギアをもう一つあげるぜ」
【笑い狂う黒狼】の称号の効果をONにする。バッドステータス【狂気】は無効化されるため、AGIとSTRだけが+20される。
「せぇの!【ダッシュ】【半獣化】【ターン】【ダブルクラッシュ】」
ギルザックに肉迫し、目の前で【半獣化】を発動させ、【ターン】でギルザックの後ろに回り、【ダブルクラッシュ】で吹き飛ばす。
ギルザックは地面をバウンドしながら転がり、闘技場の壁に当たって止まった。ギルザックの擬似HPはゼロになり、俺の視界の上にwinの文字が出た。




