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【Skill&Level ONLINE】  作者: 柊 紗那
第八章 【鍵重なる沼】
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鍵重なる沼、ウロスの苦悩

翌日、俺たち【死神の気まぐれ】は各自攻略に向けて動き出した。俺とエミリア、それからカヤは【鍵重なる沼】へ。残りのメンバーは【湖の桟橋】へ向かった。【鍵重なる沼】にPOPするモンスターはすべてバッドステータス【毒】になる攻撃をしかけて来るため、毒消しは忘れない。


「邪魔ァ!【虚斬】」


飛びかかってくるポイズンフロッグを【虚斬】で切り捨てる。ポイズンフロッグはそのままポリゴン片となって砕け散った。


「やはり化け物ですね。カナ」


「そっちこそな」


エミリア達も戦闘を終えたようで、カヤと一緒に近づいてきていた。そのまま俺とエミリアは目を合わせて見つめあう。エミリアは俺と恋人同士になって、俺の呼び方を呼び捨てに変えた。俺としてもさん付けじゃない呼び捨ての方が距離が縮まったみたいでかなり嬉しい。


「ねえ、二人とも。ここフィールドだよ?」


カヤの呆れた声に俺達はばっと体を離した。は、恥ずかしい。


「っとと、敵か」


ちっ、恥ずかしさに悶えていたとは言え、ポイズントレントをここまで接近を許すなんて。ポイズントレントの攻撃はリーチが長く、手数が多い。遠距離でも厄介なのに、近距離になるとさらに厄介になる。しかも、数多い攻撃の一つでも掠ったりすると【毒】になるため、すべて避けなければならない。


「散れ!【半獣化】!」


俺は【半獣化】すると共に二人に指示を出す。ポイズントレントは自身の枝を鞭のようにしねらせて俺に振るう。


「っと、ほっ、よっ」


俺は【双剣:湖竜刀水桜】で無数の木の枝を捌き続ける。これ、結構キツイな。


「『アイスバロック』」


俺が枝を捌き続けている隙に、エミリアがポイズントレントを氷の塊で押し潰す。が、直ぐに氷の塊を砕いてエミリアへタゲを移した。


「させるかよ!【鎧通し】!」


木の枝をエミリアへ向けさせる前にポイズントレントへ接近し、【鎧通し】を叩き込む。ポイズントレントの中を衝撃波が通り抜け、ポイズントレントは吹き飛ばす。ポイズントレントはそのままポリゴン片となって砕け散った。

ったく、ここは厄介なやつしかいねぇな。


「さて、かなり進んだことだし、帰るか?」


「そうですね、今焦っても仕方がありませんし、帰りましょうか」


「疲れたしね」


俺の言葉に二人が頷き、俺達はギルドホームへ向かった。












【死神の気まぐれ】のギルドホームには、男女に分かれた大浴場がある。常時お湯が湧き出ており、お風呂というよりは温泉に近いかもしれない。


ギルドホームへ帰ってきた俺達は精神的ダメージを癒すため、大浴場にやってきていた。体を洗い、しばらくお湯に浸かる。

こうして一人になるといろいろと考えるな。

俺もマーカーが赤になったけど、本当に良かったんだろうか。少なからずエミリアとカヤは気にかけているだろうな。なにか別の方法があったんじゃないか?マーカーが赤にならず、エミリアとカヤが助かる。そんな方法が……。いや、そんなことを考えても無意味か。


「ん?念話?しかもウロスから、か」


なにかあったか?取り敢えず出て見るか。


「なんだ?急に」


『おお、繋がった。いやな?久々にカナの声を聞きたくて。ほら、最近あってないだろ?』


「まあな」


『最近どうだ?うまくやってるか?』


「ぼちぼちだ。二〜三回死にかけたけど」


『おいおい』


「そっちはどうだ?」


『んー、まあ、ぼちぼちだ』


「そうか。それで?なにかあったんじゃないか?」


『…………』


なにかあったんだな。


「彼女が出来た』


「はぁ!?」


衝撃のカミングアウトに思わず立ち上がる。お、おお、よく出来たな、あの熊顔が。


「まあ、おめでとう」


『ありがとう』


「おう」


『…………お前に、相談があって、な。俺の彼女、エレナっていうんだけど、その子と今同棲しているんだ』


「おう」


『その子との生活が楽しくてな?一日なんて直ぐ過ぎるんだよ。でも、ふと瞬間に頭を過るんだ。リアルじゃこうはいかないって』


「ああ、確かにな」


『そう考えたらよ、俺、この世界から出るのが怖くなったんだ。エレナはな?障害で歩けないんだそうだ。この世界だからこそ歩いたり、走ったりできるけど、リアルじゃ…………出来ないんだ。街を回って食べ歩きするのも、追いかけっこするのも。リアルじゃ無理なんだ』


「…………」


『そのことを突きつけられてから、俺はこの世界から出たくなくなった。あんなに帰りたかったのに、今は帰りたくなくなっちまったんだ。攻略するのも出来なくなったんだ。わかってる。この世界はデータだ。一時の夢だってことは。でも、俺はこの都合のいい夢に浸っていたいんだ。最後の最後まで。だから、お前が、終わらせてくれ。お前の手で、終わらせてくれ』


「いいのか?」


『ああ!』


「わかった。終わらせてやる。だからお前は、その子との幸せをかみしめてろ」


『ありがとう。お前に相談してよかったよ。本当にありがとう。それじゃあな』


ウロスはそういい、念話を切った。浮かしかけた腰を下ろし、壁にうつかる。

あいつも、苦労してるんだな。

物思いに浸りながら、俺はもう少し湯にあたっていた。























































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