来訪
【蜜の溜まり場】の残りがいないことを確認し、エミリアとカヤの元へ駆ける。二人のHPゲージは黄色まで減って居た。
「大丈夫か?」
「ふぅ、助かりました。カナさん」
「本当に」
俺の言葉にそう返した二人は、事前に渡したHPポーションを飲み始めた。一気に黄色だったHPが緑まで戻った。さて、これでひとまず安心か。
「はぁ〜〜」
途轍もない不安から解放され、思わず座り込む。ホッと息をついていたエミリアは、座り込んだ俺をみて顔を陰らせ、頭を下げた。
「カナさん。すみませんでした」
「?何がだ?」
すぐに念話で助けを求めなかったことか?それともホルンに俺を連れてこさせたことか?
「私達のせいでマーカーが……」
「そんなことか?別にいいさ。マーカーが赤になろうとオレンジになろうと関係はない。それはともかく、お前らが無事で良かった」
立ち上がりながら、俺はそう口を開く。二人はまだいいたいことがありそうな顔をしていたが、俺と同じように立ち上がった。
それにしても、まさかいきなり襲って来るなんて思わなかったな。思ったより【蜜の溜まり場】のギルマスが短絡的だったのか、それとも誰かの差し金か。どちらにせよ、しばらく警戒するに越したことはないか。
そんなことを考えながら、俺達はギルドホールへと歩いた。
深夜、部屋の中に、コンコンと控えめに扉をノックする音が響いた。ベッドでぼーっとしていた俺は、体を起こして扉へ呼びかける。
「どうぞ」
「失礼します」
扉の向こうにいたのは、寝間着姿のエミリアだった。俺の顔をみたエミリアは、そっと顔を俯かせた。最近多いな、こうしてエミリアが姿を見せるの。
「どうした?」
「あ、あの、カナさん。明日の夜七時に、私の部屋へ来てもらえませんか?」
俯かせていた顔をあげ、俺の目を見つめ、エミリアは顔を赤くし、そう俺に言った。




