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【Skill&Level ONLINE】  作者: 柊 紗那
第六章 機械仕掛けの虹の女神
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同盟



『黒の森』の外へ出た時には既に日が沈んでいた。やや早足でギルドホームへ帰還した俺は、予め用意されていた夕飯を食べると、沸かされていた風呂へ入り、自分の部屋の執務卓に座っていた。


「ギルドマスター、居ますか?私です」


「鍵はかかってないから入ってきてくれ」


コンコンと控えめに扉がノックされる音が部屋の中に響き、部屋の中に入るように促す。


「失礼します」


恐る恐る開けられた扉の向こうにいたのは、寝間着姿のエミリアとカヤだった。二人の姿を確認した俺は、二人にソファーに座るように勧め、対面のソファーに腰掛ける。


「そうそう、夕飯ありがとな、二人とも。用意してくれたのは二人だろ?」


「いえ、その……どういたしまして」


「簡単なものだったし、手間もかからなかったから」


いや、手間はかかってるだろう。てか、アジの開きと味噌汁、小松菜のお浸しが簡単な物ってどういうことだよ。


「手間はーーいや、なんでもない。それはさておき。二人に相談っていうか、事後報告がある」


言いかけた言葉を飲み込み、本題を切り出す。少し頬を赤らめていた二人は、俺の言葉を聞いた途端、表情を引き締めた。


「俺たち【死神の気まぐれ】は、【悪魔の手引き】と同盟を組むことにした」


「「はっ?」」


が、次の言葉を聞いた二人は素っ頓狂な声を上げ、口を半開きにして固まった。


「だから同盟を組むって言ったんだ。どうにも俺は誤解をしていたらしい。おかしいとは思っていたんだ。二大PKギルドと言われていながら、すぐに頭角を表した【蜜の溜まり場】と比べて、【悪魔の手引き】についてはあまり表に出てこない、つまりは噂にもなっていない。今日『黒の森』でそのギルドマスターとあってきたんだが、これで確信した。あいつは俺と同じ、同類だ」


「……何かを守るためには手段を選ばず、自分に敵対するプレイヤーだけを殺すってこと?」


鋭過ぎる妹に苦笑しながら、俺は頷く。


「【悪魔の手引き】のギルドメンバーは殺戮を楽しんでいるのではなく、ちゃんとした大義名分を持って殺していると?」


「ああ。事実確認をすれば、あいつらは自分達に目をつけたプレイヤーだけを殺しているそうだ。つまりは、自分達に好意的なプレイヤーには、其れ相応の好意を返しているってわけだ。【悪魔の手引き】なんて名前も、PKギルドとして名前を轟かせれば、ギルドメンバーに被害が及ばないようにっていう処置として付けたらしい。勿論全てを鵜呑みにしているわけではないが」


説明する俺に、二人は特に口を挟まず、静かに聞いているだけだった。話が終わったことを確認したカヤが、交わした同盟は?と急かした。


「簡単に言ってみれば、一つ、互いに不干渉を貫く。但し、このゲームの攻略に必要なことであれば干渉し合う。一つ、定期的に連絡を取り合い、情報を交換する。一つ、【悪魔の手引き】は今後出来る限りPKを控える。ってところだな」


「【悪魔の手引き】がその同盟を破る可能性は?」


「勿論あるだろうな。だが、そうなったら俺が潰すから大丈夫だ」


そう言ってエミリアに笑いかける。が、安心させるために笑いかけたはずが、カヤとエミリアはものすごく怒った顔をしていた。


「ギルドマスター。貴方は自分のことを考えていません。貴方はいまレッドプレイヤーなのですよ!?既に六人を殺して。三日経てば元の緑に戻りますからいいとしても、十人殺せばもう赤から戻らないのですよ!?」


エミリアの言いたいことはわかる。ようは自分のことをもっと大事にしろってことだ。だが、


「レッドプレイヤーになるのを恐れて、大切な物を守れるか?他のプレイヤーから疎まれるのを恐れて、大切な物を救えるか?大義名分だけじゃ、手段を選んでちゃ、守れる物も守れない!救える物も救えない!俺は仲良しこよしをしにここにいるんじゃない。お前らを守るためにここにいるんだ。お前らを守るため、救うためならなんだってやるさ。喜んで汚れてやろう」


そんな優しい言葉は他の誰かに言ってやってくれ。俺にいうな。俺なんかに言っちゃだめだ。


「カナさん」


「にぃに」


二人とも、そんなに悲しそうな顔をするな。何を言ったってこれだけは変えられない。変えることは出来ない。


「まあそれはおいといて。同盟はさっき言った通りだ。ま、直接関わるのは俺だけだ。エミリア達、カヤ達は関係ないから安心しろ」


「わかり、ました。それでは、私達はこれで」


そう一声かけて、エミリアとカヤは部屋から出て行った。


「はぁ〜」


背もたれに思いっきり体重を掛けて、溜息を付く。俺がレッドプレイヤーになって、ギルドメンバー達に近づくやつがいなくなるなら、喜んで俺の名前を利用してやろう。自分だろうがなんだろうが、利用出来る物は利用してやる。

そこまで考えて、俺はソファーに座ったまま、眠りについた。



























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