PKギルド【悪魔の手引き】
現時点で【蜜の溜まり場】はあまり危険視するほどでは無い。LVも対したことはなく、プレイヤーとしての技術も無い。とすると、懸念すべきはもう一方のPKギルドか。判断するとしても圧倒的に情報が足りない。情報が無い時は情報がある程度集まるまでなにもしないことが一番だが、そんな悠長なことを言ってられるほど時間があるわけじゃない。流石にいきなり最強ギルドに喧嘩を売ってくることはないとは思うが、想定はして置くべきだろう。といっても、対処法は一つしかないが。もし喧嘩を売って来たとしたら、俺が【悪魔の手引き】を徹底的に潰す。
まあそれはおいといて。
「今の俺のマーカーは赤だ。一週間ほどで消えるといっても目立つことはするべきでないな。それはそうと、そこに隠れているやつ、出て来いよ」
ギルドを出た時から付け回されているこっちの身にもなって見ろ。敵意がないから取り敢えず放っておいたが、限界だ。
呼びかけても出てくる気配はない。なら。
「【抜刀術・飛燕】」
「っ!」
後ろに振り向き【大太刀:血吸いの禍太刀】で【抜刀術・飛燕】を放つ。斬撃が半円状に広がり、木々を薙ぎ倒す。
「いやはや、出鱈目過ぎですよ」
「こそこそとまあいい身分じゃねえか。PKギルド【悪魔の手引き】ギルドマスターさんよ」
木陰から出て来たのは、左腕を切り落とされた赤いマーカーのプレイヤーだった。
「やはりばれてましたか」
「バレるだろう、そりゃ。いまこの瞬間に俺に接触してくるPKギルドはお前らしかいない」
表面上は穏やかに取り繕い、いつでも【納刀術】を放てる用意をする。いつでもこいつを殺せるように。
「いやいやいやい!違うんですよ、敵対したいわけではありません。【死狂狼】に喧嘩を売りたいやつはいませんよ!」
俺の気配に気づいたこいつは、初めて慌てた表情を見せる。それはそうとなんだ?【死狂狼】ってのは
「我々PKギルドの中での貴方の異名ですよ。敵対したプレイヤーに容赦無く死を与える狂った狼。という意味です」
「ご丁寧にありがとな。てか、ナチュラルに人の心を読むな」
「いえいえ、なんとなくですよ」
そう言葉を交わして互いに笑い合う。仮面の笑みを浮かべて。
「んで、本題を話せよ。前置きはこれくらいでいいだろ?」
「ええ、まあ」
そういったこいつは、PKギルドのギルドマスターとは思えない真剣な顔をして、俺の目を見据えた。




