会議
ギルドホームへ戻ってきた俺たちは、ギルドメンバー全員を会議室に集めて居た。15人全員が集まったことを確認し、全員に紅茶を配る。
「ギルドマスター。私達はなんで呼ばれたのでしょうか?」
全員が集まってもなにも切り出そうとせず紅茶を飲んでいた俺に、ファルが挙手をしながら問いかける。
「ああ、まず、忙しい中集まってもらって感謝する」
その問いに答える前に、ギルドメンバー全員に頭を下げた。いきなり頭を下げた俺に全員があたふたし出すが、それに構っている余裕なはない。
「今から話し合うことは、このギルド【死神の気まぐれ】のこれからを決めることだ。PKギルド【蜜の溜まり場】について知らない人はいるか?」
俺の質問に、全員が首を横に振る。流石にこれだけ注目されてるんだ。知らない訳がないか。
「俺とエミリア、それからカヤはさっきそのことで他ギルドと会談をして来た。同盟を組むという話があったが、当然それは断った。男が不用意に接触してくる危険性があったからな」
確かに断った理由に行動が制限されるということもあった。だが、それは些細な理由でしかない。俺が一番懸念して居たことは他にあった。今、エミリア達はβテスト時代トップギルド【妖精の気まぐれ】のメンバーという少し近づき難い印象が、俺以外の全プレイヤーに植え付けられている。そのおかげで男性恐怖症のエミリア達に不用意に男が近づかず、今までなんとかやってくることが出来て居た。だが同盟などを組んで、他ギルドの男がエミリア達に接触する機会を増やしてしまうと、すぐに近づき難いという印象は拭われてしまうだろう。身贔屓を差し引いて見ても、エミリア達は美人の類に入る。しかも顔が良いだけではなくスタイルもいいため、どうにか親しくなろうと男達がこぞってエミリア達に接触しようとするのは目に見えている。そしてエミリア達が怖がることも。一ギルドを率いるギルドマスターとして、ギルドメンバーが怖がる状況はあまり作り出したくはない。そのため、近づき難い印象を払拭させることはなく、そのまま根付かせたままにしておこうと思っている。そう思っての行動だったが、エミリア達の反応を鑑みるに、俺のしたことはどうやら正しかったようだ。
「まあそれはそうと、今まで表に出てこなかったPKギルドが、こうして表に出てきた。これがどういう意味か、わかるな?」
「PKギルドが本格的に活動し始めた、ですか?」
おそるおそる挙手をしながら消え入りそうな声で答えたホルンの言葉に、俺は首肯する。
「確認のために言っておくが、普通にモンスターを倒すより、PKした方が得られる経験値は高い。今は俺達がレベルが上回っているからまだいいが、気を抜くと直ぐに追い抜かれることは目に見えている。そこでだ。俺達も本格的に活動し始めようと思う。具体的に言うと、レベル上げだ」
PKに対抗するためには、ひたすらレベリングするしか方法はない。
「これからエミリアとカヤを含めた全員に、『湖の桟橋』を攻略してもらう。目標は最深部にいるボス、オケアヌスの討伐だ」
オケアヌスは、ステータスが他のボスと比べて低いため、特殊攻撃に気をつけていれば比較的楽に倒すことが出来、かなりの経験値を得ることが出来る。手数の多い攻撃を重心的に使ってくるため、今後のそういう相手との戦闘で必ず役に立つ。
「カナさんはどうするのですか?」
今まで静かに話を聞いていたフロートが俺に問いかける。
「俺は【蜜の溜まり場】のメンバーのレベルと職業を調べようと思っている。というより、実際に戦ってくる」
「お一人で、ですか?」
「俺は多人数で戦うより、単独で戦った方が戦いやすいんだよ。守るものもないし、何も気にかけることなく戦える。それに、一人の方が相手も油断するだろ?」
そういって、片目を瞑って戯けて見せた。
「よし、それじゃ解散。エミリア、カヤ。皆のことは頼むな?」
俺は会議を終了させると、エミリアとカヤに向き直りそうたのんだ。エミリアとカヤは、何も言わずに頷いた。




