レナレス
「にぃに!」
「あ?」
広場から離れて少し、俺を呼び止める声が聞こえ、振り向いてみると香久夜がそこにいた。
「にぃに、一人で行くの?私達と一緒に行こうよ!ね?」
そういえば、香久夜達は元βテスターだったな。確かにβテスターについて行けば、かなり安全に行くことが出来るだろう。だが、俺の戦い方はパーティプレイには向いてない。
「香久夜、心配してくれてるのは嬉しい。だけどな、俺は一人でやりたいんだ」
「……どうしても?」
「どうしてもだ」
「……わかった。じゃあ一応フレンド登録だけやっちゃおうよ」
「そうだな」
「へえ〜。カナにしたんだ。にぃに」
「お前はカヤにしたんだな」
「うん!じゃあまたね?ちゃんと生きて残ってよ?」
「ああ。お前こそな」
カヤと別れ、始まりの草原へと向かう。目指すは始まりの草原を越えたところにある街、レナレスだ。いくらモンスターのPOP数が多いからって、POP数にも上限がある。すぐに 始まりの草原は狩り尽くされるだろう。効率よくレベルアップする為には早めに始まりの草原を出た方がいい。
「またホーンラビットか」
俺の姿を認識したホーンラビットは、すぐさま俺に突撃して来た。俺はそれをよけ、一撃ホーンラビットに入れ、左手でもう一撃いれる。ホーンラビットはポリゴン片となって砕け散った。
「LV12じゃこんなもんか」
そういって俺は走り始めた。高いAGIがある為、かなりの速度が出ている。途中にモンスターがPOPしたが、【スラッシュ】で切り捨てた。
「ん?暗くなり始めたか。【夜目】とっといて良かったな」
夜になると真っ暗でレベル上げなんてできないからな。ま、俺にはパッシブスキル【夜目】があるから視界を確保できて助かったが。そしてまた走り始める。しばらく走ると、レナレスに到着した。
「よし。着いたか。まずは装備を買わないとな。メニューメニューっと、ん?」
メニューを開いてみると、アイテム欄に見慣れないものが会った。
「なになに?【グリムソード】【セイクリッドソード】?」
なんだこれ?グリムソード攻撃力+18!?セイクリッドソード攻撃力+17!?なんだこれ?強すぎだろ。初期の武器の鉄の片手剣は攻撃力+3しかないため、その差は一目瞭然だ。ん?突然メッセージが入ったな。『広場で君だけが今どうすればいいかを考え、そして行動した。 この二つの剣は餞別だ。頑張ってクリアしたまえ。GM』……言われなくてもクリアするさ。今は鉄の片手剣だからな。当然ながら装備する。ちなみに今は4600Gある。まあそれだけあればいい防具買えるだろ。
「すみません」
「はい、あ、いらっしゃいませ!」
「布装備見せてもらえますか?」
「ちょっと待っててくださいね」
すげえ。ちゃんと人みたいに会話できてる。ちょっと半信半疑だったけど、NPCと会話出来るってなんか楽しいな。
「お待たせしました」
NPCが持ってきたのはこれらだ。
布の服含む布シリーズ
防御力+10
1000G
ウェンウルフの皮を使った全身が黒色のシリーズ
防御力+15 AGI+5
1600G
外套
防御力+3
800G
の三つだ。
その中から俺は、ウェンウルフシリーズと外套を買った。残金は2200G。
その金で、150Gの初心者ポーションを5つ買った。
「そういやここから北にいくと森があったな。レベル上げに行くか」
俺は新たなフィールドへと足を進めた。
名前:カナ
第一職業:剣士 LV4
第二職業:召喚師 LV4
LV:13
ステータス
HP:120
MP92
STR:41
AGI:60+5
DEX:47
INT:36
MDF:35
VIT:41
LUK:36
防具
頭:ウェンウルフのフード
胴:ウェンウルフの服
腕:ウェンウルフのグローブ
腰:ウェンウルフのズボン
脚:ウェンウルフの靴
防御力+15
右手武器:グリムソード攻撃力+18
左手武器:セイクリッドソード攻撃力+17
アクティブスキル
【スラッシュ】【サモン】【ダブルスラッシュ】【ダッシュ】【ステップ】【二連撃】【索敵】
パッシブスキル
【夜目】
【ダブルスラッシュ】や【二連撃】は二刀流剣術の熟練度が上がったことにより新しく増えたスキルです。
【ダッシュ】や【ステップ】は誰でも最初から持っているスキルです。
【サモン】は第二職業:召喚師を選択したことにより、自分の持っている召喚獣を召喚するスキルです。
ちなみに召喚獣は、呼び出す時にコストとしてMPを消費します。呼び出している間も、その時間だけMPを消費します。しかし、主人公は【MPコストカット】というスキルを選択したので、これらのMPを消費しなくても使えるようになりました。
【MPコストカット】は初めに選ぶことが出来るスキルで、ようは隠しスキルといい、普通なら見つけにくいところにあるスキルです。主人公は偶然見つけられたのでチートな能力を手にしました。