意外な訪問者
四人を連れ、ギルドホームへ帰った俺は、自己紹介を済ませ、執務室の中で、四人に書類を書かせていた。
「カナ、出来たよ。これでいいのかい?」
「ああ、ありがとう」
四人分の書類をを受け取り、判子を押して行く。この書類には、ギルドへの加盟をきぼうする人の名前と性別が書かれている。そこにギルドマスターが判子を押すことで、書類に書かれている人のギルドへの加盟が認められるというシステムだ。
「ようこそ我がギルド【死神の気まぐれ】へ。改めて自己紹介を。【死神の気まぐれ】ギルドマスターのカナだ。よろしく」
一応ギルドマスターのため、少し口調を変えて、四人の加盟を歓迎した。
「つっても、別になにか誓約があるわけでもないんだよな。ただ自分のペースで攻略を進めればいいっていうことだけで、あとは自由だ」
さっきから飛んで喜んでる四人に、一応注意事項を伝え、部屋の場所を教える。そして、あらかじめ購入してあったインテリアを四人に渡した。
「あとは、料理人、か」
自分の部屋に戻り、ベッドへ寝転んだ俺はは、そんなことを考えていた。せめて三人の料理人が欲しい。っと、ギルド資金はどうなってんだ?
「1000000Gって……多過ぎないか?【ギルド機能開放者ボーナス】のせいか」
まあ、多いに越したことはないんだがな。ボーッと考え事をしていた俺の耳に、扉をノックされる音が響いた。
「お、エミリアか。まあ、入ってくれ」
「お邪魔します」
エミリアは、扉の前で一礼すると、静かに入ってきた。ソファーに座るように勧め、俺はお茶を入れる準備をする。
「それで?どうかしたか」
「そうですね、カナさん、料理人って、必要だと思いませんか?」
「だな。俺も同じことを考えてた。三人くらい欲しいよな」
エミリアの前のテーブルにお茶を置き、自分のお茶を持って、エミリアの対面に座る。
「最低限、ですけどね。それでですね……」
途中でエミリアが口ごもる。ま、いいたいことはわかる。
「安心しろっていうのは少しおかしいと思うが、女性だ。男は基本的に入れない」
俺の言葉に、エミリアが安堵する。そういや、まだエミリア達はオケアヌス倒してなかったな。といっても、俺が倒してあるから、既にエミリア達も倒してあることになっているんだが。
「エミリア、強い武器とレベルアップがしたいなら、明日は『湖の桟橋』に行って、オケアヌスを倒してきたらどうだ?ギルドメンバー連れて」
「カナさんはどうするんですか?」
「俺は、第三のフィールドを調査してくる」
「お一人で?」
んー、どうしようか。第三のフィールドは遺跡っぽいしな。【盗賊】は連れてった方がいいよな、やっぱり。
「それなら私がついていきますよ」
「『湖の桟橋』はどうするんだ?」
「また今度にします」
今度か。まあ、第三のフィールドでもレベルアップは出来るしな。
「わかった。んじゃ、明日な。不必要な物を倉庫に入れとけよ。死に戻りした時に全ロスするからな」
「はい。夜遅くにすみませんでした。お邪魔しました」
エミリアを見送り、湯のみを片付ける。その後、ドロップ品などを倉庫に入れ、眠りにつく。倉庫に入れると、死に戻りした場合に起きるデスペナを回避することができる。経験値半減などは避けられないが。
さて、明日頑張るか。