表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【Skill&Level ONLINE】  作者: 柊 紗那
第一章 全ての始まり
4/115

ログアウト不可能

グダグダになってしまいました。

広場は喧騒に包まれていた。それもそうだ。ログアウトボタンが消え、ログアウトが出来なくなり、しかも強制転移だ。戸惑う人もいるだろう。その中でも俺は、なぜログアウトボタンが無くなったか、そしてこれからどうするかを考えていた。


「おい!あれはなんだ!?」


一人のプレイヤーが指差す。他のプレイヤーもブレイヤーが指をさした方を向く。


「なっ!?」

「どうなってんだ!?」

「あいつは誰だ!?」


そこには、だれもいなかったはずの空中に、赤いローブを来た男が浮いていた。フードを被っているため、顔を見えない。

そして、男が口を開いた。


「諸君。もう気付いているかと思うが、メニューからログアウトボタンが消えていることをご存知だろうか?これは事故などではない。繰り返す。これは事故などではなく、このゲーム本来の遊び方だ。なお、このゲームでの死は、現実世界には影響しない。このゲームで死んだ場合、装備しているものと特殊アイテムを除く、その他に持っているアイテムを全ロストし、この広場又は直前に泊まった宿に死に戻りする。現実世界に帰りたくば、この大陸を含め、八つの大陸に存在する無数のフィールドにいるボスをすべて倒し、その後に出現するラストボスを倒す事だ。なお、このゲームはハラスメント行為をした場合、ハラスメント行為を行ったプレイヤーを強制ログアウトさせ、そのブレイヤーのアカウントを削除する事となっていた。が、それは解除された。このゲームのフレーズを覚えているだろうか?『このゲームはもう一つの現実』というフレーズを」


まさかッ!?


「そのまさかだ。現実と同じく性行為が可能となる。そう、強引にという事も出来るのだ。そして、PKされて死んだ場合のみ、被っているヘッドセットから電流がながれ、脳がショートする。つまりは死ぬ。だが、プレイヤー諸君に悪いものばかりではない。このゲームにユニークスキルと称号、そして妖精を追加した。ユニークスキルは特定の条件を見たしたプレイヤーのみに送られる特別なスキルだ。得られる可能性が少ないため、かなり強力なスキルとなっている。称号も同様に、特定の条件を見たしたプレイヤーのみに送られるものだ。称号一つ一つに効果がついており、その効果はステータス強化や色々だ。妖精は、【調教(テイム)】に関係無く、一プレイヤーに一匹だけ妖精と契約出来る。ただし、妖精からよってこないと契約出来ないがな。そして契約出来る確率はかなり低い。だがこれは、LUKが高ければ確率が上がるという事ではない。いっただろう?もう一つの現実だと」


男の口から信じられないことが飛びだし、全プレイヤーに混乱がはしった。


「それはどういうことだよ!ここから出せ!!」

「そうよ!ハラスメント行為が認められるってどういうことよ!!」

「そんなの知るか!!さっさと出せよ!!」

「なんだよ、それ。嫌だ嫌だ嫌だ死にたくない!」

「意味わかんねぇよ!!クリアまでどのくらいかかんだよそれ!!早く出せよ!!」


次々とプレイヤー達が怒鳴り声を上げる。そして混乱はどんどん広がって行く。だが、そんな中で俺は随分と冷静だった。俺は、一つだけ男に質問したいことが出来た。


「幾つか質問いいか?」


「ほお。いいぞ」


俺がそう男に問いかけると、あんなに騒がしかったのがシーンと静まりかえり、こちらを向く。


「お前はさっき「これはもう一つの現実」だといった。それはどういう意味だ?」


「どういう意味だ、とは?」


「例えばNPCとかだ。事務的な、しかも決められた会話しかしないとなると、それはもう現実じゃないだろ。そんな人間いないんだから」


「こんな状況でこれほどの質問ができるとはな。まぁいい。答えよう。そうだ。お前の思ったとおり、NPCは、もうプレイヤーとかわらない。プレイヤーの諸君に忠告しよう。金輪際NPCに暴力的な行為や荒っぽい態度を取ると痛い目にあうぞ。この世界のNPCには感情があり、プレイヤーと同じように考えていて、行動する。つまり、今までと同じ扱いをすると、ものを売ってくれなくなったり、殺されたりする。NPCーーいや、この世界の住人と言った方が正しいか。この世界の住人に殺された場合も、PKの時と同じく、脳がショートする。十分気をつけることだ」


俺の考えは正しかったな。となると、この世界の全てが現実と同じようになると考えた方が良さそうだ。それだけわかっただけでも大収穫だな。


「答えてくれてありがとな」


「お前をこの世界に閉じ込めた奴に礼を言うか。不思議な奴だ。最後にプレイヤー諸君に餞別だ」


男がそういい、何かを操作する。すると、プレイヤー達が光に包まれた。


「おい、どういうことだよ!現実と同じ顔だと!?」

「戻せよ!こんなことする必要なんかないだろ!」

「戻しなさいよ!!」


プレイヤーを包んでいる光が消えると、プレイヤー達は、このゲームで作ったキャラではなく、現実の顔になっていた。静まり返っていたブレイヤー達が、再びざわめき出す。


「それではプレイヤー諸君。この世界を存分に楽しみたまえ」


と言い残し、男は消えていった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ