初戦闘
「………………」
一瞬の浮遊感の後、目を開けた俺は、びっくりした。現実と同じ風景。色々なものの匂い。肌を撫でる風の感触。視界の鮮明さ。NPCの動きの滑らかさ。どれをとっても現実世界と大差ない。心の中で密かに感動した。
「はっ!いかんいかん。こんなことしてる場合じゃない。とにかくフィールドに出よう」
しばらく呆然とした俺は、フィールド、始まりの草原へと向かった。
「うん。人が多いな。うん」
始まりの草原へときた俺は、そこにいたプレイヤーの多さに圧倒された。次から次へとモンスターがPOPしてもすぐに狩られてしまう。その為俺は、少し奥にいくことにした。
「やっぱり、奥にいくとモンスターのLVも上がるよな」
つぶやきながら武器を構える。
少し奥にいった俺は、初のモンスターと遭遇していた。視界に映っているモンスターは、ホーンラビットLV5だ。ま、LV1のプレイヤーが、LV5のモンスターを倒すなんて無理があるが、だが……
「それだからこそ面白い!」
そう言った俺に、ホーンラビットが飛んで、角を突き刺そうとしてくる。低レベルの相手や同レベルの相手との安定した戦闘なんてのはつまらない。高レベルモンスターとの生きるか死ぬか、手に汗握る戦いが楽しんじゃないか!
「流石はLV5、なかなか早い。が、俺にはーー」
ホーンラビットの突撃をよけ、着地したホーンラビットの後ろに回り込む。そしてそのままーー
「【スラッシュ】遅い!」
【スラッシュ】を発動させ、ホーンラビットに叩き込む。
「キュィィィ!」
ホーンラビットのHPを三割削る。ホーンラビットは悲鳴をあげ、こちらに振り向く。がしかし、その時には俺はもうそこにはいない。
「サモン:ゴーレム!ホーンラビットに攻撃しろ!」
「ゴー!」
ホーンラビットから距離をとった俺は、ゴーレムを召喚し、指示を与える。与えられたゴーレムは右手を振り上げ、ホーンラビットに振り下ろした。ようやくホーンラビットは振り向き、回避行動を取ろうとするが、すでに遅い。
「ギュィィィ!」
殴られたホーンラビットは宙を飛ぶ。ホーンラビットのHP四割減り、のこり三割となっていた。
「よくやった!あとは、任せろ!」
俺は宙を飛んでいるホーンラビットへと跳躍し、【スラッシュ】を叩き込んだ。
「キュ、イィ」
ホーンラビットは弱々しい鳴き声と共に、ポリゴン片となって砕け散った。
「よし!倒した!」
剣をしまった俺は歓声を上げた。その後、ポーンと音がなり、『LVが4になりました。ステータスポイントが8振り分けられます』という無機質な音声と共にLVUPが知らされた。
「一気に3UPか。やっぱり格上相手はいいな。レベル上げに最適だ」
俺はステータスを開き、ステータスポイントをAGIに5。そしてDEXに3振り分けた。その後も昼間で狩り続け、LVが12になった。
「もう昼飯を作らなきゃいけないな。さてと、ログアウトするか」
ログアウトする為に、俺はメニューを開いた。そこで俺は、目を見開いた。
「ログアウトボタンが、ない」
そう。一番なくてはならないものが消失していたのだ。一番したにあるはずなのに。どういうことだと考えていると、突然俺は光に包まれた。
「なんだ?強制転移か?」
目を開けると、ログインして立っていた場所、広場に集められた。
名前:カナ
LV12
第一職業:剣士 LV4
第二職業:召喚師 Lv4
ステータス
HP:117
MP:89
STR:39
AGI:58
DEX:45
INT:34
MDF:33
VIT:41
LUK:34
防具
頭:なし
胴:黒シャツ
腕:なし
腰:黒ズボン
脚:なし
右手武器:鉄の片手剣
左手武器:鉄の片手剣