各々の実力1〜エミリア・エミー〜
「この野郎ってなんだよ」
「オーバーキル過ぎんだよ!通常攻撃で一撃って…………あとなんだあの速度は!お前は風か?風なんだな?そうなんだな!?」
「いやちょっと落ち着けって」
「これが落ち着いてなんかへぼっ!?」
「落ち着け変態」
ヒートアップするエーズの頭をファミリアが殴り、エーズの頭が地面に食い込む。あ、このゲームFF無いんだな。
「さて、エーズは置いといて」
「置いとくんだ……」
「何気にカナって酷いんだね」
おいそこ女子二人、聞こえてる。
「次は、誰からやる?」
「私がやりましょう」
エミリア、か。さて、見せてもらおうか?【魔術師】の実力を。
エミリアが数歩前に出る。と同時にポイズンサーベントがPOPする。エミリアはそのまま悠然とポイズンサーベントへと歩いて行く。
「お、おい!魔術師がそんなに前に出るのは!」
ウロスがエミリアを止めようと声をかける。みんなも心配そうに見つめている。
「『アイス・ドール』」
ポイズンサーベントはエミリアの姿を見るなり、飛びかかり、噛み付こうとする。噛みつかれる直前にエミリアはアイス・ドールを唱える。ポイズンサーベントは、アイス・ドールに噛みつき、全身が凍結し、アイス・ドールはポイントサーベントの噛みつきにより、音を立てて崩れる。エミリアはあの一瞬で凍結したポイズンサーベントの後ろに回り込んでおり、『アイス・クラッシュ』を唱え、全身が凍結したポイズンサーベントを粉々に砕いた。
………マジかよ。アイス・ドールって確か盾代わりとして自分の前に出現させるって言う使い方じゃないのか?盾としても、少しの衝撃で壊れるため、使えず、触れたモンスターに氷属性のダメージを与え、高確率で凍結させるといってもダメージは食らうため、不遇魔法としてのレッテルを貼られていた。アイス・クラッシュも同様、バットステータス【凍結】になった相手しか使えず、砕くといっても、凍結したとこしか砕かず、対したダメージを与えられない。足や腕を砕き、相手の戦力を削れるのだが、めっったに【凍結】にならず、結果として不遇魔法としてのレッテルを貼られている。だがエミリアはアイス・ドールの高確率で【凍結】と、アイス・クラッシュの【凍結】した部分を砕く、と言うのを合わせ、確実な戦闘をしている。俺ほどではないが、ステータスポイントをAGIに多めに振って、そして【盗賊】によりAGIが少し上がっている。
「エミリア、お前強いな。正直驚いたぜ。これはもう不遇魔法なんかじゃないな」
「ええ。ありがとうございます」
「っ!?」
くっ!無表情から突然微笑むのはずりぃぜ。頬が赤くなっていくのがわかる。
「あ、かぁいい〜」
「うるさいっ!次だ次!」
「あ〜いいもの見た」
「おい、こら。次、お前だ」
「ひっ!」
俺の発する殺気にエミーが顔を青くしようが知らん。周りが震えようが知らん。ほら、ブラックベアがPOPしたぞ。は・や・く・い・け。
「うぅ。わかりました。【ツイストアロー】」
エミーは弓に二本の矢をかけ、放つ。二本の矢は、回転しながら飛んで行き、ブラックベアの両肩を貫く。
「はあぁぁぁぁあ!【スラッシュ】!」
両肩を貫かれ、背を曲げているブラックベアの頭に、飛んで【スラッシュ】を叩き込む。クリティカルポイントにあたり、HPを全損させる。
「うん。普通に強いな」
「ありがと。怖かった〜」
エミーは武器の使い方がうまい。矢の命中率はプレイヤーの腕に依存する。狙い通りに肩を貫き、突然下がった腕の重みに背を曲げてできた隙を見逃さず、剣に切り替え、頭に【スラッシュ】を当てる。背を曲げた所に、剣でいくか、弓でいくか、悩みどころだ。結構な決断力と胆力を持っている。
「私がいくわ」
次に名乗り出たのは、ファミリアだった。さぁて?ファミリアはどんな戦い方をするのかな?