戸惑い
うっすらと陰る森の中で夜空を見上げる。俺の心中などまるで関係ないかのように星々が空に瞬いていた。
「はぁぁ」
まさか、ホルンが俺のことを好きだったとは。全く知らなかったし、普段のホルンからは察することも出来なかった。だから、告白されて戸惑った。
「俺は、あれでよかったのだろうか」
既に好きな人がいる俺には、ホルンの告白を断るしかできなかった。その結果、ホルンを傷つけてしまった。
「だが、傷つけたくないからといって付き合うのは、エミリアもホルンもどちらも傷つけることになる」
そんなのは嫌だし、傷つけたくないからといって付き合うのは筋違いだ。本当に傷つけたくないなら、どちらかを受け入れて切り捨てるべき。
なのだが、本当にこれでよかったのか?ホルンを傷つけずにすむ方法もあったんじゃないか?
そんな考えが脳裏をよぎる。が、もしあったとしても出来なかっただろう。傷つけずにすむ方法があったとしても、これだけは言える。あのときとった行動は、俺の中の最善だった。
「人は無いものを求めてやまない、か」
ある偉人が言っていた言葉だ。俺にはホルンを傷つけずにすむ方法など思いつかなかった。その才能があるやつなら、方法が思いつけたんだろうが、俺にはその才能がない。その才能がもし俺にあったのなら……そう考える。才能が欲しいと求めてしまう。
そして、人間とはそういうものだと言っていた。
「だが無いものを求めても時間の無駄になるだけだ。可能性の無い話だ」
才能は生まれた時からあるものであって、努力で身につくものじゃない。技術は身についても、才能は身につかない。それを俺は思い知らされた。
「いつまでもぐじぐじしてても仕方がないな。ホルンとはこれからも顔を合わせていくし、一緒に戦っていく。腹をくくれ」
あげていた顔を前に戻し、ホルンが走り去っていったほうをむく。そういえば、俺はこの森に来たことがないな。ストーリーとは全く関係ないところは言ってなかったからなぁ。そういうところ、直したほうがいいか。
そんなことを考えながら、ホルンが走り去っていった方向へ歩を進めた。




