諦め切れない想い
振られた。
森を抜け、草原に出た辺りで立ち止まる。カナさんは、まだ出てくる気配はない。
振られた。
そう。私はさっきカナさんに告白して振られた。振られてしまった。
「ふぅ」
ああ、辛いなぁ。振ってくれて有り難かった。これで諦めがつく。だけど、やっぱり好きな人に振られるのは辛い。
もう泣き尽くしたと思っていた目から、涙が込み上げてきて視界が滲む。
「うぅっ」
本音を言うなら、カナさんと付き合いたかった。受け入れて欲しかった。もしかしたら付き合えるんじゃないか、そんな淡い期待もした。
でも、それは許されない想い。口に出してはいけない想い。カナさんにはエミリアさんがいるから。口に出してはいけなかった。だけど、カナさんは言葉にして伝えることを許してくれた。だから。だから満足だった。聞いてもらえた。それだけでよかった。なのにーー
「なんで、こんなに涙が出るんですか?悲しいんですかっ!?胸がくるしいんですか!?」
胸を押さえてうずくまる。苦しい。切ない。いろいろな想いが渦巻いて胸が張り裂けそうになる。そんなとき、私の背中を押してくれた人の声が聞こえた。
「好きな人を想って涙が出るのは自然なことですよ」
「エミリア、さん?」
涙を拭い顔を上げてエミリアさんの顔を見上げると、エミリアさんは途端にはがゆそうな顔をした。
「私は振られたことがないので想像でしか言えませんが、きっと辛いと思います」
「はい」
エミリアさんは屈んで私と目線を合わせると、目を閉じてそう言った。
「きっとその辛さは、耐え難いものなのでしょう。おどおどしてても、芯の強い貴女がそんなに泣いてるのだから」
エミリアさんは、私と同じくらい、いや、もっと辛そうな泣きそうな顔をして言葉を紡いだ。
「振られたことがない私には、あなたにかけられる言葉が見つかりません。ですが、前にも行ったように無理に諦めなくても良いんです。人を好きになるのは自然なこと。中には諦められる想いもあれば、諦められない想いもあります」
そう言ったエミリアさんは、想いを馳せるように続けた。




