デート
第4の街は中世的な街並みをしており、今までなかった物珍しい食べ物や素材などが売られている。その点に関してはある意味デートをするにはうってつけかもしれない。
「ホルン、疲れてないか?」
物珍しそうに忙しなくあっちこっち見渡すホルンに、俺はそう声をかけた。
実際、とても楽しそうにしていたが、あまりにも首をぐるんぐるん回すもので少し心配になったのだ。
「ひゃいっ!?」
急に声をかけたせいで驚いたらしく、びくっと飛び上った。あ、楽しい気分のところに水を差しちゃったな。
「は、はい。大丈夫です」
白い陶磁器のような肌を真っ赤に染め、三角帽子のつばを掴んで顔をかくしてしまった。
これじゃデートになってないじゃないか。はぁ、しかたがない。
「ぅえ!?」
部屋を出たときから繋ぎっ放しだった手を引っ張って歩き出す。ホルンはかなり素っ頓狂な声を上げた。
「ほらほら、そんなに俯いてたらデートにならないだろ?もっと楽しく行こうぜ」
「で、デート!?」
ん?デートって、ホルンが誘ったんだろ?何を今更驚いてるんだよ。
「おっちゃん!串焼き一つ!」
開業中の店の主人にそう声をかける。おっちゃんは俺を見た後すぐさま串焼きを焼き直し、二つ俺とホルンに渡した。
「あ、ありがとうございます」
ホルンは空いている手で串焼きを受け取ると、串焼きをじっと見つめた。
「ああちなみに、それポイズンフロッグの肉だから」
「っ!?」
「おっと」
美味しそうな匂いを漂わせている串焼きの材料が、ホルンの嫌いな蛙肉だと暴露すると、串焼きを手から滑り落とした。
俺は慌ててしゃがむと、地面に落ちる前に危なげに串焼きを拾った。
「か、かかかか蛙!?」
ホルンは自分の手を見つめ、青い顔でプルプルと震えだす。ホルンの手を取って串焼きを持たせると、安心させるように笑った。
「ほら、食べてみろよ。ここは現実じゃない。この世界の蛙と現実世界の蛙は別物だぜ」
そう言いながら、俺は串焼きにかぶりつく。
そんな俺を見て勇気がついたのか、小さな口で精一杯串焼きに噛み付いた。
「ん!美味しいです!」
もきゅもきゅと咀嚼した後、ホルンは笑みを浮かべてそう言った。




