デートのお誘い
「あ、あのっ、少し付き合ってくれませんか!?」
扉を静かに開けて入ってきたホルンは、突然そんなことを言い出した。その顔は真っ赤だ。付き合って欲しい、ね。その付き合って欲しいは多分買い物か何かの付き合ってだろうけど。珍しいな。ホルンがそんなことを言うなんて。
「あ、あの、なんか怖いです」
ホルンの真っ赤な顔を見てると、自分の顔が意地の悪い笑顔を作って行くのがわかった。
「ホルン。それはもしかしてデートのお誘い、ということかな?」
「は、はいっ!」
「……あれ?」
意地悪な聞き方をして見たところ、即答で肯定が返ってきた。おかしいな。てっきり顔をさらに真っ赤にしてたじろぐかと思っていたのに。はっ!もしやエミリアの入れ知恵か!こう言われたらこう言えばいいって言われたのか!くそっ、ホルンの純粋な反応を見て癒されるという俺の計画がっ!
「カナ、さん?」
「んっ?ああいや、なんでもないぞ?それはともかく、本当にデートのお誘いなのか?」
「はぃ」
流石に今度は恥ずかしかったのか、三角帽子のつばを両手で持って目深めに被り直した。うん、これはこれでいい。
「んー。じゃあ行くか」
「いいんですか?」
「なにが?」
「お仕事があったんじゃ?」
仕事?ふと、自分が執務机に座って紙にペンでなにか書き込んでいることに気づいた。あ、これ、仕事の体勢じゃん。
「いや、これは仕事じゃないんだ。うん、とにかくなんでもないから、行こうか」
「わかりました」
不自然な動きで椅子から立った俺を見て、ホルンが訝しげに首を傾げる。これは他の人に知られる訳にはいかない。特にエミリアと繋がっている可能性の高いホルンには。
「それで?どこに行くか決めてあるのか?」
「あ、ええっと、ええっと」
そう俺が聞くと、ホルンは三角帽子。目深めに被ったままわたわたと慌て出した。
「お、お任せします」
そして、消え入りそうな声でそういった。
「ぷっ、あはははっ。わかった。了解」
思わず笑ってしまったが、拗ねたホルンの手を取って歩き出した。




