お風呂
十一階層にポータルを設定した俺達は、ギルドホームへ帰還した。皆かなり疲れたようで夕食もそこそこに、お風呂へと向かっていく。俺もその流れに逆らわずにお風呂へと入って行った。
「はぁ〜」
湯気を立たせる湯船の中に沈む。疲れが一気に体から抜けて行く感覚に思わず吐息が漏れた。
今日は疲れたな。十六時間ぶっ続けで塔に潜り続けてたのか。流石に皆も疲労を隠せない様子だったな。
「少し潜る時間を減らすか?」
まだ八十階層以上あるんだ。そんなに急ぐこともないし、皆の体調を優先しないと。
「その必要は有りませんよ、カナ」
考えながら湯船に背を預けた瞬間、聞き慣れた声がお風呂場に響いた。ガラガラと引き戸を開けてお風呂場に入ってくる。湯気でよく見えないが、堂々と男湯に入ってくる人っていったら一人しかいない。
「いや、その必要はあると思うぜ?エミリア。あまり根を詰め過ぎても体に毒だ」
「皆貴方の役に立てて嬉しいんですよ」
バシャンと湯船のお湯をかぶり、俺の隣に浸かる。そして、頭を俺の肩にのっけた。
「いつも貴方一人が攻略してきたじゃないですか。だから、こうして皆で攻略出来るのが嬉しいんです。カナ、貴方と攻略出来る喜びを、皆から奪わないであげてください」
「たとえ熱を出して寝込んでもか?」
不思議そうな俺の問いに、エミリアは笑顔で頷いた。
「そういうものか」
「はい。そういうものです」
そこまでして俺の役に立てて嬉しいのか?というか、いつも皆俺の役に立ってるぞ。それじゃ不十分なのかよ。
「わかった。時間は減らさない。でも、ちゃんと休めよ?」
「はい」
そう言うとエミリアは俺の前へ移動し、抱きついてきた。これは、かなりまずいぞ。胸のあたりにエミリアの双丘が。
罰が悪くなって顔をそらす。
「赤くなってますね」
「うっ」
バレないように顔をそらしたのだが、鋭く気づかれてしまった。
赤くなった俺に気を良くしたのか、俺の背中に足を回し、更に密着してくる。
「ばっ、ばか!やめろ!俺も男だぞ!」
「ええ、それが?」
「理性じゃ抑えきれなくなって襲うかもしれない」
「別にいいですよ?カナになら手を出されても」
誘うかのような笑みと共に言われた言葉に、一瞬理性が崩れかける。あ、危ない。本当に襲うところだった。
「ふふっ、これくらいにしておきましょうか」
「なら、最初からくっつかないで欲しかった」
し、心臓に悪い。




