プロローグ
皆さんに楽しんでいただける作品を目指していきたいです。もしよろしかったら、読んでみてください。
遠い、遥か遠い昔から、この国には一つの《伝記》が語り継がれている。
この世界の創造者たる“神”と、極限まで発達した文明を持った“人間”。そして―――
永遠の生命を持つと言われる、“アルナト”
これらの誕生と繁栄、そして終焉までが書かれている伝記―――≪運命の記憶≫。
だが現代、この伝記を知る者は少ない。
この伝記に記された《伝説》は、時の流れと共に、人々の記憶から徐々に消え去っていった。
だが、アルナト達は覚えている。
悲しく辛い、決して忘れることの出来ない、この《伝説》を―――……
むかしむかし、ある世界に、ひとりの神様がいました。
神様は、その強大な力で“庭”となる宇宙を誕生させ、自分の“住居”となる地球を誕生させました。
やがて地球には生物が住み始め、地球は生物で満ち溢れた星となりました。
それらの生物は“プリム”と呼ばれました。
しかし、神様はとてもいばりんぼうで欲張り。この世界は全て自分のものだと思っていました。
やがて神様は、自分の“住居”である地球に住む生物“プリム”を、残らず絶滅させてしまったのです。
しかしある日、神様は広い世界を管理するのに、自分ひとりでは大変だと気付きます。
世界の管理を手伝わせるため、神様は仕方なく、“人間”と“動物”を作り出しました。
“人間”には高度な頭脳を与え、“動物”には優れた肉体を与えました。
“人間”と“動物”は、互いに共存し、忠実に世界の管理を行っていきました。
“人間”は神様を祀り、《文明》を作り上げました。
“動物”は神様の庭として、《自然》を作り上げました。
“人間”と“動物”の活躍に、神様は大満足でした。
しかし、平和な日々はいつまでも続きませんでした。
ある日、“人間”と“動物”達の争いが始まったのです。
《文明》を大事にする人間と、《自然》を大事にする動物の、思想の相違が生んだ争いでした。
人間は動物達が築き上げた自然を壊し、動物は人間達が築き上げた文明を自然に還していきました。
激しい戦いは、何年経っても終わりませんでした。
困り果てた神様は、再び人間と動物を滅ぼすことにしました。
『このまま争われていたのでは、地球が壊れてしまう。お前達には、滅んで貰わなければならぬ。』
その言葉を聞き、動物達は納得しました。
「自分達は神に従うもの。神が滅びろというのであれば、私達は滅ぶ」
と。
しかし、人間は神の言葉に納得しませんでした。
「自分達は滅びない。我々を滅ぼそうとするのならば、我々はあなたを滅ぼす。」
知能が発達しすぎた人間は、神に対して、《反抗心》を持っていたのです。
怒った神様は、その力で人間を滅ぼそうとしました。
しかし、極限まで発達した人間の文明も負けてはいませんでした。
神様と人間の激しい戦いは、何十年にも及びました。
そして、人間は遂に神を下したのです。
神様は7つに分解され、「フィエル」、「アーズ」、「ラー」、「ボルザルド」、「ゼフィー」「アクアリウス」、「デスギズーア」として、それぞれ7つの神殿に封印されました。
しかし神様は、封印される間際、最後の力を振り絞り、人間の文明を滅ぼしたのです。
そして、一部の人間に呪いを掛けました。
それは、“永遠の命を与える呪い”でした。
呪いを掛けられた人間たちは、永遠に生きる事を余儀なくされました。
その事に歓喜する者もいれば、嘆き悲しむ者もいました。
これが永遠の生命を持つ人間、“アルナト”の誕生だといわれています。
「生きる事は、何よりも苦痛である。お前達は、その苦痛を永遠に背負っていくのだ。」
そう言い残し、神様は封印されたのでした。
≪運命の記憶〜Memory of destiny〜 第一節 世界の崩壊と呪い≫より
人間が作り上げた文明と――
動物が作り上げた自然――
その二つが共存しあう大陸、“エルメス”。
そして“エルメス”だけに存在する種族、“アルナト”。
永遠の生命――あなたは欲しいと思うだろうか。
欲深い人間の事だ。きっと多くの人々が「欲しい」と答えるだろう。
しかし、「彼女」を見ても……
「彼女」の境遇を知っても……
「彼女」の辛さを知っても――……
それでもなお、欲しいと言えるだろうか。
「永遠の生命」が存在するこの世界で、「彼女」の存在を知ったとしたら――
これは、「永遠の生命」を持つ一人の少女と、それを守ろうと立ち上がる、一人の少年の物語――
いかがでしたでしょうか?
楽しんでいただけたなら幸いです。
よろしければ、感想やアドバイスなどを書いていただければ幸いです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。




