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ため息

作者: なとりうむ

連作

ため息を吐くと幸せが逃げる。

オレほどこの言葉を聞いて育った奴もいないだろう。

ガキの頃から変に大人びていた為か、他人よりも回数が圧倒的に多かった。

特に、誰かに振りまわされている頃は。

「どうした?」

「うん?」

「考え事のようだが?」

「まぁ、な」

理不尽だと思う度。

不条理なことを知る度。

何かを、諦める度。

その度にため息を吐いてきた。

そして、その度に聞いてきた。

「悩みがあるなら聴くぞ?」

「ただの愚痴になる」

「君の愚痴なら大歓迎さ」

「……そか」

いつもとなりにいるから。

「どうしたんだ?」

―――ねぇ

「いや」

―――ぼくは

「変な奴だな」

―――いつもきみがいるから。

「……はぁ」

―――ためいきがつけるんだよ。

いつからこんな事を思うようになったのか。

「ため息を吐くと幸せが逃げるぞ?」

「そうかもな」

そう言ってくれる人が居るから。

そう言ってくれる人が居たから。

俺は幸せを溢せるんだ。

「でもさ」

それは、いつ頃から気付いていたのか。

「幸せだから出るため息もあるだろ?」

そうして溢した幸せを……

「そうかもね」

一緒に拾ってほしいんだ。

そしたら分け合えるから。

二人だけじゃなく、

「パパー! ママ―!」

「おじさん! お姉さん!」

「お呼びの様だな」

「……おまえ、お隣の子になんて呼ばせてるんだよ」

「君も私の母をそう呼んでいただろ?」

みんなで。

「ほら、行くぞ?」

一つ、ため息がこぼれる。

「はいはい」

幸せを抱いた、ため息が。

連作はこれで終わりです。一応今まで投稿していたものと話はつながっていると思います。


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