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令嬢たちのざまぁコレクション(大体一話完結/短編集)  作者: リーシャ


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62/66

62婚約者にまさかの隠し子発覚?殿下捨てて幼馴染への突然のプロポーズをする公爵令嬢は吹っ切れると想いを胸に突撃していく

子持ち発覚で婚約破棄/幼馴染

「ショコルーネ様、大変です!」


 侍女のアンラエが青い顔で飛び込んできたのは、王宮の庭で日向ぼっこをしていた時。春の柔らかな日差しが心地よくて、うとうとしていたまぶたが、アンラエの声で一気に覚醒。びくっとなる。


「どうしたの、アンラエ?そんなに慌てて」


 ショコルーネ・アーグライド。由緒ある公爵令嬢だったはずなのだけれど、中身はバリバリの現代っ子。回想はじまり。

 トラックに轢かれた衝撃で、なぜかこの剣と魔法の世界に転生しちゃったのだ。

 かれこれ十五年。

 それなりにこの生活にも慣れてきたんだけど、たまにコンビニのおにぎりが恋しくなる。


「あの、その、殿下、レッドフル殿下に隠し子がいた、という情報が!」


 アンラエの言葉に、持っていたティーカップがカタッと音を立てた。レッドフル殿下。婚約者だ。顔も良いし、頭も良い。文句なしの王子様だったはずなのに!衝撃の事実。


「隠し子って?」


 思わず現代の言葉が出ちゃった。アンラエは困ったように眉をひそめる。


「は、はいどうやら殿下が平民の女性と密かにその、お子様が三人ほど」


 三人!?ちょっと待って、多すぎない!?しかも隠し子って、一体どういうこと!


「そんなそんなの聞いてない!」


 立ち上がった。庭の白い砂利が足音で小さく跳ねる。知らないところでそんなドロドロした展開が、繰り広げられていたなんて。


「ショコルーネ様、お落ち着きください。まだ確実な情報とは」


「落ち着いていられるわけないでしょう!」


 声を荒げた。だって、婚約者だよ?

 結婚するはずの相手に、自分以外の女性との間に子供が三人もいるなんて冗談じゃない。


 その日の午後、父であるアーグライド公爵に全てを話した。父は最初は信じられないという顔をしていたけれど、家臣たちが集めてきた情報に顔色を変えていく。


「これは由々しき事態だ。ショコルーネ、お前はどうしたい?」


 父の問いに迷わず答えた。


「もちろん婚約は破棄します!」


 あんな浮気性の王子様なんて、こっちから願い下げ。婚約破棄は、意外なほどあっさりと認められた。

 王家としても、隠し子の存在はスキャンダル以外の何物でもない。慰謝料として、かなりの領地とお金を受け取ることになる。

 ふっ、ざまあみろ、レッドフル。婚約破棄から数日後のアーグライド家の庭で、幼馴染のルークルと向かい合っていた。

 優しくて真面目で、子供の頃からずっとことを気にかけてくれる、大切な存在。


「ルークル」


 声をかけると手に持っていた剣の手入れをやめて、不思議そうな顔で自分を見た。


「どうしたんだ、ショコルーネ。なんだかいつもと様子が違うな」


「あのね、実は婚約破棄したの」


 ルークルは目を丸くした。


「婚約破棄!?レッドフル殿下と、か?」


「うん。実はね彼に隠し子がいたらしい」


 顔から表情が消えた。ま、真顔。碧い瞳が怒りを帯びる。


「そんなっ、許せない!」


 ルークルは震え声で呟き、彼の拳が驚きに震えている。


「まあ、もう終わったことだから良いの。それよりもルークルにお願いがある」


 少し赤らめながら覚悟を決めて。


「結婚してくれない?」


 ルークルは完全に固まってしまった。口が驚きに開き、信じられないという表情で自分を見つめている。ぱかっと開く無防備さ。


「え?ショコルーネ、今、なんて?」


「だから、結婚してほしい。ルークルは昔からことをよく知っているし、一緒にいて安心できる。それにその」


 言葉に詰まった。本当の気持ちを伝えるのは、なんだか無性に恥ずかしいなあ。


「その?」


 ルークルが、じっと目を見つめてくる。

 瞳には、戸惑いと、ほんの少しの期待が混ざっているような気がした。言うから待ってほしい。深呼吸をして勇気を振り絞る。


「ルークルのことが好きなの」


 告白に瞳が大きく見開かれた。次の瞬間、今まで見たことのないような、優しくて。安堵が広がった。


「ショコルーネ。おれの方こそ、ずっと前から君のことが好きだった」


 ルークルの声は少し震えていたけれど、告白だった。


「本当に?」


 問いに深く頷いた。


「ああ本当だ。そっちの方からそう言ってくれるなんて夢みたいだ」


 ルークルはそっと手を握った。彼の大きな手が手を優しく包み込む。


「おれでよければ喜んで君の夫になる。絶対に幸せにする」


 ルークルの言葉に胸の奥が優しく気持ちでいっぱいになった。こんな意外な形で幼馴染と結ばれることになるなんて。


「ありがとうルークル」


 花のように笑った。今度はよい人に当たったようで安心する。必ず幸せになりたい。

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