59追放されたのに最強聖女が溺愛されるなんて聞いてないんだけど?深く反省している。どうかもう一度私たち家族に戻ってきてほしい?嫌よ
追放
「あんたなんか、うちの家族の恥さらしよ!」
いきなりなんですけど。アカリーナは実の妹のヒカリにこう言い放たれ、有無を言わさず家を追い出されました。
え、何があったかって?それが本気で意味不明。事の発端は、突然聖女の力とかいう謎の力を発現させたこと。
いやいや、聖女って何?漫画の中の話でしょ?って思ったんですけど、どうやらこの世界ではマジなやつらしい。
で、その力が覚醒した途端、今まで散々甘えてきた妹のヒカリの態度が豹変した。
「お姉様、その力ちょっと分けてよ!私の方がもっと上手く使える自信あるし!」
は?何言ってんの?あんた、今まで私の物を勝手に使いまくってたじゃん。お菓子とか服とか、大事なアクセサリーまで!
あげくの果てには「お姉様の彼氏、ちょーかっこいいから紹介して!」とか言い出す始末。いやいや、彼氏はあんたのコレクションじゃないから!
もちろん、全部断ってやったんですけどね。そしたらヒカリ、みるみる不機嫌になって、母親も父親もヒカリの味方。
曰く「ヒカリは純粋で可愛い。姉さんはちょっと地味だし、その力もヒカリの方が活かせる」んだって。
意味わかんない。今まで、家族のために色々我慢してきたのに!そんなこんなで、ヒカリは毎日毎日聖女の力をクレクレ、クレクレ、とうるさいし、両親はそれを咎めるどころかヒカリに与えようとする始末。
もうね、うんざりですよ。で、最終的に「お前はもう必要ない!」って言われて、ポイッと家から追い出されたわけ。
「ふざけんな」
捨て台詞を吐いて、一人ぼっちで街を彷徨うことに。所持金もわずか、宿を探すのにも苦労する始末。
ツイてない。
途方に暮れていた時、一人の美しい男性が声をかけてき。金色の髪に、吸い込まれそうな青い瞳、まるで絵本から飛び出してきたような人。
「お困りのようですね。もしよろしければ、屋敷にいらっしゃいませんか?」
警戒しながらも、他に頼る人もいないから、彼の申し出を受けることにしました。彼の名前はルークといい、なんと、この国の第一王子様らしい!
え?一体どうなっちゃうの?
ルーク様の屋敷は想像をはるかに超える豪華さ。広い庭園に、きらびやかな装飾が施された部屋。
まるで夢の中にいるみたい。しかも、ルーク様は優しく温かく接してくれるんです。
今まで家族から冷たくされてきたから、彼の優しさは染み渡るよう。
ルーク様は、聖女の力にとても興味を持ってくれました。曰く、力は今まで確認されたどの聖女よりも強力らしいし、その力を国の平和のために役立ててほしいと言われる。
最初は戸惑い、聖女の力とかよく分からないし。ルーク様の真剣な眼差しと、必要としてくれる言葉に心を動かされ。
それに、あんな酷い仕打ちをしてきた家族を見返すチャンスかもしれないと思った。それからというもの、ルーク様の指導のもと、聖女としての力を磨くことに。
最初は上手くいかないことばかりだったけど、ルーク様は根気強く教えてくれ、彼の優しい励ましのおかげでどんどん力を開花させていった。
ある日、ルーク様は「アカリーナ、君の力は本当に素晴らしい。近いうちに、国を揺るがすような大きな出来事が起こるかもしれない。その時、君の力が必要になるだろう」と。
そんな予感めいた言葉から数日後、本当に事件は起こりました。魔族が国境を侵攻してきた!街はたちまち混乱に陥り、人々は恐怖に震えていく。
「アカリーナ、今こそ君の力を見せる時だ」
ルーク様の言葉に背中を押され、戦場へと向かい、そこで見たのは絶望的な光景。強力な魔族の前に兵士たちは次々と倒れていく。でも、彼との訓練を通して聖女としての力をしっかりと身につけた。
意を決して聖なる力を解放。眩い光が体から溢れ出し、魔族たちを浄化していくその力は凄まじく今まで苦戦していた兵士たちも驚きを隠せない。
戦いは激しさを増しましたが、私の聖女の力によって、徐々に形勢は逆転していきました。
そしてついに、魔族のリーダーを打ち倒すことができたのです。街には歓声が沸き起こり、人々は英雄のように称え、ルーク様も活躍を心から喜んでくれ「アカリーナ、君は本当に素晴らしい。誇りだ」と言って優しく微笑んでくれました。
そんな中、私の元に一通の手紙が届き、差出人は、なんと両親と妹のヒカリ。
『アカリーナへ。あの時は本当に申し訳なかった。君の聖女の力は本物だったんだね。ヒカリも自分の間違いに気づき、深く反省している。どうか、もう一度私たち家族に戻ってきてほしい』
は?今更何言ってんの?あんたたちが私を追い出したんでしょうが!都合が悪くなったら、手のひら返しとか、ありえないんだけど!
手紙を握りつぶし、ルーク様に向かって言う。
「ルーク様、私には帰る場所なんてありません。私の居場所はあなたの隣です」
ルーク様は手を優しく握り「ああ、アカリーナ。私も同じ気持ちだ。君はもう二度と一人にはしない。ずっと私の隣にいてほしい」と言ってくれた。
数日後、王宮に両親とヒカリが訪ねてきて、二人は憔悴しきった様子で、何度も頭を下げて謝罪してくる。
ヒカリは涙ながらに「お姉様、ごめんなさい。私は間違っていました。あなたの力を妬んで、酷いことを言ってしまって」と謝った。
でも、心はもう動かないし、あの時、見捨てた家族を許すことはできない。
「今更、何を言っても無駄です。あなたたちが私にしたことは、一生忘れません。もう、あなたたちの家族ではありません」
冷たく言い放つと、両親とヒカリは絶望的に顔を歪める。ざまぁみろってんだ!
その後、ルーク様の近くで、この国の聖女として生きていくことを決意。
ルーク様は深く愛してくれ、毎日が幸せで満ちる。たまに、あの家族のことを思い出すこともあるけれど、後悔なんて微塵もない。
だって、今、誰よりも愛され、必要とされている。理不尽な扱いを受けた過去があったからこそ、今の幸せを心から噛み締められるんです。
あのどうしようもない家族が、追い出したことを心の底から後悔する日が来ることを、楽しみにしているのですから。
笑みを浮かべ、紅茶を楽しんだ。




