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令嬢たちのざまぁコレクション(大体一話完結/短編集)  作者: リーシャ


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54/65

54元王子の味覚破壊! 〜追放辺境の天才パティシエの復讐スウィーツ。王妃には洗練された優雅な味覚が必要だ!?たった一人の意見に何の意味があるの?〜

追放

 みんな元気かな?私の名前はパセット。元は公爵令嬢だったけど、今は辺境の小さな街で人気のパティシエとして第二の人生を満喫中。

 そうそう、半年前に王太子だったカドテカサに婚約破棄されたんだ。


「パセットの作るお菓子は、庶民的で甘ったるい。王妃には洗練された優雅な味覚が必要だ」


 だってさ。洗練された優雅な味覚を持つカドテカサは、代わりに伯爵令嬢のグンナリンナと婚約した。グンナリンナは王都で流行りの素材の味を極限まで生かした、シンプルイズベストなスウィーツを提唱するクールビューティな令嬢。

 まぁ、要するに見た目重視で味が薄いってこと。さて、そんなグンナリンナとカドテカサが今夜、王都で次期王妃主催のスウィーツ品評会を開くらしい。もちろん呼ばれてないけど。


 品評会の前日、コソコソと王都へ潜入した目的は一つ。最高のスウィーツをカドテカサとグンナリンナに届けること。辺境で味覚を支配する天才として知られている自分が作るスウィーツは、美味しいだけじゃない。

 食べた人の味覚を一時的にだけど、めちゃくちゃに書き換える特殊な魔力を持っている。


 用意した特製スウィーツは二種類。カドテカサへの破壊スウィーツ。至高の虚無タルト。見た目はキラキラの高級フルーツタルト。甘味と旨味以外の全ての味覚。酸味、塩味、苦味を一時的に感知不能にする。

 グンナリンナへの教訓スウィーツは究極のシンプルマカロン。見た目はグンナリンナが提唱するシンプルな白。

 繊細な味と高級な香りだけを極限まで増幅させ、通常の味を全て消す。タルトとマカロンをこっそり王宮の厨房に忍ばせ、手紙を添えておいた。


 婚約破棄の記念品。庶民的で甘ったるいパセットより。


 カドテカサは名前を見るとムカついて、絶対にこのスウィーツを食べるはず。グンナリンナは、庶民的なものがどんなものかプライドで味見するに決まってる!


 翌日の品評会は大賑わい、王都の貴族たちがグンナリンナの洗練されたスウィーツを前に、優雅に感想を言い合っている。

 その頃、舞台裏では——カドテカサとグンナリンナがあのタルトとマカロンを見つけていた。


「庶民的な甘ったるさ!くふふ!やはりあの女は下品だ!」


 と、カドテカサはタルトを一口パクリ。グンナリンナは「この私への挑戦状ね」と、マカロンを一つパクリ。

 そして、品評会が開幕!カドテカサが自信満々に宣言。


「本日、私ことグンナリンナが提唱する素材の味を極限まで生かしたスウィーツが王国の新しいスタンダードとなるのです!さあ、味見を!」


 グンナリンナが用意した最高級キャビアのムース。グンナリンナの自慢の一品をスプーンで掬うと、優雅に口に運んだらカチコチに凍りつくカドテカサ。


「な、あ」


「カドテカサ殿下?どうかされましたか?」


 グンナリンナが不安そうに尋ねる。口を押さえて叫んだ相手。


「ま、ずい!塩の塊だ! ううう!魚卵の生臭さと強烈な塩味しかしない!なぜこんなものを出すんだ、グンナリンナ!ごほ!」


 グンナリンナは驚愕。


「は?はっ?そんなはずは!?塩味は極限まで抑えた、繊細な逸品ですのよ!」


 最高級のレモンタルト、王室御用達パティシエ作を試食。


「あ、甘い泥だ! 酸味のない、ベタベタした甘さは何だ?私の舌がおかしいのか!?」


 会場の貴族たちはざわめき始める。カドテカサは虚無タルトの効果で、塩味と酸味を全く感じなくなっていた。

 彼にとってグンナリンナのキャビアムースは塩と生臭さしか感じられず、レモンタルトは砂糖と甘ったるいクリームしか感じられない、最低最悪の味覚体験に。


 次に、グンナリンナの番。カドテカサの味覚がおかしいと見たグンナリンナは自らカドテカサの横で、王室御用達のパティシエが作った最高級の紅茶を飲む。


「あら、カドテカサ殿下ってば、おかしなことを。この紅茶は洗練された繊細な香りが……な、お!?」


 グンナリンナはシンプルマカロンの効果で、繊細な香りだけが極限まで増幅されていた。

 口に入れた最高級の紅茶から、茶葉の産地の土壌の僅かなミネラルの香りと水に使われた石の臭いといった、誰も感知しないレベルの微細な香りだけを感知する。


「ぐっ……ぶほ!この、この下水のようなミネラルの臭いはなに!?紅茶は腐っていますわ!」


 グンナリンナは上品ぶることも忘れ、紅茶を吹き出す。カドテカサとグンナリンナはお互いのスウィーツや飲み物を「まずい」「腐っている」と罵り合い、王子の味覚の異常と聖女候補の醜態が会場中に晒された。


 結果──カドテカサは味覚が庶民以下になったと烙印を押され、次期国王の適性を疑問視される。

 グンナリンナは繊細な味覚が病的に過敏になり、精神不安定と見なされた。王妃候補の座を剥奪される。


 罵り合った王室御用達パティシエは激怒して王宮を去った。フィオナは辺境のパティスリーで最高の復讐に成功をしたのだ。


「ふふ、私の庶民的で甘ったるいスウィーツ、楽しんでもらえたかしら?これでカドテカサの洗練された優雅な味覚と、グンナリンナの繊細なスウィーツの地位は両方とも破壊完了!」


 パセットのパティスリーには本物の味覚を取り戻したいという、王都の貴族たちが列をなすようになったとさ。

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