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令嬢たちのざまぁコレクション(大体一話完結/短編集)  作者: リーシャ


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38/60

38愛などいらぬと言ったのはそちらでしょう? 契約通り白い結婚で結構ですが、わが家を潰そうとした慰謝料はしっかりいただきますね

 互いについて知っているかと言われれば何にも知らない。どちらも婚姻について、お互いについて興味がひとかけらもないから。

 それなのに、一方を悪者にしてしまえばすべて破綻するとなぜ彼は分からないのか。


「ピーノア、きみと婚約を解消したい」


「解消?あの……すみませんが解消の意味わかってます?」


「バカにするな!」


 バカにしているわけでなく、確認しただけなんだが。頭を振り相手を見る。どこをどうしたら穏便に解消できると思えたの?隣にいる女をここに置いておいて?


 それは無理な相談だ。そもそも政略結婚に子供の意思は必要ない。必要なのは親族として繋がる旨み、権力などなど。思春期の出る幕はない。

 だから、ピーノアとて愛人という名の恋人を作り嫁ぐのだ。契約にも記している。なぜ許されるのかというと目の前の男が己と子供を作る気がないと態度や仕草、言動に至るまでこちらの家門のものたちになんの配慮も遠慮もなく見せ続けたに他ならない。

 貴族は子を産み繁栄させる。誰でもわかる人の営みの原則。


 つまり、ピーノアの家とて子がいなければ継承が難しくなる。分家から取ればいいとなるがなにが悲しくてわざわざ実の子どもがいるのに分家から薄い血を貰いわざわざ育てなければならないのか?


 娘があるのに子なしにされる意味が全くない。となればだ。こちらも恋人を作り子をとなるのは当たり前だ。むしろ、この男はうちの家紋を閉ざそうとした戦犯と見做す親族もいる。


 貴族のマナー、ルール、暗黙の了解を破り続け婚姻する予定の家の者たちを怒らせておいて、穏便に婚約を無くすなどと片腹痛い。仮に婚約を白紙にできたとしても遺恨は絶対に残る。


 まさかとは思うが、愛人の子をこちらの家に渡そうとしたのではという疑惑も最近は浮上しており、お家乗っ取りの疑惑が婚約者の両親に向けられていて、彼らが肩身の狭い顔をしているのを知らないのか?

 知らないんだろうなぁと扇子越しにため息を吐く。どうしたら穏便に行けると思ったのか、これが終わったら誰か聞いてほしい。


 ピーノアは聞かない。婚約者に対して一ミリも興味がないから。元より契約なので愛が生まれるわけもなく。

 婚約するより前から好きだった人に恋人になってほしいと頼んだら一つ返事で了承してくれた。なんて幸運なんだろかと天にも昇る想い。


「婚約解消も破棄もできません。私たちは結婚します。こう言ってしまうと私の未練で言っていると思われるので言い直します。結婚させられるんです」


「な……そんな」


 その顔はなんだろう。


「なんですか?」


「わ、私のことが好きだったからじゃ」


「は?政略結婚と言われていたのに何を言うのかしら?」


「婚約してから好きになったのだろう!」


「いえ。気持ち悪いなと」


「え」


 どうせ今後好きと思われ続けるくらいなら、改めて言おう。


「私に婚約を解消しようと言って。解消などできないことを知っているくせに、人を傷つけることを娯楽かお遊びで婚約者にやる人格破綻者に、嫌悪を抱かない方なんているのかしら、と」


「なななななな、なんてことを言うんだッ」


「言うんだと言われても。できないことをわかっていて、こうやって婚約者で遊ぶ方を世間ではなんと言うか知ってます?」


 蔑んだ目で見ると相手はごくりと喉を鳴らす。畏怖に満ちた目だが、まだ自分が優位であると勘違いしていて気持ち悪さが競り上がる。


「この件でまた話し合われるかと思いますが、あなたと私は白い結婚になるでしょう。そこの方を愛人でも愛妾にでも好きにしてください。私は恋人と暮らすので会うことも早々にないでしょう。実質婚姻していないようなものです」


 男は衝撃で真っ白になった。比喩ではあるがぴくりとも動かない。愛人が隣で話しかけるが、彼女にも慰謝料を請求しますのでよろしくねと告げる。

 びくりとなるのはなぜなのか。婚約の破綻が起きた場合も同じことになっていただろうに。ちなみにこちらが請求できるのは、婚約者が愛人を持つことを公認した契約をしてなかったからだ。

 こちらはすでに結んでいるので愛人を訴えることは可能。逆にピーノアの恋人を婚約者が訴えると契約違反により裁判所から多額の罰金、慰謝料が請求されてしまう。


 彼はそれに気づかないまま何かやらかすのが今から見えている。愚かとは彼のような人を言う。うっそりと笑って「それでは」と頭を軽く下げてこの家の義理親たちに宣告しなければ。


 あなたたちの息子はやらかしましたよ?


 とね?

最後まで読んでくださり感謝です⭐︎の評価をしていただければ幸いです。

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