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令嬢たちのざまぁコレクション(大体一話完結/短編集)  作者: リーシャ


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31/43

31双子の妹とは両親から全く違う扱いを受け感心を持たれず何かがプツンと切れ葬式をされてまで存在を否定される。今更家族との関係を修復しようとは思わなかった

 異世界に転生したルーディアは、双子の妹ケイツィと両親から全く違う扱いを受けていた。ケイツィは可愛らしくて両親の愛情を一身に受けている。


 一方、ルーディアは地味で目立たず、両親からの関心は薄い。


(なっ!)


 前世の記憶が戻った時、ルーディアの中で何かがプツンと切れた。


「もう、こんな生活はうんざり」


 前世では普通の家庭に育ち、それなりに愛されていたルーディアにとって、今の扱いは耐え難いものだった。特に、妹ケイツィへの過剰なまでの愛情を見るたびに、孤独感と不公平感が募っていく。


(こんなのおかしい)


 ある日、ルーディアは決意する。


「死んだことにして、ここから出て行こう」


 と。計画は意外とあっさり実行できた元々、両親の関心はケイツィに集中しており、ルーディアの行動を細かく把握していなかったから、簡単。

 少しばかりの金品を持ち出し、夜陰に紛れて屋敷を後にした。故郷を離れたルーディアは、名前を変え、全く新しい場所で生活を始める。


 そうすれば、新しい自分になれるのだ。

 前世の記憶があるため、読み書きや計算は得意だった。


「ここは、お人好しばかり」


 持ち前の頭の良さと、他人には愛想良く振る舞う器用さで、少しずつではあるが生活を安定させていく。

 ルーディアは、家族を見捨てたことに対する罪悪感をほとんど感じていなかった。


 当然。前世の記憶が蘇った時点で、彼女の中で家族との繋がりは薄れていた。

 むしろ、長年の不遇から解放された安堵感の方が大きかった。

 性格は悪い方だと自覚している。自分の利益のためなら、多少の嘘や策略も厭わない。


 あくまで自分に対してだけで、他人には基本的に親切だ。困っている人がいれば手を差し伸べるし、頼まれ事を無下に断るようなことはしない。


(常識的に思えば当たり前の行動)


 他人からの好意を得るための手段でもあるし、単に人としてそうするのが自然だと感じているからでもある。新しい生活の中で、ルーディアは様々な人々と出会う。

 商売で成功している男性、腕の立つ女騎士、不思議な力を持つ魔法使い。彼女はそれぞれの個性を見抜き、巧みに人間関係を築いていく。

 時には利用することもあるが、基本的には友好的な態度で接するため、周囲には人が集まってくる。ルーディアは、過去を振り返ることはほとんどない。


 両親や妹のことを思い出すことも稀だ。

 過去って色褪せるんだなぁと、しみじみ。彼女にとって、過去はすでに終わったことであり、これからの自分の人生をどう生きるかの方が重要だった。


 数年後、ルーディアは一つの街で小さな店を経営するまでになっていた。

 楽しさしかない。決して裕福ではないが、自分の力で得た収入で生活できることに満足していた。

 これが我が世の春かな。相変わらず、計算高く立ち回ることはあるものの、以前よりは穏やかな表情で過ごす時間が増えていた。


 そんなある日、街で偶然妹のケイツィと再会する。


「うわぁ」


 ケイツィは以前と変わらず可愛らしく、両親の愛情を一身に受けている様子。ケイツィはルーディアの姿を見つけると、驚いた表情で駆け寄ってきた。


「お姉様!生きていたのね!」


「え」


 ケイツィの言葉に、ルーディアは一瞬戸惑う。よく話しかけてこれなと呆れ果てもした。妹は、自分が死んだと思っていたらしい。

 別にそう思わせていたから。両親はルーディアがいなくなったことをどのように受け止めたのだろうか。


「ええ、まあ」


 平静を装って答える。ケイツィは再会を喜び、近況を話そうとするが、ルーディアは適当に聞き流す。今更家族との関係を修復しようとは思わなかった。


「私は、今の生活が気に入っているの」


 ルーディアはケイツィにそう告げると、軽く会釈をしてその場を後にした。


「お姉様っ」


「ケイツィ、走ってはいけない」


 ケイツィは寂しそうな表情を浮かべていたが、ルーディアは振り返らなかった。


「でも、お姉様が」


 彼女にとって、過去は断ち切るべきもの。


「あの子の葬式をしてしまっている。今更うちに戻すことは無理だ」


 罪悪感はない。


「諦めなさい」


 それが、ルーディアの生き方だった。他人に優しくするのは、あくまで今の自分の生活を円滑にするための手段。心の奥底では、常に自分の利益を最優先に考えている。

 それでも、彼女の周りには人が集まる。それは、彼女の持つ不思議な魅力なのか、それとも単なる高さがもたらす結果なのか、ルーディア自身にもよく分からなかった。


 ただ、彼女はこれからも、自分の信じる道を歩んでいくのだろう。過去の影を引きずることなく前だけを見て。

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