21 世継ぎを産んだから用済みだと私を捨てた最低夫、国宝級であり最強の魔力を持つ赤ちゃんに屋敷を吹き飛ばされついでに爵位も剥奪されました
離婚/追放
「ミラティーリ、ご苦労だったな。これで我が家の跡取りも確保できた。お前はもう用済みだ、出て行ってくれ」
晴れた日の午後、伯爵家の当主である夫のジェラルドは冷たい紅茶を飲むように淡々と告げた。腕の中にいる生まれてまだ数ヶ月の息子コルテスを抱きしめながら、耳を疑う。
「は、え、あ、あの、え、だ、旦那様……今、なんと仰いましたの?」
ジェラルドは面倒くさそうにため息をつく。
「聞こえなかったか?離縁だと言ったんだ。必要だったのは優秀な魔力を持つ子供だけ。地味で面白みのないお前との生活には飽き飽きしていた」
ニヤリと笑い、腕から無理やりコルテスを取り上げようとする。
「やめて!」
「さあ、コルテスを渡せ。今日から新しい妻を迎える。この子は新しい母親に育てさせるから安心しろ」
「そんな……だめ!コルテスは私の子です!」
「黙れ!屋敷の主はおれだ。命令は絶対だ!」
ジェラルドが突き飛ばしたその時。
「……あ……うあ……」
ジェラルドの腕の中でコルテスの顔が真っ赤に染まり。そして、小さな体から、バチバチッ!と紫色の火花のような光が溢れ出した。
「な、なんだ!は?あ、熱い!」
ジェラルドが慌てて手を離そうとするが、コルテスの体は宙に浮き始める。この世界には魔法があるが、赤ん坊がこれほどの魔力を放つなんて聞いたことがない。
「オギャアアア!!!」
コルテスが泣き叫んだ瞬間、世界が一変。
ドオオオオオオン!!!
すさまじい衝撃波が広がり、伯爵家の自慢のシャンデリアが粉々に砕け散る。窓ガラスはすべて割れ、壁に大きな亀裂が走った。
「ひ、ひいいっ!屋敷が!おれの、屋敷がぁぁ!」
ジェラルドは腰を抜かして這いつくばるが、コルテスの暴走は止まらなき。母親から引き離された怒りと悲しみが膨大な魔力となって爆発したのだ。
「コルテス!大丈夫よ、ママはここにいるから!」
必死に魔力の嵐の中へ飛び込み、宙に浮くコルテスをギュッと抱きしめた。すると、不思議なことに荒れ狂っていた紫色の光がすうっと優しくなり、温かい光へと変わっていく。
「……あう?」
コルテスは顔を見るとケラケラと笑い始める。屋敷は半壊し、天井からは空が見えた。騒ぎを聞きつけた王宮の騎士たちが、何事かと駆けつける。そして、その中にはなんと国の宰相様の姿も。
「これは一体どういうことか、ジェラルド伯爵」
「さ、宰相閣下!ち、違うのです、この女が……この、この赤ん坊が!」
ジェラルドは言い訳しようとしたが、宰相は冷ややかな目で見下ろす。
「見ていたぞ。そなた、魔力測定器が振り切れるほどの国宝級の魔力を持つみこを怒らせ、あまつさえ、唯一の制御役である夫人を追放しようとしたな?」
「こ、国宝級……?え?なんですそれ」
「ミラティーリ殿の愛情があったからこそ、強大な魔力は安定していたのだ。自らの欲望のために引き裂き、あわや王都全体を危険にさらすとは……言語道断」
宰相様はその場で高らかに宣言。
「ジェラルド、貴様の屋敷の管理能力欠如、国家への危険行為とみなし、今この時をもって伯爵のくらいを剥奪する」
「そんな……嘘だ、嘘だぁぁぁ!」
ジェラルドは崩れ落ちた屋敷の瓦礫の上で泣き崩れたが、誰も助ける人はいない。屋敷も地位も、家族もすべてを失った。
その後、コルテスと共に実家へ戻ることになったが、国からは未来の大魔導師を育てる母として手厚い保護を受けることに。壊れた屋敷の前で呆然とする元夫を尻目に、コルテスのほっぺにキスをする。
赤ん坊は「きゃはっ!」と嬉しそうに笑い、小さな手でパチパチと魔法の拍手をしてくれた。
本当の幸せな生活はこれから始まるのです。




