9.初めての魔術対決
そんなこんなで学校生活も数ヶ月が過ぎた。
魔術の話はもちろん、家族の話などもできるほど、打ち解けてきた頃、嫌な言葉が脳裏をよぎった。
「もうそろそろ定期試験があるぞ、単位はこれで決まるから覚悟しとけ」
ペーパーテストに関しては家臣に教えられていた時にほとんど履修しているのであまり問題なかったが、本題は実技試験だ。
実技試験はいろいろな型があるが、その中でも今回は魔術戦だ。
致死量のダメージで壊れる試験用魔法陣を使った一対一のトーナメント戦で、勝った回数×0.5 個単位が貰えるらしい。つまり、勝てば勝つほど今後が楽ということだ。
レインは魔術戦的なものはハルクスと行っており、彼からは相当な実力があると言われているが、一方的な蹂躙に等しかった。つまりこれが事実上初の魔術対決ということである。
また、噂によれば、全校生徒で行うらしい。
レインやアークスは一年生の中では特に優秀だが、全校生徒で行うのだ。
上級生の中には魔術師隊員にも劣らない実力者や教師を凌ぐ猛者もいる。
さらに留年している人も考えると、トーナメントに参加する人数二百五十人ほどのうち、五十人ほどは教師にも匹敵する。
これは年に一回しか行われないが、実力を示す絶好の機会なので乗り気の人は多い。
―――そんなトーナメントに参加したレインは、順調に勝ち抜いていた。
一回戦、二回戦は吸魔の力と魔力操作だけで悠々と突破した。
そして三回戦。
相手は同級生で、圧倒的な強さを誇るアークス・トライラックス。魔術師の家系だけあり、二回とも圧勝した。
「お前は強い。だから、絶対に油断しないし手加減はしない。いいな」
「ああ」
そう交わして、定位置についた。
そして戦いが始まった―――