8.普通の学校っぽい
初めての学校にレインはワクワクしていた。
創作の学校のように新たな出会い、新たな魔術、新たな知見を得られると思っていた。
だが―――
―――魔術学校に入ってみたら意外と普通だった。
魔術学校は国が運営している四年制学校である。
創立四百年を超えるここでは、一人前の魔術師になるための授業が行われている。
――留年する人はとても多いらしいが。
そんなところで行われている科目は、合理的判断をするための倫理、魔物や魔術を知るための理論魔術、実戦に使える実技魔術基礎体力強化のための体育などがある。
また、ペーパーテストや実技試験があるらしく、そこで一科目につきそれぞれ四つの単位を取る必要があるらしい。
しかも卒業する際にも試験はあるらしいが、そこの情報はあまりわからない。何せ卒業生も教師もその話を全くと言っていいほどしないから。
―――つまり行うことはそこまで以前の生活と変わらないということである。
レインはそこにがっかりした。
まあ初めて出会う人と魔術の話をするのはとても楽しいので、休み時間は魔術の話か鍛錬をしている。
同級生の中でも魔術師の家系であるトライラックス家のアークス・トライラックスは特に優秀で、しょっちゅう雑談や魔物狩りに行っている。
――魔物狩りをした時はどちらも怒られたが。
そんなこんなで、レインはレインなりに学校生活を楽しんでいた。
それでも、レインにとっては学園もの的なものがなかったのがずっと残る悲しみだが。