7.魔術学校へ
魔術学校に入る際に一つ心配なことがある。
―――王族のしがらみも心配だが…
それは、自分に魔術師の才能があまりないことだ。
才能がないと言っても、ハルクスやフィアなどの最高峰の魔術師と比較してだが、それでもそことの実力差は大きい。
一応、自分の固有の力として吸魔がある。
文字通り、魔力を吸収することができる。他の人の魔力を奪い、それを自分の魔力にする。そんな特性だ。
――昔自分が体調を崩していたのは、これによって吸い寄せられた魔力の影響だったらしいが。
これをハルクスは素晴らしい能力と言っていたが、魔術の強化には魔力量以外はあまり影響しない。
これも立派な魔術なので、魔術師といえば魔術師だが、術式などを使用した魔術とは何か違う。
なので最近は、魔術師でも術式などを使用した魔術をメインに使うのではなく、得意な剣術と魔術を組み合わせることを考えている。
このような形の魔術師もいるにはいるらしい。
そんなことよりも、魔術学校の試験だ。
魔術学校の入学試験は、知識試験、実技試験、面接試験の三つがある。
知識試験はペーパーテストで、魔術の基礎が問われる。
実技試験は魔術を実際に披露して、その精度などの技術力が必要である。
面接試験は、良くない思想や倫理を持つものを弾く。
初めての試験なのでレインはとても緊張した。
―――結果は余裕で合格だった。
よくよく考えれば、国でも随一の魔術師たちが教えてきたのである。経験を積むという目的以外であれば、実際レインには魔術を教える必要がない。
そんなレインの短い学校生活がはじまる――