5.それからの日々
それからの日々は毎日特訓だ。
「それそれ〜、遅いぞ!もっと頑張れ!」
朝はレアルドと体力作りのジョギング。
レアルドは王国近衛騎士団の団長で騎士としての腕前は国でも三指に入るほどだ。
レインは元々病弱だったから最初は苦労したが、今では一周十キロある王宮をぐるりとまわれるようになった。それでも意外と体力を使うが。
「魔術は身体の強化などにも使うことができます。ゲーリング帝国最強の帝国騎士団も魔術を身体強化に使い、人智を超えた力を手にしています」
フィアはとても優秀な女性魔術師で、たくさんの逸話がある。その帝国騎士団員と戦ったとか、魔術学校を主席で卒業したとか。まあ興味はあまりないが。
それでもやはり最高峰の魔術師の話は雑談を含めてとても面白い。
「これではまだまだですよ、もっと集中して!」
三つ目にスレイアの魔術の扱い方の実践練習。
スレイアは魔術学校の教師で、今では王宮の護衛を務めている。ドラゴンの群れを一人で狩ったこともあるらしい。
魔力や紋章などをずっと維持するのが日課で、それに加えて複雑な魔術を使うのにも関わらず、毎日の合格点が高くてとても難しい。
さらにホーンによる剣術の指南。
ホーンはまだ二十歳にもなっていないが、圧倒的な実力を誇るので特例として近衛騎士団に入っている。強さ的にはレアルドともあまり変わらないらしい。
剣術の教えの説明は理解しやすいが内容がとてもやばい。重りをつけた上で素振りとかをするから、毎日筋肉痛になる。
最後にハルクスによる実戦。
ハルクスは言うまでもなく国一の魔術師だ。
実戦の際にはもう疲れが溜まっているからあまり体が動かない。それを察して手は抜いてくれるけど、そもそもめっちゃ強い。
―――そんな感じで一日を過ごしている。
とてもハードで心が折れそうになることもあったが、非常にためになるし、とにかく夢に一歩ずつ進んでいることを実感することができた。
―――そして時は流れた。