女神の証拠をみせてくれ
「フフフ」と女性は楽しそうに笑った。
「私に触れば分かるわ」
(どういう事だ?思考が回らない)
「触ると、どうなる?」
触るって・・・・と、思わず魅力的で豊満な胸に目が行ってしまったが、
すぐ、何考えてると我に戻る。
ゆっくりとその女神様に近づいて、腕を掴みにいったのだが・・・・
スカッ・・・・スカッスカッ
腕を通り越して、洋服も、身体までもが触れない。
「ウォーーーすげぇーー」
自然と大声で叫んでいた。
こんな事ってある?
たしかに、ハッキリとその人は見えているのに、空気を触っているように
一向に何もかも当たらないのである。
人智を超えている。
恐怖もあったが、こんな事があるんだ!というあり得ない出来事に興奮した。
そんな中、小声で早口で俺に話しかける声で我に返る。
「のび、私の胸を触ろうとしなかった?わたし心の声も読めるの!」
「今からでも、キャー助けてーーって、大声で悲鳴をあげようかとおもうの」
「私の事、女神だって信じてくれないし・・・・・」
「大声だせば、隣にも聞こえるわよね」
「わいせつ罪っていうのがあるのかしら・・・・」
「女神に対して失礼だから、罰を受けていいと思うの」
(さきに言ってくれよ・・・・おもわずウォーって俺叫んでしまったし・・・
事件性のある悲鳴を上げられてしまったら、きっとお隣さんが、
何騒いでいるんだ、大丈夫か?と尋ねて来るにちがいない。
警察へ通報しかねない)
その女神は、にちゃ~~とした小悪魔的な微笑みをしながら、さも
楽しそうに、俺に1、2歩詰め寄る。
胸を触っても触れないくせにと思ったけれど、心も読めるなら、
何を言っても俺は敵わない、負けである。
触れない時点で、相手はそもそも人ではない。
もう、これは・・・・女神なのだ・・・・女神だとしか信じるしかない。
例え、それが悪魔だとしても選択肢は無いのである。
信じないと、現実的にも俺の人生は終わりかねない。
「女神様、すみませんでした!何用でこちらにお越しになったのですか?」
土下座をしながら、平謝りをして、何とか許してもらおうとした。
「あなたを助ける為だっていったでしょ」
そう返答のあと、スタスタスタと、今まで座っていた場所に戻った。