表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/9

なんで、俺のあだ名をしっている?

ハッと我に返り、思考を巡らせる。


なんで、俺の愛称(あいしょう)の「のび」を知っている。


そもそも、「のび」というあだ名を知っているはずが無いのだ。



この「のび」は、小学生3年生の時に付けられたあだ名である。


国民ほとんどが知っている、耳の無い2頭身のネコ型ロボットの漫画、


アニメに出てくる主人公の少年の名前からきている。


まんまるメガネのおちこぼれの少年と容姿が似ているからと、


友達につけられたのである。


ロボットが主人公とも言われるが、今はどうでもいい。



俺は学生時代落ちこぼれではない。


勉強は好きではなかったが、テストの点はどの教科も平均点以上はとっていた。


クラス30人中、いつも10位前後。


万年0点でもなければ、最下位組でもない。


要領も良いので、単純に容姿のみで付けられたあだ名である。


あだ名なんて、嫌でも言われ続けていると、何となく愛着も湧いてくる。


友人には新旧含めて皆、この名前で呼ばせている。


この人に教えた記憶はないのだから、きっと誰か友人から聞いたのだろう。


本当に、たちがわるい。




それよりも女神って・・・・何だ。


そう思い込んでしまっている残念な人なんだろう。


ゾワゾワと、とてつもない拒絶感(きょぜつかん)が沸き上がる。


この人からは近づかず離れた方が良い。


ナーンだっけ、聞いたことも無い名前だし・・・・幽霊ではなく、


どうみたってはっきり見える人だ。


会話が可能という事が分かり少し安堵したが、警戒は(おこた)らず対応しよう。




続けて質問してみる。



「ここは私の部屋だと思うのですが、何で女神様がいるんでしょうか?」


「あなたを助ける為に来たの」


(俺を助けるため?そういったのか?)


そう思ったが、女性の行動に注視(ちゅうし)した為、一時的にその思考は止まった。




答えた後すぐに、スッとその女性は立ち俺に背を向く、


スタスタと後のタンスに向かいザッっと開け、一枚の布を取り出した。


俺の方へ振り返り、片手で布の上部を持ちながら


「これ、私」とチョンチョンと指で指し示す。



あれはたしか・・・・・先月、酒飲み友達からもらった、タイ旅行のお土産で、


パーヤンと言ってた、布のお守りだったはず。



これは幸運の女神で、お前は運が無いから、


これでも持っていて少しでも運を上げろと言われて渡された。


大きなお世話だと思いつつ、嬉しい物でご利益がありそうだったから、


捨てずにタンスの引き出しにしまっておいたのである。



警戒しながらも2、3歩近づいて


まじまじとそのパーヤンを見てみると、女性の姿が描かれている。


キョロキョロと女性と見比べてみると、


顔は似ていないけれど、民族衣装(みんぞくいしょう)のような服装はとても似ているのが分かる。


でも、それだけで女神だという証拠にはならない。


単なる、海外のコスプレのストーカーかもしれない。



ここまできて、やっと俺の気持ちが落ち着いた。


夜の大切な俺の時間を、これ以上奪わないで欲しい。


その為に、この自称女神を丁寧に対処すればいい。



「ナーンさん、でしたっけ、あの・・・・女神様とおっしゃいましたが、


服装が一緒でも、女神様という証拠にはなりません。


他に証拠はあるのですか、ここは私の部屋なので、勝手に上がられるのは困ります。


いますぐ出て行ってもらえないと、警察へ連絡しますよ」



(あなたがいなくなることで俺、助かるんですけど)



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ