発泡酒の夏
掲載日:2023/08/08
俺はビールを開けていた
窓を開けて雲が見えるようにして
酔いは美しく世界を歪めてくれる
俺はPCでエロ動画を検索していた
俺の触れることのできぬ女体が
あたかも俺のものであるかのように錯覚された
俺は時に本をめくってみた
そこには干涸らびた知識があるばかりだった
様々な言説が流れていたが
それらは所詮、言葉にすぎなかった
この夏、俺は何もする事がなかった
ただ呆けて夏と親しんでいただけだ
いつの間にか死神が背中から這い寄り
俺の首を刈り取るのをただ待っているだけだった
…それまではビールを開けるだけだ
一缶108円の安い"発泡酒"を




