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プロローグ

「今度生まれ変わることがあれば・・・全て忘れて幸せになりたい。・・・なんて思うか！！」

　生まれ変わったら、地の果てまでも追いかけて復讐してやる！　

　リュカは死ぬ間、意識がうっすらと空間に溶け込む寸前にそう思った。

　ノエルは自宅の庭に寝転んで空を眺めていた。

　青空に浮かぶ雲が流れゆくのをぼんやり見ている。

　気が付いた時、「ノエル」だった。それを知った時、気が狂うと思った、腹の底からどす黒い怒りが湧いてくる。気分が荒れて荒れて自暴自棄になった。そして・・・今は何も考えたくなかった。

「ノエル坊ちゃま！」

　少し離れたところから、メイドが声をかけるが反応しなかった。

「ノエル様！」

　近くで呼ばれてはっとした。

　ああ、僕は「ノエル」だった。リュカではなかった。

　起き上がってメイドを見ると、ほっとしたように笑ってノエルと手をつないだ。

「坊ちゃま、そろそろお夕飯の支度が出来ましたよ。少しは召し上がってくださいね。」

　この一週間ほど、ノエルはほとんどご飯を食べなかった。それどころか家族の誰とも口を利かない。

　それまではいつもニコニコとして、家族の事が大好きだったノエル。使用人たちにも可愛がられいつも明るく元気だったノエルの急な態度の変化に家族や使用人は戸惑い、何があったのかと心配をしていた。