第5話 ー謎の老人ー
「見ての通りでございます」
「ふむ、いきなりあいつと出会ったのは無理があると思ったが、それを乗り越えたとみるが」
二人が話しているのは、小高い丘の上である。
シャルレーネとカリーネであった。
「まだこれからも見ていかねばならんな」
「はい」
「何しろまだ始まったばかりだ、こんなところで死んでしまってはこの先に生き残るのは難しい」
二人はそう締めくくった。
一方ルドールとしのぶはタールの町に向かっていた。
タールとは鉱山都市であり、山の中にある町のことであった。
「この町で少し休憩しよう」
「はい」
二人が酒場に入るとそこに異様な雰囲気を持つ老人がいた。
バハムス=ウェルと名乗ったその老人は、どこかその存在がほかの場所にあるような雰囲気をかもし出している。
二人はそこに座った。
その老人が話すには、自分がこういった場所には不向きなことを理解している。
だが、ここに来たのはしのぶと会うためだといった。
「え?私に会うため?」
「そうだ、数年前になるか、この場所に主が来ると聞いた私はただ漠然とした核心を得て、ここにいる」
「何のことだ?」
「主には見えんかもしれぬが、わたしにははっきりとしたビジョンとして、主がここに来て、そしてこの国を危ぶむ存在ということが見えた」
「そんな」
「ふむ、まだ私にははっきりとはせんが、主がこの国をどうした以下は謎だ、だが忘れることなかれ、敵対するということはこの国全体を覆う驚異であるということを…その力過信してはならぬ」
「過信だなんて」
「ということで私は、おぬしらについてゆくことにする」
「ええ?」
魔術師がついてくることにはもちろん賛成ではあるが、いきさつがなあ、という考えもあるが、この先どうしようもないので連れていくことにした。
「これから先も、主を監視しておく必要もあるでな」
「うう…」