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修行回

心地いい、日が差す昼頃


ルーセント家の庭でアルフィー・エバンズとジークと木の剣を打ち合っていた。

ジークが振るう木の剣を左手に持っている盾で受け止める。

大きな音が響く。盾から左腕に衝撃が走る。

力を込めて受けていなかったら、盾を払われてそのまま胴体に木の剣がめり込んでいただろう。


右手に持った木の剣をジークさんの右腹めがけて振るう。

が、

相手であるジークは自身の脇腹に木の剣が届くまでに俺の剣を持つ右腕手首をつかむ。

そして、俺の軸足を払う。その勢いのまま体制を崩した俺を投げ飛ばした。


体制を崩しているわけで、受け身をとれるはずもなくそのまま地面と激突する。


「ジーク爺の勝ち!アル君の負けです。」


ジークさんと俺が稽古している少し離れた場所から

カミラ様が見守っていた。

数十分打ち合っていた試合形式のけいこの勝敗を宣言していた。


「大丈夫ですか?アル君」


出会った頃の威厳を保とうとしている言葉遣いはやめて

やわらかい口調となったカミラ様が心配そうに近づき手を差し出してくれた。

手についた泥を払い、カミラ様の手を取る。


「大丈夫じゃないです、とても痛い」


「さすがに、まだ勝てませんね」


カミラ様が俺の手が届かないところの汚れを取ってくれる。

聖母か?この人は


カミラ様の騎士となって2年、ルーセント家に通いジーク爺に鍛えてもらっている。

いまだにハンデなしで勝てたためしがないが


騎士になるためには、15歳になるまで要は学園に入るまでに徹底的に鍛え上げて

カミラ様にふさわしい力を持てるようにすることが条件だった。

その講師が目の前のジーク爺、寡黙で声を聴くことなどめったにないほど無口

かつての父さんとレクス様の剣の師匠


この国の5本指には入る実力を持っているらしい。

正直化け物だ。素手対木の剣で模擬戦をしたのだが

全く持って歯が立たなかった。


指導自体はうまくて着実に実力はついてきているのがわかる。

間違った姿勢で剣をふるっていたら、音もなく姿勢を直してくれる。


2年そんな人から戦闘指導をしてもらったのだ

自信はついた。が、勝てる未来が浮かばない。


「惜しかった。両手を使ってしまいました。」


カミラ様に治癒魔法をかけてもらっているところにジーク爺が来て

今回の模擬戦の感想を告げてきてくれた。


「足元も気を付けるべきです。」


「はい、ありがとうございます、師匠」


ポンポンとジーク爺は俺の肩をたたいてねぎらってくれた。

そのまま、屋敷のほうへ戻っていった。


「よかったですね!ジーク爺に褒められましたよ!」


「早く、一人前になりたいもんだよ…」


「アル君は最高の騎士ですよ、それに初めての友人ですし!幼馴染ですから!」


カミラ様の口調は、前世の五十嵐さんの口調に近づいていた。

元の性格がそうだったのか、五十嵐さんの性格に引っ張られたのか

最初の高飛車な性格ではなくなっていた。


「来年の入学までには、師匠から一本取ることを目標にする」


「私も応援しています、もし騎士と認められなかったら私からお父様に直談判して認めさせますから!」


困り果てたレクス様が容易に想像ができる。

そうならないためにも、残された1年で1本は取らないといけない。


「レクス様も困るからね、俺が強くなれるように努力するから前みたいに暴走するのはやめろよ」


「ふふふ、それでは期待してますよ。"私の"騎士、アルフィー・エバンズ」


「その大きすぎる期待に応えれるように善処します。」


治癒魔法がかけ終わり、カミラ様が離れていく。

これは、大きすぎる期待を背負ってしまったと俺はその場で一人ため息をついた。

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