表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/12

騎士アルフィー・エバンズ

五十嵐いがらし小春こはる


記憶の中の彼女は

勉強をすれば、基本的に上位

相談をすれば、親身に聞いてくれる。

ご飯を食べる姿でも、美しく見える。


何度か、話しかけた、話しかけられたことがあった気がする。

その時はひどいどもりようだったことを覚えている。


成績優秀・容姿端麗・大和なでしこ・聖母のような女の子といった印象が残っている。


目の前のカミラ様は、成績はまだ幼いからわからないが、

容姿端麗だ、大和なでしこの容姿端麗さとは打って変わって、淡い白金の長髪で

目つきは今のところツンとして、目の色はこの世界では珍しくもないが

日本では見たこともない、ルビーのような紅い瞳をしていて

レクス様の目元に似ている。


「どうしたの?アル君」


突然、手を握った相手が呆然としていたら心配するだろう。

カミラ様も呆然とした俺の顔を心配そうにのぞき込んでいた。


「だ、大丈夫!カミラ様、大丈夫です!」


「本当?無理してない?」


カミラの見た目に反して、本気で心配してワタワタと戸惑っているのが伝わる。

その姿は、前世の五十嵐さんのイメージそのものだった。


「ダン!ほら見ろ!もう二人とも仲良くなっているじゃないか」


「いや、そうだけど!レクス!お前はいっつも相談なしに突っ走って!」


レクス様と父さんが砕けた口調で言い合っていたが、こちらの状況を見て

じゃれあいを止めていた。


「俺は…私は、アルが騎士としてカミラ様に仕えたいといいたいなら、反対はしません。」


父さんはあきらめたように、レクス様を見ながらそう答えた。

レクス様は得意げにふんぞり返っていた。

親娘、よく似た反応だと思う。


「アル君、どうだろうか?カミラが結婚できるまで騎士として仕えてくれないだろうか?」


レクス様は真剣な面持ちで、提案を持ち掛けてくる。

正直、めんどくさそうで関わりたくはない


だけど、前世のクラスメイトの名前

それが引っかかる。俺が"何かができる力"があるのに無視できない…


カミラ様の紅瞳をまっすぐ見つめる。

カミラ様も何か感じたのか、真剣な面持ちでこちらを強い意志がこもった瞳で見つめ返してくる。


「お……私でよろしいのでしょうか?」


父に習って言葉遣いを変える。

もちろん慣れていない言葉遣いだったのでめちゃくちゃだった。


「もちろん!でもアル君はまだ剣術も貴族騎士としての作法も学んでないからこれから学んでもらいながらになると思うけどね」

「お前も色々勉強する時期だと思ってな、ちょうどいいとここに連れてきたんだ」


正直願ってもない申し出だった。

自分のスキルについてわかることがあるかもしれない。

それに、貴族御用達の学校に同伴ではあるが入学できる。


色々思案して、口を開く。


「やらせてください、俺、やります。」


そういうと、レクス様は嬉しそうにして

父さんはそんなレクス様を見て、ため息をついていた。

ジークさんはどこか昔を思い出すように微笑んでいた。


「カミラ様、あなたの剣となります。」


攻略対象の騎士が主人公に捧げる言葉

この国に伝わる、騎士の誓いの言葉を立てる。


「はい、アルフィー・エバンズ、あなたは私の剣となり私に尽くしなさい。」


この日から、アルフィー・エバンズはカミラ・ルーセントの騎士となった。



それによって、運命がわかっていく。

本来のストーリーにはない、出会い

アルフィー・エバンズがカミラ・ルーセントの騎士となる"シナリオ"はない。


この先、あったはずの悲劇はなくなり、喜劇として幕が上がる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ