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CASE FILE 1-03 : 謎解き

今回は少し短めな上に、台詞が多いので読みにくいかもしれませんが、頑張ってください。

「秋冬、気にしなくても大丈夫だよ。あんなに頑張ったんだから。」

「そうだぞ秋冬!お前はよくやった!後は警察に任せればいいって!」


二人が俺を慰めている。すると、紅葉も俺に話しかけてきた。


「秋冬さん、私は気にしてませんし、本当に感謝してますから、気にしないでください。」

「・・・ああ。ありがとう。せめてもの償いって事で俺は警察と協力するからここに残るよ。」

「分かった。じゃあ私は帰るから。頑張ってね、秋冬。」

「俺も帰るぞ!秋冬、紅葉、また明日な!」


二人が手を振って帰っていく。俺はそれを最後まで見届けてから、


「・・・さあ、あなたの犯行を証明していきましょうか。星河紅葉さん。」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「まずは私を犯人だと断定した根拠を教えてください。」


俺と紅葉は再びキッチンに戻って、向かい合うように座っている。


「色々あるけど、決定的だったのは被害者の死亡推定時刻。被害者が死んだときに犯行が行えたのはお前だけなんだよ。」

「どうしてお母さんじゃなくて私なんですか?」

「さっき確認した。お前の母さん今朝は七時十五分に家を出たんだろ?」

「部外者の可能性は?」

「絶対にない。」

「なぜそう言い切れるんですか?」

「家が密室だったから。」

「窓から侵入できたじゃないですか。」

「窓は木の棒で固定されてたんだ。外から人は入ってこれない。」

「本当の犯人がそう思わせるためにおいたとは考えられないんですか?」

「俺も最初はそう思った。でも、棒と部屋の状況の矛盾に気がついたんだよ。全部心理的なことだけどな。」

「矛盾・・・?」

「・・・この殺人はよく計画されている。泥棒が入ったように見せかけるために部屋を散らかして、証拠はあまり残っていない。ただ、二つの矛盾がそれは嘘だと物語っている。」

「二つ・・・ですか?」

「一つ目。木の棒が汚れていなかった。犯人は犯行の後に自分の犯行を隠すために木の棒を置いたはず。だったら当然木の棒には犯人の手に付着した血が付くはず。」

「あっ・・・!」

「つまり犯人は被害者を殺害した後わざわざ手を洗って木の棒を置いたことになる。とっさに人を殺して錯乱状態だったはずの犯人がそんなことを出来るほど余裕があったとは考えにくい。」

「手袋をしていてそれを取って棒を置いたってことはないんですか?」

「それも同じ理由でまず無いし、逆にそこまで冷静ならそんな指紋を残すような真似はしないはず。手袋を取ったら当然指紋は残るんだからな。」

「・・・。」

「二つ目の矛盾。散らかった部屋に散らかってた物、というか部屋の散らかり方。」

「・・・どういうことですか?」

「泥棒が入ったにしてはどうでもいい物ばっかり散らかってるんだよ。書斎に散らばってた書類とかならともかく、寝室とかお前の部屋の箪笥(たんす)の中身まで散らかす理由なんて無いんだよ。普通箪笥に金目の物なんか入ってない。目に入るものを適当にばら撒いただけ。『盗む』なんて目的があるようにはとても見えない。つまり、犯人の目的はあくまで被害者の殺害であって、窃盗ではない。」

「・・・確かにその二つの矛盾が存在することは認めます。でも、だったらどうして私は秋冬さんをこの家に招いたんですか?わざわざ死体を探偵であるあなたに見せるなんておかしいじゃないですか。」

「それもさっきの木の棒と同じだよ。俺にそういう風に思わせるためにわざわざ連れて来た。」

「どうして私が本当に犯人じゃない場合のことを考えてくれないんですか!?」

「・・・もしも・・・。」

「?」

「もしも俺が本当に犯人じゃない場合のお前の立場だったら、俺は死体を見つけたときにまず最初にそれに駆け寄って、涙を流すと思う。」

「・・・それは秋冬さんの場合です・・・。私とは関係ないじゃないですか!」

「普通はそうだって話だよ。見つけてすぐに失神なんて、普通じゃない。お前が病弱だったならまだ分かるけど、そういうわけでもないだろ。それに、あれが芝居だったことぐらい、見てれば分かるよ。」

「・・・!」

「失神の症状として冷や汗がある。冷や汗は失神患者に例外なく見られる症状だ。なのに、お前は冷や汗をかいていなかった。つまり、あれは芝居だったってこと。」

「・・・。」

「それと今更だけど、七時半に泥棒なんて入らないんだよ。相当バカな奴なら別だけどな。」

「・・・。」

「・・・。」


沈黙がその場を支配する。互いが互いの言葉を待っている。


「・・・動機は・・・。」


不意に紅葉が口を開いた。


「動機は・・・もう分かっているんですよね?」


『分かっているんですよね。』紅葉は今、確かにそう言った。つまり・・・。


「犯行は認めるんだな?」

「いえ、全てを認めます。もう秋冬さんは何もかも分かっているみたいですし・・・。」


そう呟くと、紅葉は椅子から立ち上がった。


「私、星河紅葉が父を殺し、それを隠蔽(いんぺい)するために家中に偽装工作を施しました。・・・お見事です。風雪秋冬さん。」


紅葉はそう言って、俺に向かって優雅に一礼した。

はい、というわけで紅葉が犯人だったわけですが・・・。

何か矛盾などがあったら知らせてくれると助かります。

次回はこの後秋冬がどうするか、そして秋冬の過去などを書くつもりです。

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