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CASE FILE 1-01 : 事件の始まり

遅くなってすみません。やっと第二話です。

少し短いと思うかもしれませんが、僕はこのくらいの長さでこれからも書いていくつもりなのでそのつもりでよろしくお願いします。

高二生活が始まって早一週間。放課後、俺達は部室に集まっていた。

この高校の驚くべき点の一つはこの空き部屋の数だ。

常に新しい部に部室が与えられるよう、部室専用の建物が三つある。

それぞれの建物には五十個の部室があるので、合計で百五十個の部室があることになる。

もちろんそれぞれ大して広くはないが、部活動をするには十分な広さだった。

ちなみに、俺達の部室は69号室。今日は全員で集まって、新しく読む推理小説を選んでいる。


「私はメジャーな物ですけど『白○鬼』なんてどうですか?」

「いや、ここは古畑任○朗の作品だ!」

「時雨君、それは小説じゃなくてテレビでしょ!私は『三毛猫ホーム○の推理』とかがいいと思うけど?」

「俺は『The Red-Hea○ed League』なんていいと思うけど。」

「・・・日本語の本でお願いします。」

「じゃあド○ルの『サッササ○の怪』とか?」


なかなか決まらずうんうん唸っていると、


「しょうがないですね・・・。今日は一度家に帰りましょう。」


と、部の創立者の紅葉が言った。


「またかよ・・・。今日で三日連続で家に帰りましょう、か・・・。」


(不本意ながら)部長である俺の口からため息が漏れる。

そう、推研はこの三日間ろくな部活動などせずに帰宅している。

これでは事実上帰宅部となんら変わりは無い。すると、


「え〜!これじゃ帰宅部と変わらないから、少なくとも読む本は今日中に決めようよ!」

「確かに!せめて読む本だけでも決めなければ!」


そう言ったのは部員の春夏と時雨。確かに正論だ。そんな二人に


「でも、もう帰宅時間ギリギリですから、今日中にというのはちょっと無理かと・・・。」


そう言う紅葉。こちらも正論。


「だったら、これから誰かの家に行ってそこで決めればいいじゃんか。パソコンもあるから色々調べられるし。」


俺がそう言うと、三人は顔を見合わせて数秒後、


「それよ!」「それだ!」「それです!」


同時に叫んだ。ただ、ここでもう一つの問題が浮かんでくる。


「じゃあ、誰の家に行くんだ?」


放課後にいきなり友達を招かれて不快にならない親はいない。

散らかっている部屋を見られるのは嫌だし、掃除もしていないので不潔と思われるかもしれない。

そんなところなのか、俺の家だって放課後になるべく友達は呼ばないように言われている。

それはおそらく他の三人だって一緒だ。そう思って諦めかけていたのだが、


「それなら家でいいですよ。私の親は共働きなので夜まで帰ってきませんし、部屋も昨日片付けたばかりなので綺麗ですよ。」


紅葉が答えた。なるほど、確かに親が共働きなら親は別にそんなに気にする必要も無い。

それに、昨日片付けたばかりなら問題は無い。俺はそう決論を出し、


「分かった。じゃあ、今日は紅葉の家に集合だな。」


他の二人も頷いて、賛成ということを表す。


「紅葉、このままいっても問題ないか?」

「大丈夫ですよ。皆さんに不都合が無ければ、このまま行けます。」

「俺は問題ないぞ!」

「私も問題なーし!というわけで、レッツゴー!」


俺達は素早く身支度を済ませ、紅葉の家へと向かった。


紅葉の家は学校から10分程歩いたところにある一軒家だ。

俺も何度か行ったことがあるが、特別広いわけでもなく、特別狭いわけでもないごく普通の家だ。

強いて言うならば、家は青色に塗られているため、かなり目立つということだ。




そんな家で、この事件は起こった。




家に入って、居間に入ると、そこには前来た時には無かったものがあった。

一瞬思考が停止する。何が起こっているのかがわからない。

頭にわずかに残った冷静を保つ部分を懸命に使い横を見ると、他の三人もそうだった。驚きと恐怖で固まっている。

何時間にも思えた数秒の後、思考が回復する。

一度目を閉じて、深呼吸。目を開き、覚悟を決めてそれを見る。


そこには、血にまみれた何かが、いや、誰かがいた。

俺は一瞬の判断で、春夏と紅葉に駆け寄る。


「・・・!きゃあ・・・!」

「いやあ・・・!」


二人が悲鳴を上げるのを、間一髪で口を塞いで止める。


「時雨、大丈夫か!?」

「え、あ、ああ。大丈夫だ。それより秋冬、これっていったい・・・。」


大丈夫とは言っているものの、いつものように声が大きくない。

かなりまずい状態なのだと思う。とりあえずこいつもここから離すことにした。


「時雨、こいつらが悲鳴を上げないように気をつけながらここから離れてくれ。」

「わ、分かった。秋冬はどうする気だ?」

「俺はこの現場を調べる。」


時雨にはそれだけ言って、俺は春夏と紅葉に向き直る。


「二人とも聞いてたな?いいか、声を出さないでくれ。頼むから。」


二人はそれを聞いて、少しの間を空けて頷いた。

俺はそれを見て二人の口を塞いでいた手をどけた。


「あ、秋冬、こ、これ、何?」


目にうっすらと涙を浮かべて春夏が泣きそうな声で聞いてくる。


「分からない。だから今から俺が調べる。お前らはしばらくここから離れててくれ。いいな?」

「う、うん・・・。」


春夏が納得したのを確認して、今度は紅葉の方を向く。


「紅葉、いけるか?」

「・・・。」

「・・・紅葉?」

「・・・お父さん?」

「・・・え?」

「・・・お父さん?・・・こ、これって、いったい・・・。何でお父さんが?」

「紅葉、落ち着け!ここから一回離れろ!」

「お父さん、お父さん、お父さ・・・。」


ドサッ・・・。


「お、おい、紅葉!」


紅葉はぐったりとその場に倒れこんでいる。

見たところ、気を失っているだけなので問題ないだろう。


「時雨、紅葉担いでここから離れてくれ。力仕事はお前のほうが得意だからな。俺は春夏と行く。」

「わ、分かった。」


時雨は紅葉をゆっくりと起こし、お姫様抱っこで紅葉を抱え居間を出て行った。


「春夏、立てるか?」

「う、うん。大丈夫・・・。」


春夏は俺の手を借りて立ち上がり、俺は春夏と一緒にいったん居間をあとにする。


これが、この殺人事件の幕開けだった・・・。

この小説は作中に出てくる「推研」と同じように読者の皆様に推理をさせるのも一つの目的なので、謎を解くための鍵は文章中に必ずあります。解こうと思えば、解くことは十分に可能です。時間があるなら、解いてみてはいかがでしょうか?


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