COMICAL FILE 5 : 従兄妹同士って結婚できたっけ?
秋冬「・・・どんなサブタイトルだよ?」
凛 「どうでもいいけど、最近小説の長さが短いんじゃない?」
作者「いや、無理に長くして時間を空けるより、少しずつ更新して読者様を退屈させないようにしようと思って。」
秋冬「建て前は分かった。本音は?」
作者「学期末テストで小説更新の余裕がなくなってきてる。」
凛 「ま、そんなことだろうと思ったわよ。」
作者「と、とりあえず楽しんでください!」
「ねぇ、そう言えば冬美さんいなかったよね。どっか行ってたの?」
「さぁ、俺が帰ってきた時にはもういなかったよ。お前こそなんで一人なんだ?」
「あの親が家探しにあたしを一緒に連れてくと思う?」
「・・・思わないな。」
凛の両親、千鶴さんと竜馬さんは一言で言うとラブラブ、もといバカップルだ。
竜馬さんは千鶴さんのためなら何でもするし、千鶴さんは竜馬さんにどこまでもついて行く。
そんな二人の子供、凛は完全に邪魔者扱いだ。現に今こうして凛は俺の家に居候することになっている。
あの二人のことだ。今頃、
『家、焼けちまったな。』
『そうね。でも、私はあなたと一緒ならたとえ火の中水の中、雷の中闇の中よ。』
みたいな会話が繰り広げられているのだろう。その光景は、はっきり言ってムカツク。
「・・・冬!秋冬!」
「・・・え?あ、何だ?」
「あそこ、アイス。買ってきて。」
「分かったよ。何味?」
「・・・やっぱあたしも行くわ。で、何味があるか見てから決める。」
「結局そうなるのかよ・・・。」
「う、うるさい!とっとと行くわよ!」
「はいはい・・・。」
というわけで、俺と凛は二人でアイスクリーム屋に入った。
「あ、一応言っとくけどあたし三段だから。」
「何でわざわざ高いのを・・・。」
「文句言わないの!」
「・・・はい。」
もはや何を言っても無駄、か。
「ん〜。何にしようかな・・・。」
真剣に選んでいる凛をよそに、俺は椅子に座ってあいつが選び終わるのを待った。
「大変ですね。」
不意に、机の掃除をしている女性の店員さんに話しかけられた。
「あ、すいません、掃除の邪魔ですか?」
「いえ、大丈夫ですよ。それより、あの方と付き合ってらっしゃるんですか?」
「まさか、アイツは従妹ですよ。聞いてたんですか?」
「はい。あ、ご迷惑でしたか?」
「いや、全然構いませんよ。ワガママな奴ですよね。」
「私も失礼ながらそう思います・・・。でも、結構お似合いでしたよ。」
「・・・喜んでいいやら悲しんでいいやら・・・。」
「そういえば、従兄妹同士って結婚できるんでしたっけ?」
「・・・なんで急にそんなこと?」
「別に深い意味はありませんよ。」
そう入ってるものの、顔には意味深な微笑を浮かべている。
「・・・さあ。知りません。」
「そうですか。」
「秋冬、決まったよ!早く来て!」
「はいはい。じゃ、俺はこれで。」
「頑張ってくださいね。」
「どうも。」
俺と凛がお似合い、ねぇ・・・。
「あたしね、いちごとチョコと・・・。」
「なぁ、凛・・・。」
凛の言うことを遮って、聞いてみた。
「従兄妹同士で結婚って出来たっけ?」
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「いちちちち・・・。」
俺は左手にアイス、右手で右頬を押さえて凛の隣を歩いている。
「何も引っ叩くことないだろ?」
「あんたがあんな質問するから悪いの!」
「別に大した質問してないだろ?俺はただ従兄妹同士で結―――。」
「その質問はもうするなああぁぁぁ!」
「わ、分かった!分かったから引っ叩こうとするな!」
そんなやり取りを道のど真ん中で五分ほど続けた。
道を行く人たちにはクスクスと笑われたり『若いっていいわねぇ』とか言われた。
「とにかく、案内して!」
「分かったよ、案内すりゃいいんだろ?」
「そうよ。あ、それからさ、このアイスおいしくない。」
「だから言っただろ。アボカドのアイスなんておいしくないぞって。」
「う、うるさいわね。ねぇ、あんたの何味?交換してよ。」
「抹茶。」
「あんた、またそんな古臭いもの食べてるの?」
「古臭いとか言うな。和風と言え、和風と。」
「日本の何がそんなにいいわけ?戦争に負けてから迷走しっぱなしじゃない。今だってアニメだのメイドだの変なのばっかしだし。」
「ま、まぁたしかに俺も日本の行く末は心配だけどさ・・・。でも、俺が好きなのは幕末までの日本。今の日本はそんなに好きじゃないよ。」
「未練がましいわねぇ。」
「余計なお世話だ。」
「まあいいわ。とりあえず交換してよ。抹茶もアボカドよりはマシでしょ。」
「はいはい。」
俺と凛はアイスを交換して道を歩き始める。
アイスを食べる前に、ふと気がつく。
「そういえばこのアイス食べたら間接キスになるよな。お前いいのか?」
「・・・!」
そういった途端、凛は顔を真っ赤にして口をパクパクさせている。
・・・何なんだ、いったい?
「あ、あんたこれ食べたんだったら先に言いなさいよ!食べてないと思ったのに!」
「全然食べてないわけないだろ、お前はもう上にあったいちごもチョコ全部食べてんだから。」
「言い訳しない!あんたはただ謝ればいいの!」
「そんな理不尽な・・・。」
「つべこべ言わず謝りなさい!」
「・・・ごめんなさい。」
何で俺が謝らなきゃならんのだ?俺何も悪いことしてないよな・・・。
「全くもう・・・。さ、次はどこ行くの?」
「お前なんか見たい物ないのか?」
「そうねぇ・・・。この町の名物みたいのないの?」
「んなもんあるかよ、こんな何の変哲もない町に。」
「じゃあいいわ。そういえばあんた家出る前に商店街と駅と友達の家って言ってたわよね。駅はもう見たし、商店街も今度でいいからあたしあんたの友達の家に案内して。」
「はいよ。じゃあ誰の家から行く?時雨か春夏か紅葉か。寒鴉の家はちょっと遠いからまた今度な。」
「あんたがこの前言ってたバカな女の子の家が先。で、次におとなしい子。バカな男のこの方は今度でいいわ。」
「了解。」
・・・説明の仕方、ちょっとまずかったかな・・・。
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春夏の家に着いた俺と凛は、ドアの横についている呼び鈴を鳴らす。
鳴らしてから数秒待つと、中から春夏じゃない女性が出てきた。
春夏と同じ黒い髪だが、長さは春夏の比じゃない。
膝辺りまである髪の長さにはいつも驚かされる。邪魔じゃないのか心配になるくらいだ。
それから、実年齢よりかなり若く見える。おそらく一発でこの人の歳を当てた人は過去にいないだろう。
「ん?ああ、秋冬君。」
「あ、春菜さん。春夏いますか?」
「いるわよ。春夏、秋冬君よ!ちょっと待っててね、呼んでくるから。リビングに上がってていいわよ。」
春菜さんは俺にそう言うと家の奥へと入っていった。
俺は春菜さんに言われたように勝手にリビングに入って春夏を待つ。何度も来ているからもうどこに何があるかは分かっている。
「秋冬、今の人誰?その春夏って子のお姉さん?」
「いや、母親だよ。」
「は、母親!?そんなわけないでしょ、あの年で!」
「お前春菜さん何歳だと思う?」
「せいぜい二十歳。」
「42だ。」
「・・・世界って広いわ。」
「俺もそう思う。」
「秋冬〜、どうしたの?さっき別れたばっかり―――。」
リビングに来た春夏は、俺と凛を見た瞬間に硬直する。
「・・・春夏?どうした?」
「秋冬、その子誰?」
「凛だよ。ほら、前に話したろ?俺の従妹。」
「ああ、この前言ってた『手に負えないワガママで自分勝手な従妹』ね。」
「ば、バカ・・・!」
「あ〜き〜と〜・・・。あたしのことをそんな風に言うなんていい度胸ね・・・。」
「わ、悪かった!でも、本当のことだろ!?お前だって自覚あるんじゃなかったのか!?」
「自覚はあるわ。でもね、他人に言われるのと自分で言うのはわけが違うの!」
・・・怖い。こいつ、こんなに怖かったっけ?
「・・・もしかして私、何かまずいこと言った?」
ええ、ドンピシャですよ。
それから約十分、凛に文句を言われ続けた。その間、完全に場違いな春夏はどうしていいのやらと言った様子で俺達のことを見ていた。
「・・・ハァ、ハァ、分かった!?」
「わ、分かったからもういいよ。息切れするほど怒らなくてもいいだろ?」
「誰のせいよ!」
・・・怒ったのはあなたの勝手じゃないですか?
「・・・すいませんでした。」
頭の中で言ったこととは違う言葉が出てきた。
まあ、当然こんなことを言えば文句がまた一時間増えることは確実なんだが・・・。
「・・・それで秋冬、何か用があるんじゃなかったの?」
「いや、別に用って程大層なことじゃないんだけどさ、こいつがしばらく俺の家に居候することになったからこの辺の案内してくれって言われてさ。今は俺の友達の家を回ってるところで、お前の家に来たんだよ。お前も一応自己紹介したらどうだ?」
「そうね。始めまして、私は桜火春夏。秋冬と同じ高校2年生で、秋冬の彼女候補だよ。」
「どんな自己紹介だよ、それ・・・。」
「彼女候補?」
「秋冬ね、私と紅葉ちゃんに告白されてるんだ。で、今は私と紅葉ちゃんでどっちが先に秋冬と付き合えるか勝負してるの。」
「・・・そういえばそうだったな。最近忙しくてすっかり忘れてた。」
「なっ!それはないんじゃない!?私はいつも結構必死なのに!」
「結構なのか必死なのかどっちかにしろよ。・・・凛、どうした?ずいぶん静かだな。」
俺は珍しく静かにしている凛に問いかける。
だが返事はなく、俯いて膝の上で握りこぶしを震わせているだけだ。
・・・どうしたんだ?
「へ、へ〜。あ、秋冬がね〜。こ、告白されたんだ〜。」
ようやく何かを言ったかと思えば、そんなことを言いだした。
笑顔を作っているが、明らかに引きつっている。しかも、何故だか知らんが滅茶苦茶動揺している。
「・・・お前、なんか変だぞ?大丈夫か?」
「な、何が?ぜ、全然大丈夫よ!?」
・・・何なんだ、いったい。
「そうだ春夏、俺たちこれから紅葉のところに行くけど、お前も来るか?」
「そうね・・・。今から暇だし、一緒に行こうか。」
「え、ええ。そ、それじゃあ一緒に行きましょう。」
「・・・凛、お前本当に何かおかしいぞ?どうしたんだ?」
「な、なんでもないって言ってるでしょ!いいからさっさと行くわよ!」
「わ、分かったよ。・・・何なんだよ、ったく。」
「どうしたんだろうね?」
「俺が知るかよ・・・。」
「もしかして、嫉妬かな?」
「嫉妬?誰に?何で?」
「私と紅葉ちゃんに。もしかしたら凛ちゃん、秋冬の事好きなのかもよ。」
「・・・ははは、そんなバカな。」
・・・そんなわけないと願いたい。これ以上関係をややこしくしたくないからな。
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「ごめんくださ〜い!紅葉ちゃ〜ん!いる〜?」
・・・春夏、インターホンと言うものがあるんですよ?
「・・・成程、確かにバカね。」
「・・・だろ?」
凛は春夏に聞こえないように言ってくれた。
・・・今日始めて、凛に『ありがとう』と言ったかもしれない。心の中でだが。
「は、春夏さん。インターホンと言うものがあるんですが・・・。」
「ん?あ、これ?」
中から苦笑いして出てきた紅葉の言葉を聞いて、春夏はインターホンを鳴らす。
「・・・今鳴らしてどうする?」
「・・・。」
凛はもう呆れて何もいえないといった感じだ。
「どうしたんですか?さっき駅の前で別れたばっかりじゃないですか。」
「紅葉、こいつがメール送ってきた俺の従妹、凛だ。」
「ああ、あなたが。初めまして、星河紅葉です。よろしくお願いします。」
「うん、よろしく。」
「中にカステラありますけど、食べますか?」
「あ、食べる食べる!ありがと!」
それだけ言うと凛は春夏と一緒に家の中に勝手に上がりこんだ。
「・・・予想を裏切らない方ですね。」
「俺もまさか人の家に勝手に上がりこむとは思わなかったよ。悪いな。」
「いえ、秋冬さんが謝ることじゃないですけど・・・。」
「悪い奴じゃないんだけどな・・・。常識がないって言うか、常識無視って言うか・・・。」
「彼女、結局プリンとアイスしか食べてないんですよね?」
「ん?何で分かった?」
「プリンとショートケーキとカステラとドーナッツとアイスの中でどれが一番準備しやすいかと言われたらプリンとアイスですから。加えて、彼女が私の横を通り過ぎた時少しだけプリンの匂いがしましたし。あと、彼女の鼻に緑色の何かが付着してました。その五つの中で緑色の可能性のあるものといえば抹茶アイスかミントアイスくらいですから。秋冬さん気付いてたんじゃないですか?教えてあげればよかったんじゃ・・・?」
「紅葉、一つ間違い。あいつが食ったのはアボカドアイスだ。それからあいつの鼻は、面白かったからそのままにしといたんだよ。」
「・・・何気にひどくないですか?それ。」
「いいんだよ。ささやかな仕返しってやつだ。」
「全然ささやかじゃないですよ。」
「細かいことは気にすんな。・・・あ、そうだ、紅葉。」
「はい?なんですか?」
「従兄妹同士って結婚できたっけ?」
紅葉「・・・なんですか、この終わり方・・・。」
秋冬「俺が知るか。」
紅葉「言ったのは秋冬さんでしょ?」
秋冬「書いたのは作者だ。」
作者「結局俺の責任か?」
秋冬「当たり前だろ。」
作者「ま、そりゃそうか。」
紅葉「で、何なんですか?この終わり方。」
作者「いや、謎を残しておこうかと思って。」
秋冬「建て前は分か―――。」
作者「これを書いてるのは午前1時。いい加減眠い。でも更新はしたい。だからとりあえずここで切ろう。」
秋冬「ここでくらい最後まで言わせろよ!」
紅葉「こんな終わり方で、次回どうやって始めるつもりですか?」
作者「・・・予定は未定?」
紅葉「疑問形にしないでください。」
作者「これの続きのような形にします。最初のセリフは、紅葉の『・・・はい?』からだな。」
秋冬「今決めただろ、それ。」
作者「大丈夫だ。今のが始めてじゃない。」
秋冬「・・・ダメだな、この小説。」
紅葉「・・・ですね。」
P.S.
今後前書き・後書きではこのような会話を繰り広げていこうかと思います。




