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CASE FILE 2-05 : 解決、そして新たなる恋

ようやく暗号ゲームは全て終了いたしました!

後は村を出て、家に帰るだけです。

そして今回、色々と急展開を迎えます。

乞うご期待!それではどうぞ!


秋冬「・・・あんまりハードル上げないほうがいいんじゃないか?」

『ハズレ』を見つけてから既に三日。今日はもう土曜日だ。

明日の朝にはこの村を出て、昼過ぎには帰宅する、のだが・・・。


「秋冬、どうだ?」

「ダメだ、お手上げだよ。暗号の答えはこれで間違いないはずなんだけど、それが違うとなるともう何も思いつかない。」

「秋冬さん、あれから私考えてみたんですけど、あのハズレの文は暗号の一部だったんじゃないですか?」

「暗号の一部?」

「はい。秋冬さんは今暗号の答えは間違いないといいました。私もそう思います。じゃあなぜハズレなのか?その答えが『ハズレは暗号の一部だった』だと全ての辻褄(つじつま)が合うんです。暗号の答えはあっている。ハズレは暗号の一部だった。だからあんなところにハズレが書いてあった。そうは考えられませんか?」

「成程、言いたいことは分かった。でも、二行の暗号なんかあるか?」

「それは分かりませんけど・・・。」


結局特に進展は無し、か。

俺は三日前に見た暗号|(仮)を紙に書き写す。


『ハズレ!

足を使ってもう一度探してみろ!』



「・・・。」

「お兄ちゃん、私ちょっと引っ掛かってる事があるんだけど、いい?」

「ああ、何だ?」

「それに『足を使って』って書いてあるじゃない?それって『手当たり次第に探せ』ってイメージ受けない?」

「そうだな。・・・あれ?妙だな・・・。」

「でしょ?最初の暗号、『村の守り神』ではあんなに勘で探す事をさせないためにあんなに工夫がされてたのに、今は全く逆のことを言ってる。これってちょっとおかしくない?」

「って事はやっぱりこいつは暗号の一部って事か・・・。」

「たぶんそうだと思う。でも、だから何なのかは全然分からなかったわ。後はお願いね、お兄ちゃん。」


希望は出てきたが、時間が無い。

もう明日の朝にはここを出るんだから、解くのは今日、今しかない。

今日を過ぎたらゲームオーバーだ。

・・・ここは賭けに出るか・・・。


「春夏。」

「ん、何?」

「こいつ見てなんか引っ掛かることないか?」


俺はさっき書いた『ハズレ』の紙を見せた。


「あ〜、このハズレ?あるよ。最初から不思議だったんだけどさ、何で頭じゃないんだろうね。」

「頭?」

「うん。よく言うでしょ、『頭を使え』って。だからなんで頭じゃなくて足なのかなって思ったんだけど、全然分からなかったから考えるのやめちゃった。」

「頭・・・。」


頭を使え・・・。足を使え・・・。

仮に頭だとすると、暗号の場合大抵は文章の最初の文字のこと。

となると、頭の場合は『ハ足』、足の場合は『レろ』・・・。

違う、そうじゃない・・・!考えろ、考えろ・・・!


「そうだ、寒鴉ちゃん、このいろは歌の紙どうする?捨てちゃっていいかな?」

「いいんじゃないですか?もう使ってませんし。」


・・・!いろは歌!


「それだ!!!」

「ふぇ?何が?」

「分かった!今度こそ分かったぞ!」

「風雪先輩、もしかして暗号の解き方が分かったんですか?」

「ああ。春夏、いろは歌の紙貸してみろ。」

「ん?はい。」

「いいか、まずはこのいろは歌をキーナンバーの7文字ずつに分ける。」


俺はいろは歌を7文字ずつに分け始めた。

さっきの俺の声を聞いたのか、他の三人も集まってきた。


いろはにほへと

ちりぬるをわか

よたれそつねな

らむゐうのおく

やまけふこえて

あさきゆめみし

ゑひもせす


「で?」

「ここで『足』を使う。」

「『足』、ですか・・・?」

「『ハズレ』の文章は暗号。でもその文章だけじゃ何も出来ない。だから、これはいろは歌と合わせて使うんだ。『足』、すなわち行の最後の文字だけを使って読むと・・・。」


とかなくてしす


「・・・全然分からんぞ?」

「いろは歌ってのは元々意味のある文章。で、漢字に直すことも出来る。これも漢字に直すと、たぶんこうなるんだろうな。」


咎無くて死す


「『咎無くて死す』。この村で咎無く死んだのはただ一人、あの墓の下に眠っている老人ただ一人。つまり・・・。」

「暗号の答えはあの墓の近くにあると言うことか!?」

「御名答。さ、行くぞ。もうすぐ日が暮れる。」

「よし、行きましょう!・・・秋冬さん、よろしくお願いします。」

「・・・お前、帰ったら本当に体力つけたほうがいいぞ。」

「考えておきます。さ、早く行きましょう。」

「・・・楽しんでるだろ、お前。」


俺は観念して紅葉を背負い、先に行った奴らの後を駆け足で追った。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「あ、あった!」


日も暮れ始めて辺りが薄暗くなっている中、墓の周りを探し続けていた俺達は涼美の声を聞いて歓声を上げた。


「成程、墓の裏にテープで貼ったのか。」

「ねえねえ秋冬、これなんて書いてあるの?」

「読めるだろ?」

「読めないよ、漢字だらけだもん。」

「・・・日本人だよな?」

「もちろん。」

「・・・。」


家に帰った後の予定は決まった。以下の二つを徹底的にやろう。

・紅葉の体力をつけるための特訓。

・春夏のバカを直すための勉強会。


「で、なんて書いてあるの?」

「えっと・・・。」


『よくここまでたどり着いたの。

じゃが、わしらからあげられるものは残念ながら無い。

あるとすれば、賞賛の言葉くらいじゃ。

もしそんなものでよければ、この紙を持ってわしのところに来てくれ。

そのときは村人総出でおぬしらを祝福させてもらう。


村長、

冬枯寒三郎』


「・・・だとさ。」

「やったー!褒めてもらえるんだ!」

「それじゃあ秋冬さん、早速行きましょうか?」

「ああ、そうするか。よし、行くぞ。暗くなるから足元気をつけてな。」

「「は〜い!」」

「張り切っているところ悪いが、その必要は無いぞよ。」

「きゃああぁぁ!」


なにやら小さな声が聞こえた直後、涼美が悲鳴を上げた。

何事かと思ってそちらを見ると、涼美の後ろに寒三郎さんが立っていた。

・・・この人はなぜ出てくる度に人の後ろにいるんだろう?


「な、何だ、村長さんか・・・。脅かさないでよ・・・。」

「悪いの。しかしよく解いたの、感心感心。まさか解けるとは思っとらんかったよ。」

「これでも地元のほうでは『名探偵』と呼ばれてるんでね。」

「成程、それは相手が悪かったかの。とにかく、おめでとう。そしてありがとう。暗号を作ったわし等にしても、多少なりとも解いて欲しいという気持ちはあったからの。」

「いえ、こちらの方こそありがとうございました。こんなに楽しい謎解きは久しぶりでしたよ。」

「おや、名探偵さんはよく謎を解いてるんじゃないのか?」

「事件の謎解きなんて、楽しいものじゃないですよ。こっちは楽しく出来ました。本当にありがとうございます。」

「何、礼を言われるようなことはやっておらんよ。」

「おじいちゃん、私も楽しかったよ!またやってね!」

「おお、かわいい孫娘のためならいくらでもやってやるわい!わしぁまだ30年は生きるつもりだからの!」

「応援してるよ、おじいちゃん。頑張ってね!」

「ありがとうの、え〜・・・。春子ちゃん、だったかの?」

「春子じゃなくて春夏!」

「ははは・・・。あ、そうだ、寒三郎さん。・・・この人が亡くなった崖を見せてもらえますか?」

「うん?別に構わんが、今からか?」

「はい、明日は朝早く出ようと思うので。凛・・・友人も来ますし。」

「そうか、分かった。しかし、この歳になると歩くのも大変での・・・。すまんがおぬしら自分で行くことは可能かの?」

「ええ、問題ないと思います。」

「すまんの。崖はこの道を真っ直ぐ行って二つ目の分かれ道を左に曲がってもう少し行くとある。ほれ、この懐中電灯を持っていきなさい。」

「あ、どうも。じゃ、行くぞ。ちゃんとついて来いよ。」

「あ、お兄ちゃん、待ってよ〜!」


俺がとっとと歩き出すと、涼美を始め全員が俺の後をついてきた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「ふぅん、意外と高いね。」

「ど、どのくらい高いんですか?」

「そうだな・・・。大体7、8メートルくらいだな。」

「成程、ここから落ちたんじゃ俺達ならともかく老人じゃ即死だろうな。納得。」

「こ、怖い事言わないでくださいよ・・・。」

「・・・寒鴉、お前もしかして高所恐怖症?」

「は、はい、そうなんですよ。だからあまり来たくなかってんですけどね・・・。」

「わ、悪い。つーか、言ってくれりゃ俺一人で来たのによ。」

「いや、だって夜に一人で歩いてたらお化けが出ますよ?」

「・・・。」


そうか、寒鴉はお化けを信じてるのか・・・。


「・・・あ、あの、風雪先輩・・・。」

「ん、どうした?」

「その、私も見たいんですが、こ、怖いので、手、繋いでいてもらえませんか?」

「別にいいけど、そんな無理してみたいか?」

「い、一応記念と言うことで・・・。」

「涼美と一緒に行けばいいんじゃないか?この中で一番気が楽な相手だろ?涼美、ちょっと来てくれ。」


俺は涼美を呼び、事情を説明すると涼美は快く引き受けてくれた。

すると、何故か少し必死な感じで時雨が二人が落ちないように見てると言い出した。

お前が来ると元も子もないんだが・・・。・・・つーか、なんでそんなに目が血走ってるんだ?


「そういえば紅葉と春夏がいないな・・・。どこ行ったんだ?」


そう呟いた瞬間、後ろの草原の中から凄まじい悲鳴が聞こえた。


「な、何だ?」


声のしたほうを見ると、そこには泣きながらこっちに猛ダッシュして来る紅葉とそれを追っている春夏がいた。


「も、紅葉、どうした!?」

「へ、へ、蛇が・・・!」

「蛇?」


そうだ、思い出した。こいつは爬虫類、昆虫、そういうの全部ダメなんだ・・・。

と、そんなことを考えてるうちに紅葉は俺の横を通り抜け、時雨達に向かって走っていった。

このままだと、時雨たちに激突する。そして、激突する時雨達の前には・・・!


「紅葉、止まれ!時雨、後ろ!」

「ん?」


とっさの判断で走り出し、時雨と紅葉に叫ぶが、反応が遅れすぎた。

時雨は何とか涼美の手を握っている左腕で紅葉を止めようとしたが、この状態の紅葉の突進力は凄まじく、あえなく弾かれてしまった。

そして、弾かれた左腕のほうにいた涼美を始めに三人はバランスを崩し、紅葉も崖に突っ込んでいった。


「うわっ・・・!」

「ひっ・・・!」

「え、ちょ、な・・・!」


それぞれが悲鳴を上げて、崖に落ちそうになる。

時雨は持ち前の運動神経で何とか堪えて崖の直前で倒れたが、他の二人は崖に、走り続けていた紅葉も涼美の横に落ちそうになっていた。


「くそっ!」


最初の俺の反応がギリギリ間に合い、落ちる寸前で涼美と紅葉の手を掴む事に成功した。

横を見ると、時雨も何とか寒鴉の手を掴んでいた。


「あ、危ね〜・・・。」

「ご、ご、ごめんなさい!わ、私、動揺してしまって・・・!」

「まあ、無事だったから大丈夫だよ。時雨、そっちはどうだ?」

「な、何とか無事だ。冬枯、大丈夫か?」

「は、は、はい・・・。な、何とか・・・。」

「寒鴉さん、本当にごめんなさい。」

「だ、大丈夫です。朝霜先輩に助けていただいたので・・・。」

「・・・あのさ、そういう会話は上に上がってからにしてくれないか?腕が・・・。」


さっきから片腕で人一人分の体重を支えてるんだから、そろそろ腕に限界が来ていた。

とりあえず三人を上に上げて、一通り落ち着かせた。


「大丈夫か?」

「わ、私は大丈夫です。寒鴉さんは?」

「な、何とか・・・。でも、ちょっとスリリングで楽しかったです。」

「ポジティブだな。涼美、お前は?」

「だ、大丈夫。でも・・・。」

「でも?どっか怪我でもしたのか?」

「ううん、ただね、今助けられたら決心が崩れちゃった。」

「・・・は?」

「やっぱり私、お兄ちゃんが大好き!」


訳の分からないことを言ったかと思うと、急に涼美は俺に抱きついてきた。

妹とはいえ、さすがに女の子に抱きつかれたら誰だって照れるし、焦る。


「お、おい、涼美、何訳分からないこといってんだ!?つーかまず離せ!」

「やだ!お兄ちゃんは私のお兄ちゃん!絶対に離さないよ!」

「す、涼美さん!離れてください!秋冬さんは私のです!」

「いやいや、いつから俺は誰かのものになったんだよ!?」


と、そんなやり取りをしている最中、俺の隣ではなにやら時雨と寒鴉が話し込んでいた。

が、俺にはそんなことを聞いている余裕はなく、結局あの後聞いても何を話していたかは教えてくれなかった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「大丈夫だったか?」

「は、はい。でも、怖かったです。それから・・・。」

「ん?」

「たぶん、私、朝霜先輩のこと、す、好きになっちゃいました。」

「・・・。」

「・・・。」


長い沈黙。

・・・は?

そう言いたいのだが、言葉が口から出ない。

ちょっとまて、俺は、その、風雪が好きなんだが・・・。


「・・・は?」


今度は口から声を発することが出来た。


「その、今助けてもらったので、惚れてしまったんだと、思います・・・。」


斜め下を見ながらもじもじと話す冬枯の姿に少しドキッとしたが、やはり俺は・・・。


「あ、なんとなく分かってるんですよ?朝霜先輩は涼美ちゃんが好きなんですよね?」


ば、ばれている・・・。

ならば、隠す必要はないな・・・。


「あ、ああ。だから、悪いが・・・。」

「分かってます。だから、今はまだ付き合ってくださいとは言いません。」


・・・今はまだ?


「それはもしや・・・。」

「はい。風雪先輩、桜火先輩、星河先輩のとはちょっと違いますけど、三角関係です。いつか必ず、あなたを私に惹かせて見せます。」

「さ、三角関係・・・。」

「ええ。とても複雑で、面倒な関係です。しかし、風雪先輩が抱えているのよりはずっとマシです。だって、朝霜先輩が私のことを好きになればそれで万事解決ですから。」

「た、確かにそうだが・・・。」

「嫌々されちゃ意味がないんです。心から私を好きになってもらわないと。なので、これから私あなたに積極的にアピールします。」

「・・・。」


・・・なんてことだ・・・。


「それじゃ、改めてこれからよろしくお願いしますね。・・・時雨先輩♪」

いかがでしたか?

涼美の戦線復帰と寒鴉の恋、時雨の三角関係。

様々なことが起こった代17話でした。

崖のシーンがいまいちうまく書けた気がしません・・・。あんな書き方で伝わったかどうか心配です。


秋冬「だから言ったろ?ハードル上げるなって。」

作者「うるさい、俺だって頑張ってるんだ。」


今度もっと時間をかけてなるべく分かりやすいように修正します。


最近、感想・評価が増えてきました。

本当に嬉しい限りです。皆さん、ありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いします。

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