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CASE FILE 2-04 : レベル2クリア?

今回は少しだけ早めに更新成功です。

第二の暗号は解けるのか?それは物語の最後に分かります。

構成としては推理→休憩→推理(?)といった感じになっています。

それでは、どうぞ。

「チクショー、全然分からん。」


第二の暗号の鍵を一つ解いてから早三日。

俺はまだ第二の鍵を見つけられないでいる。


「こんなの分かるわけないよ〜。」

「春夏さん、諦めちゃだめですよ。まだ時間はありますから、頑張りましょう。」

「そうだよ春夏姉ちゃん、もうちょっと頑張って見よう。」


とまあ、こんな感じにみんな諦めムードだ。

そろそろ俺も鍵をつかまないと、こいつらのやる気がゼロになってしまう。

そうなったら本当に終わりだ。その前に何とかしないと・・・。


「・・・風雪先輩、どうですか?分かりましたか?」

「全然。さっきもしかしたらって思って試してみたことも違ったから、完全にお手上げだよ。」

「試してみたこと?」

「ああ。三日前つかんだ暗号はこれだ。」


俺はそういって寒鴉に三日前に見つけた鍵を見せる。


へあとよといほらはいいいにゑへゑ


「んでもって、こいつが寺の床に刻まれてた文字、いろは歌だ。」


いろはにほへと

ちりぬるを

わかよたれそ

つねならむ

ゐうのおくやま

けふこえて

あさきゆめみし

ゑひもせす


「最初の奴の『へ』と『あ』を見て、いろは歌の一行目の『へ』と左側にある『あ』が目に入った。それが交わってるところは『み』って感じの方法で解いていくんだと思ったんだけど・・・。」

「次の『と』と『よ』は『よ』が左側にないから出来ないってことですか。」

「そういうこと。また一からやり直しだな。」

「それにしても、よくそんなこと思いつきますね。私は両方見てても皆目見当もつきませんでしたよ。」

「できそうなことは何でも試す。暗号解くときの一つの戦略だな。」

「覚えておきます。」


俺と寒鴉がそんな会話をしていると、襖の開く音がした。


「よう、秋冬、暗号解けたか?」


俺が音のしたほうを向くと、そこには右手を包帯だらけにした時雨の姿があった。

第二の暗号の鍵を見つけた後に五右衛門風呂の火を焚こうとして見事に火傷したのだ。


「いや、さっぱりだ。」

「秋冬さん、少し観点を変えてみたらいかがですか?」

「観点?」

「ええ。秋冬さんは今見つけた鍵といろは歌だけで暗号を解こうとしてるじゃないですか。だから、もう少し柔軟性を持って他のところも見てみたらどうかと思いまして。」

「例えば?」

「そうですね・・・。例えば、いろは歌が刻まれていた四角の大きさとか。」

「あれは212.1センチだろ?統一されてなかったら鍵にはならないよ。」

「まあそうかもしれませんけど、つまりそういうことです。あまり一つのことに集中しすぎると、周りが見えなくなります。もう少しリラックスしてください。」

「・・・そうだな。紅葉、ありがとな。」

「おやすい御用です。」

「紅葉ちゃん?抜け駆けは許さないよ?」

「は、春夏さん!ぬ、抜け駆けなんてとんでもないです!」

「そういうことは置いといて、春夏、お前は何にも思いつかないのか?」

「う〜ん・・・。思いついたことは無いけど、不思議に思ってることはあるよ。」

「不思議なこと?」

「うん。何でこの村の人たちはわざわざいろは歌を使ったんだろうなって。今はどこでも『あいうえお』でしょ?」

「そういえばそうですよね・・・。どうしてでしょう?」

「たぶんこの村には五十音表が伝えられてないんだよ。」

「どういうことですか?」

「この村は都会からかなり遠い。廃村寸前なんだから来客も少ない。だから外との交流が少なく、新しい情報が入ってこないのかもしれない。そう考えると五十音表が使われなかったつじつまが合う。まあ、もしくは・・・。」

「もしくは?」

「いろは歌を使うことでしか出来ないような暗号があるとか、そんな可能性もある。」

「・・・つまり?」

「この村の人たちがいろは歌を使わなかったのは知らなかったか、もしくはいろは歌を使うことに意味があったか。」

「へ〜。ねえ、他にも村の人たちが知らないことって例えばどんなことかな?」

「そうだな・・・。洋菓子なんかも知らないかもしれないな。後は・・・世界共通の単位とかかな?リットルとかグラムとか・・・。」


・・・?何だ、この感じ・・・。

何かが・・・引っかかる。

何だ、何が引っかかるんだ・・・!

考えろ、考えろ!


「ねえ、紅葉ちゃん。」

「はい?」

「日本って昔からセンチ使ってたの?」


・・・!


「それだ!!!」


思わず大声で叫んでしまった。


「わっ!な、何!?秋冬、どうかしたの?」

「分かったんだよ、暗号の解き方が!」

「ほ、本当ですか!?ど、どうやって!」

「おい、全員集合!」


俺は部屋にいる全員に声をかける。


「今からこの暗号の答えを発表する!」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「暗号の鍵はいろは歌の刻まれていた四角の大きさだ。」

「え、でもさっき秋冬さんそれは関係ないって言ったじゃないですか。」

「俺達は根本的に間違ってたんだよ。」

「間違ってた?」

「そう。もともといろは歌は昔の手習い歌。当時、日本はほとんど他の国と干渉しなかった。」

「それがどうかしたんですか?」

「涼美、暗算。212.1÷30.3は?」

「ふぇ?わ、私!?えっと・・・7?」

「そう。それがこの暗号のキーナンバーだ。」

「でもそんなのどんな数字でも割り切れればいいんじゃないの?」

「尺さ。」

「尺?」

「そう、昔の日本では物を尺と寸で測っていた。尺はセンチメートルに直すと30.3センチ、寸は3.03センチだ。」

「あ、そういうことですか!」

「え、何、寒鴉ちゃん分かったの!?」

「はい、さっき風雪先輩が言ったように、昔、手習い歌があった頃の日本は他の国とあまり干渉しなかったからセンチメートルを知らなかったんです。だから昔は尺貫法で物を計っていた。だから、この暗号の寸法をセンチで測るのは間違いだったんですよ。」

「そういうこと。つまり、今回のキーナンバーは7。」

「で、これでどうするの?また最初の暗号みたいに何個かずらすの?」

「いや、今回はどこに動かすかは書いていない。今回の暗号は最初の半分は置換方だ。」

「置換法って確か・・・暗号の元の文を違う方法で書き直す方法だよね。」

「よく覚えてたな。そう、だからつまりこれは一行7文字ずつに分けて書くんだ。そうすると・・・。」


いろはにほへと

ちりぬるをわか

よたれそつねな

らむゐうのおく

やまけふこえて

あさきゆめみし

ゑひもせす


「ってことになる。」

「これで何なの?まだ全然分からないけど。」

「ここからが代用法だ。最初に言ったろ?ここで最初に解いた鍵が出てくるんだ。」

「あの最初の行の一文字と左側の文字を見て、その文字が交差するところの文字をつなげてくってやつ?」

「そう。『へ』と『あ』なら『み』。『と』と『よ』なら『な』っていう風に全部やっていくと・・・。」

「・・・『みなとのはいせ』・・・あれ?ねえ秋冬、『へ』と『ゑ』のところ何にも無いよ?」

「いろは歌は昔最後に『ん』をつけることもあった。これもそうやってやるとどうなる?」

「「「「「『みなとのはいせん』」」」」」

「そう。答えは・・・。」

「「「「「港の廃船!!!」」」」」

「そういうこと。これがこの暗号の答えだ。」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「・・・というわけなんで、港に行ってきます。」

「はいよ、気をつけて行ってらっしゃい。ついでに海水浴でもして羽を伸ばしてきたらどうだい?」

「待ってましたー!秋冬、行こう行こう!」

「分かったから引っ張るな。皆水着持ってきたか?」

「私は先輩達に連絡しましたよ。」

「俺は持っているぞ。」

「私も。」

「い、一応私も持ってきました。・・・泳げませんけど。」

「お兄ちゃん、私の持ってきてくれた?」

「ああ。・・・って事は皆持ってるって事か。それじゃちょっと泳ぎに行くか。」

「やったー!海水浴、海水浴♪」

「ずいぶんとまあ、テンション高いな。」

「それだけ楽しみにしてたんじゃない?」

「・・・お前も我慢しなくていいんだぞ?」

「・・・。」


俺がそう呟くと、涼美は少し考えてから春夏に寄り添い、嬉しそうに飛び回った。

・・・似たもの同士、だな。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「着いた!ここか〜!」


春夏が一番乗りに坂を登りきった。続いて涼美、時雨、寒鴉、で最後に俺と俺に担がれている紅葉という順番だ。


「あ、何も考えてなかったけど、着替えどうする?」

「別にこの辺でいいんじゃない?どうせ私達以外に誰もいないし。」

「す、涼美ちゃん!それはさすがに・・・!」

「何で?」

「・・・風雪先輩と朝霜先輩もいるんですよ?」

「あ〜。まあお兄ちゃんと時雨兄なら大丈夫でしょ。さて、早速着替えよ。」


・・・あいつは俺のことを過大評価しすぎじゃないか?

と、そんなことを考えてる間に涼美と春夏が脱ぎ始めたので、慌てて紅葉を降ろして二人に背を向ける。

横目で時雨を見ると、俺と同じように背を向けていた。が、途中で覗こうとして春夏に引っ叩かれた。

・・・まあ、自業自得って奴ですよ。


「お兄ちゃん、時雨兄、もういいよ〜。」

「ったく、お前らもう少し恥じらいってもんを持てよな。いくら幼馴染と義妹でもやっていいことと悪いことがあるだろ?」

「大丈夫だよ、秋冬は『ぜんとるまん』だから。」

「ジェントルマンな。・・・お、二人とも似合ってるじゃんか。」


春夏はやはり俺と選んだ赤い水着、涼美は黄色いワンピース型の水着だ。


「さて、残った俺達はどうするか。」

「あそこにある大岩の裏で交代で着替えればいいんじゃないですか?」


そう言って紅葉は浜辺の隅にある大きな岩を指差した。


「それでいっか。じゃあここは一応レディズファーストだよな。お先にどうぞ。」

「ありがとうございます。それではお言葉に甘えて。寒鴉さん、行きましょう。」

「あ、はい。それじゃあ、終わったらお呼びしますね。それまでに出来れば朝霜先輩も起こしておいてくださいね・・・。」


寒鴉は砂浜の上でのびている時雨を見て言った。


「ああ、分かった。じゃあ行ってこい。」

「はい、ありがとうございます。」


紅葉と寒鴉が駆け足で大岩へ向かった。

俺はそれを見送ってから時雨を起こし、二人の着替えが終わるまで春夏と涼美が海の中で戯れているのをボーっと見ていた。


「秋冬さん、時雨さん、いいですよ。」

「お、二人とも似合うではないか!」

「ん?お、本当だ。結構似合ってるぞ。」

「そ、そうですか?あ、あんまり見ないでくださいね、恥ずかしいです・・・。」


紅葉は青いストライプの入った白いワンピース形のシンプルな物、寒鴉のは紫一色のツーピースだ。


「それじゃ、先に泳いでますね。秋冬さんたちもどうぞ着替えてきてください。」

「はいよ。・・・ん?」


立ち上がろうとした時、ポケットの中で何かが振動した。

ポケットに手を入れて、携帯電話を取り出す。

充電するところは無いが、非常用に使うだけなら携帯だって一週間くらい持つだろう、と思って持ってきていたのだ。

ちなみに、家の中では圏外だったのだが浜辺に来てから電波が一本たった。


「・・・メールですか?」

「そうみたいだな。・・・ん?誰だこれ?」


送信者は分からないが、題名はごくごくシンプルなものだった。

『秋冬、読まないとどうなるか分かってるわね?』


「「・・・。」」


・・・脅迫ですか?


「・・・迷惑メールですか?それともイタズラメール?」

「・・・いや、たぶん知り合いだ。」


こんな題名でメールを送ってくる奴は一人しかいない。

心当たりがあるのでメールを開いてみる。すると、こんなことが書いてあった。


『秋冬、久しぶりね。さっきあんたの家に電話してあんたの番号を冬美さんに聞いたの。で、何だか旅行に行ってるみたいだからメールにしたわ。せっかくの旅行気分を電話で台無しにしちゃ悪いからね。』


・・・すみません、もう既に台無しなんですが。


『突然なんだけど、あたしの実家が全焼しちゃったから来週の日曜日からしばらくあんたの家に居候することになったから。あたしが行くまでにちゃんとプリンとショートケーキとカステラとドーナッツ用意しといてね。後アイスも。』


・・・何ともまあ、随分とヘビー級なことをサラッと言いましたね。

しかもこの自分勝手さ・・・。間違いない。


『あ、それからあたしそっちに行くの初めてだから色々案内してね。買い物に付き合ったりカラオケ行ったりするから。文句は言わせないからね。それじゃ、また電話するね。

初霞 凜(はつがすみ りん)


「凜だ・・・。」

「凜って誰ですか?」

「俺の従妹。4ヶ月年下。俺の前の父さんの姪。俺の過去を知ってる奴。超ワガママ。超自分勝手。」

「す、すごい説明ですね。遊びに来るんですか?」

「ん。」


俺はそれだけ答えて携帯を紅葉に渡した。

紅葉はそれを受け取り黙って読んでいる。

しばらく読んだ後、「なっ!?」という声を上げた。おそらく『居候することになった』って所だろう。

そして、読み終わったのか俺に携帯を返した。


「・・・感想は?」

「何ですかこの魔女みたいな方は!?ワガママで自分勝手で、悪魔ですか!?」

「こいつは極度のお姫様体質だからな。でも、自分で自覚があるだけましだろ。」

「閻魔大王みたいな方ですね・・・。」

「それは言いすぎだ。」

「そうですか?このメールを見る限りではそんな感じですけど・・・。」

「せいぜい大魔王止まりだな。」

「・・・それも結構ひどいんじゃないですか?」

「ま、悪い奴じゃないさ。来週の日曜日・・・って、俺達が帰る日じゃ・・・。」

「そんなことより、今は遊びましょうよ。早く着替えてきたほうがいいですよ。」

「・・・そんなことか?それ。」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「え〜。最初に聞いとくけど、この中で泳げない奴、手挙げろ。」


手が二本ほど挙がる。案の定、紅葉と寒鴉だった。


「じゃあ俺は紅葉の近くにいるから、時雨は寒鴉のそばにいてやってくれ。溺れそうになったら助けるように。」

「分かった。しかし、何して遊ぶんだ?泳げないんじゃ大したことも遊べないだろ?」

「うう・・・。すみません・・・。」

「あ、いや、そういう意味じゃないんだが・・・。」

「ビーチバレーなんかどうだ?」

「ボール無いじゃないですか。」

「俺が持ってきたんだよ。ネットは無いから円陣でいいよな。」

「まあいいんじゃない?それにしても秋冬、準備言いね。」

「どうせこうなるだろうと思ってたからな。ほれ。」

「わっ!ちょっと、急に投げないでよ!はい、紅葉ちゃん、行くよ!」

「え、え、ちょっと待って、キャッ!」


紅葉はトスされたボールを何とかとろうとして、何も無いところで転んだ。


「・・・さすが紅葉、運動神経の無さは筋金入りだな。」

「嬉しくありません!」

「こりゃあ一回特訓したほうがいいかもね・・・。」

「運動は苦手なんですよ!寒鴉さんだってそうでしょ!?」

「いえ、私は他のスポーツはそこそこ出来ます。ただ泳げないだけです。」

「そんなぁ!」

「・・・やっぱり特訓するか?」

「・・・出来れば、お願いします。」

「というわけで、急遽作戦変更。紅葉と寒鴉の水泳訓練〜。」

「わ、私もやるんですか!?」

「そりゃそうだろ。」

「・・・分かりました。」

「あ、しまった、浮き輪忘れた。」

「浮き輪は勘弁してください!そんなのつけてたら恥ずかしくて死んじゃいますよ!」

「分かった分かった。じゃあ、早速海の中に入るぞ。」

「え、ちょ、ちょっと待ってください、まだ心の準備が・・・。」

「寒鴉はもう行ったぞ。こりゃ先越されるかもな。」

「・・・!行きましょう!」

「はいはい。春夏こっち手伝ってくれ。涼美は寒鴉のほうに手貸してやってくれ。」

「「は〜い!」」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「・・・ぷはっ!や、やりました!」

「・・・開始三十分でやっと顔を水につけれるようになったか。」

「先は長いね。」

「うう・・・。春夏さんにまで言われたら・・・。」

「紅葉ちゃん?お寺での続き、やる?」

「!ご、ご、ごめんなさい!ごめんなさい!」

「・・・お前、何したんだよ、本当に。」

「ん〜?別に何もしてないよ?」

「・・・。」


そんなやり取りをしていると、少し遠くで騒ぎが聞こえた。


「なんだ?」

「秋冬!ちょっと手貸せ!」

「どうした?」

「寒鴉がいなくなっちまった!たぶん水の中に!」

「なっ!?何でまた!?」

「塩水が火傷にしみて、ずっと我慢してたんだがさっき耐え切れなくなって冬枯の手を離してしまったんだ!」

「そうか、クソッ!春夏、頼めるか!?」

「うん!ちゃんと紅葉ちゃん見ててね!」

「ああ!」


春夏はすごいスピードで時雨と涼美のところへ泳いでいった。

俺も行きたいが、紅葉を一人置いてってはこいつも溺れちまう。

とりあえず紅葉を浜に上げる。


「紅葉、ちょっとここで待っててくれ。俺も行ってくるから。」

「は、はい。すみません、こういうとき本当にお役に立てなくて・・・。」

「気にすんな。じゃ、ちょっと待・・・。」

「いたぞ!冬枯、大丈夫か!?」

「・・・たなくていいみたいだ。」


紅葉もそれを察したのか、ホッと胸をなでおろしている。

三人は協力して、寒鴉を浜に上げる。


「おい、冬枯、大丈夫か?」

「だ、大丈夫、です・・・。申し訳ありません、迷惑かけてしまって・・・。」

「いや、特訓なんて言い出した俺が悪いんだ。悪かった。」

「いえ、謝らないでください。それより、助けてくれてありがとうございました。」

「礼は時雨に言わないとだろ?こいつがお前を助けたようなもんだからな。」

「そうですね。朝霜先輩、ありがとうございました。」

「いや、すまん。俺がついていながら・・・。手を離してしまった俺が悪いんだ。」

「でも朝霜先輩のおかげで助かったんですから、やっぱり感謝はしないと。本当にありがとうございました。」

「ああ、俺も悪かった。さて、この話はこれで終わりだ。キリが無いからな。」

「そうですね。それじゃあ、当初の目的、暗号探しに行きましょうか。」

「よし、『港の廃船』だったよね!行こう!」


切り替わりの早い奴らだな。

まあ、無事でよかった。

俺は心でそう呟いて、先頭を行く春夏のついて行った。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「・・・これかな?」


春夏が指差しているのは、誰が見ても『ボロ船』と表現するような船だ。

それなりに大きいが、ペンキは所々はがれ、錆も結構目立っている。

他のもボロ船に変わりは無いが、これはダントツひどい。

これで間違いないだろう。


「皆で入るか?それとも誰か一人か二人に行かせるか?」

「皆で行こうよ。何か面白いものがあるかもしれないし。」


ということで、全員で船内に入ることになった。

中は真っ暗だったので、出発前に鴉さんに借りた懐中電灯で前を照らして船内を進む。

しばらく進み船の最深部まで進み壁を照らすと、そこには俺達の戦意を喪失させるには十分な一言が書いてあった。


『ハズレ!

足を使ってもう一度探してみろ!』


俺達は何も言えず、その場に立ち竦んだ。

どうでしたか?

暗号の答えが、まさかのハズレ。

相当堪えたことでしょう。自分でやったことですが、少し気の毒です。

まあ、これの真意は次の更新で明らかにしようと思っています。


そして、謎の人物「初霞 凛」。

どんな人物なのでしょうか?

それはこの暗号推理ゲームが終わり、家に帰ったときに分かります。

それでは、また次回お会いしましょう。

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