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COMICAL FILE 3 : 電車内にて

前回の更新が遅れてしまったので、今回は少し張り切って早めに更新してみました。長さもそこそこあります。

秋冬と時雨をうまく書き分けられません・・・。なので、本当は文章で表したかったのですが、不可能なのでここで説明します。

秋冬は普通の喋り方なのに対し、時雨は「ならば」「だが」等、少し硬い感じの喋り方をします。

こんなのは反則だと思うのですが、自分の能力ではこうすること以外に方法がないのです・・・。申し訳ありません・・・。

前記を踏まえた上で、これからも楽しんでもらえると幸いです。

「お兄ちゃん、起きて!」

「・・・ん?何だよ、今日は日曜だろ?学校ないじゃんか。もうちょい寝かせろ。」

「学校なくても旅行はあるよ!遅刻しちゃうよ!」

「・・・!今何時!?」

「10時45分!急いで!」

「やっべぇ!涼美、お前先行ってろ!俺もすぐ後から行くから!」

「う、うん、分かった。急いで来てね、お兄ちゃん!」

「分かってるよ!行って来い!」

「行ってきます!じゃあ後でね!」


俺は量美が部屋を出て行ったのを確認すると、急いで着替えを始めた。

しかし旅行の当日に集合時間の15分前まで爆睡とは、何をやっているんだか・・・。

やはり昨日のうちに準備を済ませておいて正解だった。

箪笥から適当な洋服を引っ張り出し、急いで着替え始める。


「それにしても、六泊七日の旅行なんて珍しいよな。」


誰にともなく呟く。今にして思えば不可解なことは数多くある。

そんなに長い間、宿泊費はいくらになってしまうのか?

そもそも、そんな廃村寸前の村に俺達が泊まれる所などあるのだろうか?

風呂はどうするのか?食事は?

考えれば考えるほど、様々な疑問が頭に浮かび上がってくる。

だが、今はそんなことを考えている暇ではないことを思い出すと急いで着替えを済ませ荷物を持ち、父さんと母さんに挨拶をして家を出た。

家から駅までは徒歩で10分程だ。急いでいけばギリギリ間に合うだろう。


そして10分後―――。


「秋冬、遅〜い!」


一応時間にはついたが、案の定俺以外の全員がその場に既に集まっていた。


「悪い悪い、ちょっと寝坊しちまって・・・。でもギリギリ間に合っただろ?」

「日本人は10分前行動が基本でしょ!しっかりしてよね。」

「だから悪かったって・・・。」

「春夏さん、もういいじゃないですか、一応間に合ったんですし。それより早く電車に乗りましょう。」

「・・・まあ紅葉ちゃんがそういうなら・・・。」


紅葉の助け舟もあり、俺は春夏から説教を受けることは回避した。


「これで全員集まりましたね。それで質問なんですが、風雪先輩、この方は・・・?」

「ああ、こいつが昨日お前に電話した涼美だ。悪いな、いきなり来ることになって。」

「いえ、私は全然構いませんよ。人数は多いほうがいいですし。始めまして、冬枯寒鴉です。」

「こちらこそよろしく。私は風雪涼美。」

「・・・どう呼べばいいでしょうか?風雪先輩とは呼べませんし・・・。」

「涼美でいいよ。私二月生まれでさ、早生まれだから寒鴉と同じ歳だよ。」

「え、そうなんですか?じゃあ敬語じゃなくてもいいですか?」

「もちろん、むしろ普通に話してくれたほうが私はやりやすいよ。」

「そう、ありがとう。あ、早速変えさせてもらうね。じゃあ改めて、よろしく。」

「うん、よろしく。」

「・・・紅葉、お前も少し寒鴉を見習ったらどうだ?」

「よ、余計なお世話です!私には私なりのやり方があるんですよ!」

「分かった分かった。だから少し落ち着けって。」

「おい秋冬、そろそろ行かないと電車に間に合わないぞ?」

「ああ、分かった。じゃあ皆、行くぞ。」

「それでは皆さん、こちらが切符代です。その他にも数千円入れておいたので、何か欲しい物があったらそれを使っていただいて結構ですので。」

「そんなに入れてくれたんですか?わざわざありがとうございます。」

「しかし本当にもらっていいのだろうか?やはり少し悪いのだが・・・。」

「いいんですよ。これが私に出来る数少ないことの一つですから。」

「そんなことないよ。私達がこうやって旅行に行けるのは寒鴉のおかげなんだからさ。」

「涼美の言うとおりだ。さ、皆行こうぜ。」

「「「「おー!」」」」


俺と時雨を除いた4人が、見事に声をハモらせる。

時雨は早速切符を買い、俺達もそれに続いた。

電車を待っている間、俺はホームで今朝気になったことを寒鴉に聞いてみた。


「・・・そういえば寒鴉。」

「何ですか?」

「今朝になって気になったんだけどさ、その村って泊まる場所とかあるのか?後風呂とか飯とかどうするんだ?」

「泊まるところは今は空き家になっている家に皆で泊まります。お風呂は一応水道を引いてあるのであります。ご飯は現地で村の人たちが魚を使った料理を作ってくれるそうです。」

「へ〜。だから宿泊費もかからないのか。」

「そういうことです。あ、先輩、電車来ましたよ。」


話をしているうちに電車が来たのだが・・・その大きさに少し驚く。

まず普通の電車とは違い、二階がある。中もかなり広そうだ。


「・・・寒鴉、こういうのってかなりの長旅のときに乗る奴だよな?」

「そうですね。長い間いても疲れないように広々とした作りなっているらしいです。」


そういえばその村までは三時間かかることを忘れていた。

なるほど、三時間ならこの広さは妥当なのかもしれない。

まあ、それはいいとして・・・。


「それ以前に、何で誰も乗ってないんだ?」

「それは私のお父さんが昨日のうちに線路に配置して、貸切にしたからですけど?」

「・・・なっ!?」


か、貸切!?そんなもんいくらかかると思ってるんだ!?

しかも線路に配置した!?それはつまりこれを今日だけ俺たちだけのために走らせてるってことか!?


「・・・?どうかしましたか?早く入らないと。」

「あ、ああ・・・。寒鴉、後でちょっと話がある。」

「?」


とりあえず、俺達6人は他の人たちが唖然としてる中、ぞろぞろと電車の中へ入った。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「「「「「しゃ、社長令嬢!?」」」」」

「はい、私のお父さんとお母さん、両方社長なんです。」

「ど、どこの会社のだ?」

「お父さんはSO○Yで、母はNINTE○DOです。」

「・・・。」


開いた口が塞がらないとはこのことだ。

さらっととんでもないことを言う寒鴉に、俺達は唖然とすることしかできない。

何が普通の家庭よりは多少裕福だ。大富豪じゃないか。


「ど、どうしたんですか皆さん?そんなバカみ・・・面白い顔をして固まって?」


・・・今確実に『バカみたいな顔』って言いそうになったよな・・・。まあ、今はそれは置いておこう。

それにしても、内装については改めて驚いた。

こんなにバカに広いのに、実際に使うのは一車両の中央だけ。

俺達が座っているところは普通の電車とは違い、テーブルを挟んで三人ずつ座れるようになっている。

席順は上から見て右側が春夏、俺、紅葉。左側が寒鴉、涼美、時雨の順番だ。

ちなみに、この席順が決まるまでに春夏、紅葉、涼美の間で壮絶な戦いが繰り広げられた。理由は言うまでもないだろう。

自分達が座っている中央のテーブル以外には特に何もない。二階が意味を成していないことも含め、なんともスペースを贅沢に使った作りだった。


「なるほど、ようやくこの電車のことも納得できた。」

「そうですか?これくらい当然のことだと思うんですけど・・・。」

「お前の観点で色々と判断しないでくれ。」

「はあ・・・。」

「まあ確かに広いけど、さすがに三時間は長いな・・・。何かできることないか?」

「遊び道具なら結構ありますよ?トランプ、将棋、チェス、人生ゲームその他諸々です。」

「じゃあ皆でトランプでもやるか?」

「私はさんせ〜い!」

「俺もやるぞ。」

「じゃあ私もやります。」

「お兄ちゃんがやるなら私もやる!」

「もちろん私もやります。」

「全員参加か・・・。この人数で出来ることっていったらやっぱり・・・。」

「ババ抜きだね。」

「よし、一丁やるか!」

「望むところだ!叩き潰してやる!」

「・・・ババ抜きで何をどうやって叩き潰すつもりですか?」

「相変わらず時雨兄はバカだね〜。」

「す、涼美ちゃん!先輩にそんな・・・。」

「いいんだよ冬枯、本当のことだから。」

「は、はあ・・・。」

「よし、皆自分の束取れ。始めるぞ。」


六人分の束を配り終えた俺は、自分に一番近い束を手に取る。

それに続いて他の全員もそれぞれの束を手に取った。

自分の束の中でペアを見つけ、次々にテーブルの上に捨てていく。

それが一段落着いたところで、ゲームを開始する。

一番カードが多いのは春夏。順番は時計回りだから、俺が春夏の手札からカードを一枚引く。

ジョーカーではなかった。俺は自分の手札から同じカードを抜き出し、テーブルの上に捨てる。

次に俺から紅葉が引き、次に紅葉から時雨が、という感じでゲームは進んでいった。

そして、次の春夏の順番で・・・。


「うわ、来ちゃった!」


どうやら春夏がジョーカーを引いたらしい。

つまり、今は俺がジョーカーを引く可能性があるわけだ。


「秋冬、ジョーカー引いて?」

「絶対に嫌だ。意地でも他のを引いてやる。」

「・・・秋冬の意地悪。」

「やかましい。」


慎重に春夏の手札からカードを選ぶ・・・フリをして春夏の目を見る。

春夏はカードに集中していて、俺の目線に気付いていない。

こうなれば後は簡単だ。春夏が凝視しているカード以外を引けばいいだけだ。


「ほい。」

「あ、惜しい・・・!」

「ババ抜きで惜しいって何だよ?ハートのクイーンか・・・。よし、あった。」

「秋冬、運がよかったね。でも、次はこうは行かないよ?」


運、ねぇ・・・。ま、運じゃないから大丈夫なんだけどな。

俺は心の中で笑みを浮かべて、紅葉のほうに手札を向けた。


数周後・・・。


「何で〜?」


春夏は未だにジョーカーを持っている。

今、俺の手札は一枚。春夏の手札は二枚。これを当てたら俺の勝ちだ。

確率は50%・・・いや。


「100%だ。」


そう呟き、右のカードを引く。

ビンゴ。大当たりだ。


「よし、スペードのエース!あがり!」

「え〜!?何でそんなに分かるの!?」

「教えない。」

「教えてよ〜!」

「嫌だね。まあいいじゃんか。お前もあがりだろ?」

「え?」


春夏の手札は一枚、ジョーカーだけ。

俺があがったことで、今度は紅葉が春夏の手札を引くことになる。と言うことは必然的に・・・。


「・・・これは避けようがないじゃないですか・・・。」


紅葉の手にジョーカーが行き渡り、春夏はあがりという寸法だ。

春夏はジョーカーがなくなり、ついでにあがれたことで大喜びしている。

一方、紅葉はジョーカーが来てしまったことでどんよりとした感じになっている。

だが、時雨が即ジョーカーを引いたことですぐに立ち直った。

結果発表。

1位.風雪秋冬

2位.桜火春夏

3位.冬枯寒鴉

4位.星河紅葉

5位.風雪涼美

ビリ.朝霜時雨

この結果に時雨が拗ねてしまったことにより、トランプは中止となった。


「じゃあチェス大会でもやらない?」

「俺はいいけど。」

「私はやります。」

「お兄ちゃんには勝てる気がしないから、私はここで時雨兄と待ってるね。」

「風雪先輩そんなに強いんですか?私やってみたいです。」

「じゃあにチームに分かれてやろう。チームはじゃんけんで決めるぞ。」


じゃんけんの結果、俺対寒鴉、紅葉対春夏という組み合わせになった。

ボードは一つしかないので、最初に勝利組である俺と寒鴉のゲームを行う。


「それじゃ、スタート!」


そう言った後、ボソッと「お兄ちゃん頑張って」と言ってきた。

言われなくても頑張るって。つーか、ひいきするなよ。

そして十数分後―――。


「チェックメイト。」

「え、も、もうですか!?」

「そうだよ。」

「ほ、本当ですね・・・。参りました。」

「勝者、風雪秋冬こと、お兄ちゃん〜!」

「・・・逆だろ、普通。」


他にも突っ込みたいことはあるが、もう半ば諦めているのであえてスルーする。

次の対戦は・・・。


「・・・紅葉の圧勝に1000円。」

「同じく200円。」

「私も同じく20万円。」

「同じほうに賭けたら賭けにならないだろ。つーか安っ。つーか高っ!」

「コラコラコラ!何勝手にやってるんですか!?」

「何って・・・賭けだけど?」

「それは見れば分かりますけど、やめてください!」

「・・・はいはい。」

「まったくもう!」

「それでは第二戦、桜火春夏対星河紅葉!スタート!」


三分後―――。


「・・・チェックメイトです。」

「・・・あらら?」

「何が『あらら』だ!?完全に自爆じゃねーか!」

「そ、そんなことないよ!」

「そんなことなくないっての!自分から策も無しに駒突っ込ませただけじゃねーか!」

「う゛・・・。」

「勝者、星河紅葉〜!さて、それでは今大会注目の対戦カード!お兄ちゃん対星河紅葉〜!」

「・・・ついに先輩の名前が無くなりましたね。」

「・・・あいついつの間にあんなに進行うまくなったんだ?」


やはり今回もスルーしてやった。

それにしても、紅葉とチェスか・・・。

何だかすごくわくわくする。さっきまでと違って、本当に勝つか負けるか分からない。

紅葉と向かい合うように座って・・・さあ、勝負!


そして、二時間後―――。


「な、長い・・・。」

「全然勝負がつきませんね・・・。」

「そりゃそうだろ。お互い残ってるのがキングとクイーンだけじゃな・・・。」


・・・正直、うんざりしている。

長い。一向に勝負が終わる気がしない。

俺だって色々と終わらせられる手は考えてあるのだが、紅葉がそれをさせてくれない。

おそらく紅葉も俺と同じ心境なのだろう。

仕方がない・・・ここは勝負に出るしか・・・!


『ピンポ〜ン。次は〜川赤町〜。川赤町〜。』


・・・。


「あ、そろそろ着きますね。さ、行きましょう。」

「秋冬さん、いい試合でした。ありがとうございました。この決着はまた今度にしましょう。」

「あ、ああ・・・。」


・・・こんなのって、あり?

もうCASE FILEに入ってもいいんじゃないかと感じるかもしれませんが、これが自分のやり方なので・・・。

次こそはCASE FILEに入る予定です。

CASEと言っても事件ではないのですが、推理が含まれているのでCASEにしました。

それでは、次回をお楽しみに!

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