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FIRST FILE : Prologue

「遅刻、遅刻だ〜!」


新年度早々遅刻するのはさすがにまずいので、急いで支度をする。


「秋冬、ご飯は?」

「食ってる時間無い!いってきます!」


急いで靴を履いて家を飛び出す。後ろでは母さんが笑って手を振っている。

息子が遅刻しそうなのにあの落ち着きよう・・・。相変わらず、何を考えているのかが分からない。

そんなことを考えながら外に出ると、


「秋冬遅いよ〜!遅刻しちゃうじゃん!」


という声が聞こえたので驚いてしまった。


「は、春夏!お前、何でここに!?」


そこには俺の幼馴染、桜火春夏さくらび はるかが立っていた。


「だって秋冬と私は毎日一緒に学校行くって決まってるじゃん!そんなことより早く行こ!」


春夏はそう言いながら俺の手を掴んで走りだす。

俺も慌てて走り出し、俺、風雪秋冬ふうせつ あきとの二年目の高校生活が始まった。


少し人物紹介をしておこう。

俺は風雪秋冬。この町にある普通の高校に通う普通の高校二年生だ。

髪の毛と目の色は黒。自分で言うのもなんだが、顔は悪くない方だ。

髪は少し長めで、これといって手入れも何もしていない。ただ無造作に伸ばしてあるだけだ。

身長は178センチと高め、体重もそんなに無い。

成績は上の下で学年中で期末テストでは毎回30位以内、スポーツはほぼ何でも出来る。俗に言う「優等生」というやつだ。

そんな俺だが、寝坊癖はどうしても治らない。どうしたものか・・・。


そして、俺の横にいるこの小柄なやつが、俺の幼馴染の桜火春夏だ。

俺達は幼稚園に入る前から友達で、高二現在までずっと同じクラスだった。

髪と目は俺と同じく黒色。髪はロングで、あと十センチで腰まで届くほど長い。

身長は160センチ強、体重は軽い。スリーサイズは言ったら殺されるので、言えません・・・。俺だって命は惜しいよ・・・。

成績は中の下、運動は何をやっても群を抜いてうまい。

身体能力はいいのだが、頭がちょっと弱いのが弱点の、ごく普通の高校二年生、それが春夏だ。


「今年も同じクラスだね、秋冬!」

「勘弁してくれよ、まったく・・・。」


俺達は走りながら他愛の無い話をしていた。

5分もしないうちに校門をくぐり、靴を履き替え、急いで教室へと向かう。

急いだおかげか、教室の前に来たのは授業開始5分前。高二最初の登校日から遅刻という最悪の事態は免れた。

教室の戸を開けて中に入る。すると、


「あ、秋冬さん!春夏さん!遅かったですね、ギリギリですよ。」

「二人とも今年度も仲良く登校か!それより秋冬、お前の寝坊癖はまだ治ってないのか!?」


小三のときからの親友で幼馴染でもある星河紅葉ほしかわ もみじ朝霜時雨あさしも しぐれが話しかけてきた。


「間に合ったからいいんだよ。結果よければ全てよし、だ。」

「私は秋冬待ってなければ余裕で間に合ったもん!」

「でも待ってたんだろ?じゃあそれは自己責任だ、言い訳は聞かん!」

「え〜!私悪くないのに〜!」

「ま、まあまあ春夏さん、落ち着いてください。」


これがいつもの俺達の風景だ。俺は時雨の言うことを適当に流し、春夏、時雨が言い争い、紅葉が仲裁に入る。

全くいつも通り。俺は高二になってもこいつらが変わっていなくてホッとした。


ここで、人物紹介パート2。

俺達の言い争いに仲裁に入っているのは星河紅葉。もちろん、俺と同じ高二だ。

性格はかなりおとなしく、俺達以外とちゃんと話せているのか少し不安になったりする。

何故か小三の頃からの幼馴染の俺達に対しても敬語で話す、礼儀正しい奴だ。

髪と目は少し蒼みがかった黒色。髪はショートで、前髪を二つの赤いヘアピンでとめている。

身長は春夏と同じく160センチ強、体重は軽い。もちろんスリーサイズは言えない。

紅葉なら殺されることはないだろうが、相当嫌われそうなので止めておく。

成績は学年トップだが運動神経はゼロといっていいほど皆無だ。

気が弱く消極的で、なんだか心配になるのがこの紅葉という人物だ。


で、未だに春夏と言い争ってるこいつは朝霜時雨。言うまでもないが、こいつも高二。

馴れ馴れしく、初めて会った時もこんな風に春夏と言い争っていた。

髪は短く、茶色に近い黒のトゲトゲヘアー。目は茶色で、見方によっては不良に見える人もいるかもしれない。

ただ、本当はかなり友達思いで優しいやつだって事は俺達だけじゃなくクラス全員が知っている。

ちなみに、格好悪いわけではないので、その内こいつにはいい彼女が出来ると俺は思っている。

身長は180センチと高く、体重は平均より少し上。まあ、身長のことを考えれば妥当だと思う。

成績は中の下、スポーツは俺より出来る。普通の生徒だ。何でも大声で言うのが玉に瑕だが・・・。

こんな奴だが俺にとっては大切な男の親友、それが朝霜時雨だ。


二人が言い争いをしているうちに、授業開始の時間となった。

今日は初日だということもあるのか、席は自由に選んでいいということだったので、俺達は四人固まって座った。

そして、様々な新しい事の説明を受けるだけで今日は学校が終わり、あっという間に放課後になった。


「なんか今日はわりと暇な一日だったね〜。」

「まあいいんじゃないか?勉強するよりはいいだろ?」

「そうですね。勉強はあるより無いほうがいいですよね。」

「学年トップのお前が言うこととは思えないな。」

「まあそうですよね。でも私、別に勉強が好きなわけじゃないですよ?」

「俺も勉強は嫌いだ!」

「私も!」

「知ってる。」「知ってます。」


俺と紅葉の声が重なった。自然と俺達の口から笑いがこぼれた。

しばらくそんな話をしていると、紅葉がふと思い出したように、


「あ、そうだ。皆さん、推理小説読んでますよね?」


全員が頷いた。そう、俺達の間で共通していること、それは推理小説だ。

俺達は全員推理小説好きだ。今でも貸し借りしたりしながら読んでいる。

意外なことに、春夏や時雨も読んでいる。

ただ、推理小説以外には全く興味が無いらしい。俺も紅葉も基本的には推理小説しか読まない。


「読んでるけど、それがどうかしたのか?」


俺が春夏と時雨の疑問を代表して聞く。すると、


「私達で推理小説研究部を作りませんか?」


と、紅葉が目を輝かせながら言った。


「推理小説研究部?」


今度は春夏が紅葉に質問する。


「はい、推理小説研究部、略して『推研すいけん』。その名の通り、推理小説を読んだりするんですよ。」

「研究ってどんなだ!?」

「今まで皆さん、推理小説をどういう風に読んでました?」


紅葉が逆に質問してくる。それに対し、俺達はそれぞれ答える。


「普通に読んでいたぞ!」

「ハラハラドキドキしながら読んでたよ?」

「犯人を推理しながら読んでた。」

「そう、それです!」


紅葉が俺のことを指差して叫ぶ。つーか春夏、推理小説でハラハラドキドキはないと思うぞ?


「私も高一の時まではただ普通に読んでました。『誰が犯人かな?』とは考えましたが、推理まではしませんでした。」


俺はもう大体紅葉の言いたいことが分かったが、残りの二人は分かっていないのか熱心に聞いている。


「ですが1ヶ月前、試しに犯人を推理してみたんです。そしたら見事に的中してすごく嬉しかったんです!

犯人を推理しながら読むのは本当に楽しくて、もう一度やったら病み付きになりますよ!

推理が的中した時の達成感・・・。もう、たまらないです!」


紅葉はそこらじゅうを歩き回り、踊りながら力説している。こんなに興奮している紅葉は珍しい。

相当嬉しかったんだと思う。二人もそう思っているのか、顔を見合わせている。


「私は1ヶ月前から今日までに三冊の推理小説を読みました。その内二つは的中したんですが、一つだけ外れてしまいました。

その時思ったんです。もし私だけじゃなく他の人と考えたら、真相が明らかになるんじゃないかって。

だから私たち四人で推研を作って、一緒に推理しながら推理小説を楽しみましょう!」


最後にガッツポーズをして紅葉はスピーチを終えた。二人はきょとんとしている。俺は軽く拍手をしていた。

春夏と時雨はしばらく黙り込んでから、


「「賛成!!」」


と勢いよく答えた。俺も了承し、推理小説研究部、推研の設立は見事決定された。

ちなみにこの学校は自由がモットーとなっており、校則違反でなければ基本的にどんな部でも認められる。

だから部を作るための書類を書いて職員室に渡すだけで部は認められるというシステムになっている。

と、ここで春夏の口から一つの疑問が出てきた。


「誰が部長なの?」


それに対して紅葉は、


「もちろん、秋冬さんです。」

「なっ!?ちょっと待て、何で俺なんだ!?」

「え、それはもちろん秋冬さんが『名探偵』だからですよ。」




・・・そう、俺はこの町の人達からは名探偵と呼ばれている。きっかけは小四の時に解決した一つの事件だった。

俺自身その事件のことは覚えていない。ただ、町の人達やこの三人が覚えているから確かなのだろう。

事件は誘拐事件だったらしい。それを現場の近くを通りかかった俺が難なく解決したことをきっかけに、皆が俺に注目し始めた。

そのあとは俺にも記憶がある。小学校のときに二つ、中学のときに七つ、そして高一のときに二つと、事件を解決していった。

そんな俺のことを、町の人達は敬意をこめて「名探偵」と呼ぶ。


「私も賛成!」

「俺も!」

「三対一なので、秋冬さん、部長としてがんばってください!」

「・・・了解・・・。」


俺は力なく答えた。


その後、俺達は書類を職員室に提出し、晴れて推研は正式な部となった。




その時、俺達はまだ知らなかった。いや、知ることなんて出来なかった。

この先、俺達推研が数々の悲劇に巻き込まれることを・・・。


どうもはじめまして、山田義武です。初めてここで小説を書かせていただきました。

これを読んでくださった方々、ありがとうございます。いかがだったでしょうか?読みにくい所などあったでしょうか?

感想、意見、評価、誤字・脱字など、何でも送ってください。

あと、僕はアメリカから投稿しているので、文法がおかしかったり投稿が遅れたりすることもあると思います。おそらく週に一回かそれより遅いくらいのペースだと思いますが、どうぞよろしくお願いします。

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