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第四章 62話 報告、そして出発

「師匠……あれから時がたち色々ありましたけど……ティアナと再会できましたし、因縁のバーンとの決着もつけることができました」


 お墓の前でレイと一緒にしゃがみこみ、目を閉じながら噛みしめるように今までのことを思い出す。


「鍛錬場も、かつて倒した魔王四天王が出てきて、ほんのちょっぴり苦労はしましたけど四十階層を突破したり、傭兵達にさらわれたミュールたちを助けて死にかけたり……」

 

 袖をまくり上げ、腕に残った矢傷を見せる。


「師匠が亡くなってからまだそんなに時間は経っていないのに、本当に色々な出来事に出会いました」


 隣にいるレイの背中をポンと押す。

 それに察したのか、レイは少し前に出てお墓に近づいた。


「トガさん……僕、ムミョウお兄ちゃんの弟子になりました。まだまだ弱くて全然だけど……いつかトガさんはムミョウお兄ちゃんみたいな強い人になります!」


 手を組みながら、祈りをささげる僕たち。

 しばらくそうしていたところで、後ろにいたトゥルクさんが声を掛けて来た。


「今日出発スルナラ、ソロソロ出タホウガイイゾ」


「分かりました。ほら、行こうかレイ」


「はい!」


 僕たちは立ち上がり、門へ向けて歩き出す。

 またここに……必ず帰ってきますからね……。

 心の中でそう誓った。


「それじゃあトゥルクさん、行ってきます!」


「またね! ゴブリンのみんな」


「マタ元気ナ姿ヲ見セテクレヨ」


「待ッテルカラネ!」


 行きと同様、帰りもたくさんのゴブリンさんたちに囲まれる。

 レイも同じ年頃くらいのゴブリンの子供たちと仲良く会話できており、それを見ただけでも連れてきてよかった思うばかりだ。


 そうして出発しようと開けられた門を出ようとしたところ、トゥルクさんに呼び止められる。


「ムミョウ君」


「はい?」


「スマナイガ……君ガ連合国ヘ行ッタ際、サッキ言ッテイタアノウワサガ本当ナノカ確カメテホシインダ。他ニモナニカ変ワッタコトガアレバゼヒ記録シテホシイ。ソシテココニ戻ッテキタトキニ報告ヲ頼メナイカ?」


「はっはぁ……」


 いつになく真剣な顔のトゥルクさん。

 よく見れば他のゴブリンの大人達も同じような顔をしていた。

 なんなんだろう……まぁ、そういうことなら道中でも出来るし、問題はないけれど。


「それではみなさん、また会いましょう」


「またね!」


 こうして僕たちは、足早ながらゴブリンさんたちと再会し、師匠の墓参りもすることができた。

 ちょっと気がかりなこともあったけれど、これでやりたいことは全て終わらせた。



 それから数日かけてフッケへと戻った。

 けれど、急いだつもりだったのに期限の一週間をちょっと過ぎてしまい、ジョージさんには謝るはめに。


「ははは、これくらいなら誤差の内さ」 


 ジョージさんは怒ることもなく笑顔で許してくれた。

 一応、お詫びという事でポーションを何本か格安で譲りはしたけれどね。 


 そして……。


「ではみなさん、行ってきます」


「行ってきます!」


「みなさん、またお会いしましょう」


連合国へ向かう北門の前で、たくさんの人々に囲まれながら、僕とティアナ、レイの三人がいる。


「向こうでも、君たちの活躍を願っているよ」


 領主である伯爵様。


「頑張ってくださいね。きっと皆さんならよい結果を得られると思います」


 ギルドマスターのジョージさん。


「君たちと一緒にまた戦える日が来るのを心待ちにしているよ」


「獅子の咆哮」リーダーのフィンさん。


 受付のジョナさんや、集落の長のロイドさん、その他の人からもたくさんの言葉をもらい、僕たちはいよいよ連合国へ向けて出発する。


「それでは!」


 歩き始めると、さらに大きな声援が背後から聞こえてきた。

 それを糧に、力強く街道を踏みしめて進んでいく。


 さあ……行くぞ! 

 僕たちの新しい一歩だ!

作品を閲覧いただきありがとうございます。


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